吸収合併があった場合の消費税の1月中間申告


今回は、吸収合併があった場合の
消費税の1月中間申告を確認してみましょう。

内容

一定の期間中に吸収合併があった場合、
合併法人の中間申告税額に一定の金額をプラスします。

一定の期間は、次の2つです。
・中間申告の対象となる課税期間の直前の課税期間
・課税期間開始の日から1月中間申告対象期間の末日までの期間

被合併法人の確定消費税額

プラスする金額を計算するためには、
被合併法人の確定消費税額を求める必要があります。

先に被合併法人の確定消費税額の規定を
確認してみましょう。

一 当該課税期間の直前の課税期間
 被合併法人のその合併の日の前日の属する課税期間(以下この号において「被合併法人特定課税期間」という。)の確定申告書に記載すべき第四十五条第一項第四号に掲げる金額でその合併法人の当該一月中間申告対象期間に係る確定日までに確定したもの(被合併法人特定課税期間の月数が三月に満たない場合又は当該確定したものがない場合には被合併法人特定課税期間の直前の課税期間(その月数が三月に満たないものを除く。)の確定申告書に記載すべき同号に掲げる金額でその合併法人の当該一月中間申告対象期間に係る確定日までに確定したもの。以下この項及び次項において「被合併法人の確定消費税額」という。)をその計算の基礎となつたその被合併法人の課税期間の月数で除し、これにその合併法人の直前の課税期間の月数のうちに当該直前の課税期間開始の日からその合併の日の前日までの期間の月数の占める割合を乗じて計算した金額

消費税法第42条第2項、施行日令和5年10月1日

規定を分けて確認してみましょう。

1、被合併法人のその合併の日の前日の属する課税期間を
「被合併法人特定課税期間」といいます。

2、被合併法人特定課税期間の確定申告書に記載すべき
売上消費税から仕入消費税等をマイナスした納付する消費税で
その合併法人のその1月中間申告対象期間に係る確定日までに確定したものを
計算します。

・被合併法人特定課税期間の月数が3月に満たない場合又は
・当該確定したものがない場合
は、被合併法人特定課税期間の直前の課税期間に遡ります。

計算した金額を
「被合併法人の確定消費税額」といいます。

次に、直前の課税期間中に合併(前期合併)があった場合の計算を
確認してみましょう。

3、被合併法人の確定消費税額を
その計算の基礎となつたその被合併法人の課税期間の月数で除します。

被合併法人の確定消費税額÷被合併法人の課税期間の月数=
1月あたりの確定消費税額を算定します。

4、3の1月あたりの確定消費税額に
一定の割合を乗じてプラスする金額を計算します。

一定の割合
その合併法人の直前の課税期間の月数(分母)のうちに
当該直前の課税期間開始の日から
その合併の日の前日まで
の期間の月数(分子)の占める割合

前期中の合併の計算

次の場合で考えてみましょう。

被合併法人の課税期間 X年1/1-X年6/30
被合併法人の確定消費税額 6,000万円
被合併法人の課税期間の月数 6月

合併法人の直前の課税期間 X年4/1-X+1年3/31
合併法人の課税期間 X+1年4/1-X+2年3/31
合併の日 X年7/1

被合併法人の課税期間(X年1/1-X年6/30)の
確定申告書の提出日 X年7/20日


事例を規定にあてはめて考えてみます。

被合併法人のその合併の日の前日の属する課税期間(X年1/1-X年6/30)
(以下この号において「被合併法人特定課税期間」という。)
確定申告書に記載すべき第四十五条第一項第四号に掲げる金額で
その合併法人の当該一月中間申告対象期間に係る確定日(X年7/31等)までに確定したもの(被合併法人特定課税期間の月数が三月に満たない場合又は当該確定したものがない場合には被合併法人特定課税期間の直前の課税期間(その月数が三月に満たないものを除く。)の確定申告書に記載すべき同号に掲げる金額でその合併法人の当該一月中間申告対象期間に係る確定日までに確定したもの。以下この項及び次項において「被合併法人の確定消費税額」という。)
(6,000万円)をその計算の基礎となつた
その被合併法人の課税期間の月数(6月)で除し、これ(1,000万円)に
その合併法人の直前の課税期間の月数(12月)のうちに
当該直前の課税期間開始の日(X年4/1)から
その合併の日の前日(X年6/30)までの期間の月数(3月)
の占める割合(3月÷12月)を乗じて計算した金額


プラスする金額の計算
1、被合併法人の確定消費税額 6,000万円÷6月=1月あたり1,000万円
2、1,000万円×3月(空白期間)÷12月=合併法人1月あたり250万円
となります。

