固有事業者と消費税の前々期以前分割の特例_新設分割子法人の計算_受託事業者の計算


今回は、固有事業者と消費税の前々期以前分割の特例のうち、新設分割子法人の計算を確認してみましょう。

分割があった場合

合併があった場合と同様に分割があった場合も
消費税の納税義務判定に特例が設けられています。

特例は、6つあります。
・新設分割子法人、当期(12条第1項)
・新設分割子法人、過去1年前の日の前日まで(12条第2項)
・新設分割子法人、過去1年前の日の前々日以前(12条第3項)
・新設分割親法人、過去1年前の日の前々日以前(12条第4項)
・吸収分割、当期(12条第5項)
・吸収分割、過去(12条第6項)

固有事業者については、上記6つの規定が修正されます。今回は、新設分割子法人、過去1年前の日の前々日以前(12条第3項)を確認してみましょう。

ポイントは、3つあります。
・新設分割子法人は固有事業者に限定される。
・子法人固有計算額を計算する。
・受託事業者の課税売上高をプラスする。

今回は、受託事業者の計算を確認してみましょう。

受託事業者の計算

受託事業者の計算に関する規定を確認してみましょう。

読替規定で読み替えた規定の一部を抜粋しています。


当該新設分割子法人に係る各法人課税信託の受託事業者の当該基準期間に対応する期間における課税売上高(注3)の合計額を加算した金額(注4)とする。

注3、当該基準期間の初日から同日以後一年を経過する日までの間に終了した当該受託事業者の各事業年度における課税売上高の合計額(当該受託事業者の各事業年度の月数の合計数が十二を超える場合には、当該合計額を当該合計数で除し、これに十二を乗じて計算した金額)をいう。

注4、省略

固有事業者の基準期間に対応する期間の
「受託事業者の課税売上高の合計額」をプラスする規定です。

対応期間の計算方法は、注3の部分で規定されています。

箇条書きします。
・基準期間の初日と初日以後1年を経過する日を確認
・上記期間中に「終了」した受託事業者の各事業年度を計算
・各事業年度の課税売上高を合計
・各事業年度の合計数が12を超える場合は、12月相当に換算

特定事業年度中の分割でない場合は、上記の計算で終わりますが、
特定事業年度中の分割は、注4の修正が必要となります。

特定事業年度中に分割があった場合も確認してみましょう。

特定事業年度中に分割があった場合

注4で省略した部分を確認してみましょう。

注4、当該新設分割子法人の当該事業年度開始の日の二年前の日の前日から同日以後一年を経過する日までの間に開始した法第十二条第三項の新設分割親法人の各事業年度(以下この項及び次項において「特定事業年度」という。)中に分割等があつた場合には、当該子法人固有計算額に当該基準期間中に終了した当該各法人課税信託の受託事業者の各事業年度における課税売上高の合計額を加算した金額を当該特定事業年度の月数の合計数で除し、これに当該分割等があつた日から当該特定事業年度のうち最後の事業年度終了の日までの期間の月数を乗じて計算した金額

新設分割子法人の
・事業年度開始日の2年前の日の前日から
・同日以後1年を経過する日まで
の間に「開始」した新設分割親法人の各事業年度を
「特定事業年度」といいます。

特定事業年度中に分割があった場合は、
・子法人固有計算額
・子法人の基準期間中に「終了」した受託事業者の課税売上高の合計額
この2つを合計します。

合計額を
・特定事業年度の月数
で割って

・分割があった日から最後の特定事業年度終了の日までの期間の月数
をかける必要があります。

信託と関係がない元の規定で、特定事業年度中に分割があった場合に金額を修正する規定があります。法人課税信託の受託事業者の計算についても、子法人固有計算額と一緒に金額を修正する必要があるという意味です。

参考規定

新設分割子法人に関する計算規定

3 法第十二条第三項に規定する新設分割子法人の当該事業年度の基準期間における課税売上高として政令で定めるところにより計算した金額は、同項の新設分割子法人の当該基準期間中の国内における課税資産の譲渡等の対価の額の合計額から当該基準期間における法第九条第二項第一号に規定する売上げに係る税抜対価の返還等の金額の合計額を控除した残額を当該基準期間に含まれる事業年度の月数の合計数で除し、これに十二を乗じて計算した金額(当該新設分割子法人の当該事業年度開始の日の二年前の日の前日から同日以後一年を経過する日までの間に開始した法第十二条第三項の新設分割親法人の各事業年度(以下この項及び次項において「特定事業年度」という。)中に分割等があつた場合には、当該計算した金額を当該特定事業年度の月数の合計数で除し、これに当該分割等があつた日から当該特定事業年度のうち最後の事業年度終了の日までの期間の月数を乗じて計算した金額)とする。

消費税法施行令第23条第3項、施行日令和6年4月1日

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