当期中の合併の計算

次の場合で考えてみましょう。

被合併法人の課税期間 X年1/1-X年6/30
被合併法人の確定消費税額 6,000万円
被合併法人の課税期間の月数 6月

合併法人の課税期間 X年4/1-X+1年3/31
合併の日 X年7/1

被合併法人の課税期間(X年1/1-X年6/30)の
確定申告書の提出日 X年7/20日


事例を規定にあてはめてみましょう。

当該課税期間開始の日(X年4/1)から
当該一月中間申告対象期間の末日(X年7/31等)までの期間

被合併法人の確定消費税額(6,000万円)を
その計算の基礎となつた
その被合併法人の課税期間の月数(6月)で除して計算した金額


3月決算法人の合併法人の1月中間申告対象期間と確定日を
確認してみましょう。

・4/1-4/30、確定日5/31
・5/1-5/31、確定日5/31
・6/1-6/30、確定日6/30
・7/1-7/31、確定日7/31、7/1合併、7/20申告書提出済
・8/1-8/31、確定日8/31
・9/1-9/30、確定日9/30
・10/1-10/31、確定日10/31
・11/1-11/30、確定日11/30
・12/1-12/31、確定日12/31
・1/1-1/31、確定日1/31
・2/1-2/28、確定日2/28

被合併法人特定課税期間の確定申告が
7月に行われた場合、7/31の確定日までに確定しているため、
被合併法人特定課税期間の金額で計算すると考えられます。

被合併法人特定課税期間の確定申告が
8月に行われた場合、7/31の確定日までに確定していないため、
被合併法人特定課税期間の直前の課税期間の金額で
計算すると考えられます。

プラスする金額の計算
被合併法人の確定消費税額 6,000万円÷6月=1月あたり1,000万円
となります。

参考規定

吸収合併があった場合の1月中間申告

2 前項の場合において、同項の事業者が合併(合併により法人を設立する場合を除く。以下この項において同じ。)に係る合併法人で次の各号に掲げる期間内にその合併をしたものであるときは、その法人が提出すべき当該課税期間の前項の規定による申告書については、同項第一号に掲げる金額は、同号の規定にかかわらず、同号の規定により計算した金額に相当する金額に当該各号に定める金額を加算した金額とする。
一 当該課税期間の直前の課税期間 被合併法人のその合併の日の前日の属する課税期間(以下この号において「被合併法人特定課税期間」という。)の確定申告書に記載すべき第四十五条第一項第四号に掲げる金額でその合併法人の当該一月中間申告対象期間に係る確定日までに確定したもの(被合併法人特定課税期間の月数が三月に満たない場合又は当該確定したものがない場合には被合併法人特定課税期間の直前の課税期間(その月数が三月に満たないものを除く。)の確定申告書に記載すべき同号に掲げる金額でその合併法人の当該一月中間申告対象期間に係る確定日までに確定したもの。以下この項及び次項において「被合併法人の確定消費税額」という。)をその計算の基礎となつたその被合併法人の課税期間の月数で除し、これにその合併法人の直前の課税期間の月数のうちに当該直前の課税期間開始の日からその合併の日の前日までの期間の月数の占める割合を乗じて計算した金額
二 当該課税期間開始の日から当該一月中間申告対象期間の末日までの期間 被合併法人の確定消費税額をその計算の基礎となつたその被合併法人の課税期間の月数で除して計算した金額

消費税法第42条第2項、施行日令和5年10月1日

規定をまとめたもの


前項(第1項)の場合において、同項(第1項)の事業者が
合併(注1)に係る合併法人で次の各号に掲げる期間内に
その合併をしたものであるときは、
その法人が提出すべき当該課税期間の
前項(第1項)の規定による申告書については、
同項(第1項)第1号に掲げる金額は、同号(第1号)の規定にかかわらず、
同号(第1号)の規定により計算した金額に相当する金額に
当該各号(第1号)に定める金額を加算した金額とする。

注1、合併により法人を設立する場合を除く。以下この項において同じ。


1号、当該課税期間の直前の課税期間

被合併法人のその合併の日の前日の属する課税期間(注2)の
確定申告書に記載すべき第45条第1項第4号に掲げる金額で
その合併法人の当該一月中間申告対象期間に係る
確定日までに確定したもの(注3)を

その計算の基礎となつたその被合併法人の課税期間の月数で除し、
これにその合併法人の直前の課税期間の月数のうちに
当該直前の課税期間開始の日から
その合併の日の前日まで
の期間の月数の占める割合を乗じて計算した金額

注2、以下この号において「被合併法人特定課税期間」という。

注3、被合併法人特定課税期間の月数が三月に満たない場合又は
当該確定したものがない場合には
被合併法人特定課税期間の直前の課税期間(注3-1)の
確定申告書に記載すべき同号に掲げる金額で
その合併法人の当該一月中間申告対象期間に係る確定日までに確定したもの。以下この項及び次項において「被合併法人の確定消費税額」という。

注3-1、その月数が三月に満たないものを除く。


2号、当該課税期間開始の日から
当該一月中間申告対象期間の末日までの期間

被合併法人の確定消費税額を
その計算の基礎となつたその被合併法人の課税期間の月数で
除して計算した金額

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