固有事業者と消費税の前々期以前分割の特例_新設分割親法人の取扱い


今回は、固有事業者と消費税の前々期以前分割の特例のうち、新設分割親法人の取扱いを確認してみましょう。

分割があった場合

合併があった場合と同様に分割があった場合も
消費税の納税義務判定に特例が設けられています。

特例は、6つあります。
・新設分割子法人、当期(12条第1項)
・新設分割子法人、過去1年前の日の前日まで(12条第2項)
・新設分割子法人、過去1年前の日の前々日以前(12条第3項)
・新設分割親法人、過去1年前の日の前々日以前(12条第4項)
・吸収分割、当期(12条第5項)
・吸収分割、過去(12条第6項)

固有事業者については、上記6つの規定が修正されます。今回は、新設分割親法人の取扱い(12条第4項)を確認してみましょう。

固有事業者の特例

先に規定を確認してみましょう。

5 固有事業者が法第十二条第一項から第六項までに規定する新設分割親法人、新設分割子法人又は分割法人である場合における第二十三条の規定の適用については、次に定めるところによる。

消費税法施行令第27条第5項柱書き、令和6年4月1日

第23条は、分割に関する計算規定です。
続きを確認してみましょう。

五 第二十三条第五項の規定の適用については、同項中「金額(」とあるのは「金額(以下この項において「子法人固有計算額」という。)に当該新設分割子法人に係る各法人課税信託の受託事業者の当該各事業年度に対応する期間における課税売上高の合計額を加算した金額(」と、「当該計算した金額」とあるのは「当該子法人固有計算額に当該基準期間中に終了した当該各法人課税信託の受託事業者の各事業年度における課税売上高の合計額を加算した金額」とする。

消費税法施行令第27条第5項第5号、令和6年4月1日

読替後を太文字にしています。

前々期以前に新設分割があった場合

読替規定ですので、読替後の規定を確認してみましょう。

5 法第十二条第四項に規定する政令で定めるところにより計算した金額は、同項の新設分割親法人の当該事業年度開始の日の二年前の日の前日から同日以後一年を経過する日までの間に開始した同項の新設分割子法人の各事業年度における課税売上高の合計額を当該各事業年度の月数の合計数で除し、これに十二を乗じて計算した金額(以下この項において「子法人固有計算額」という。)に当該新設分割子法人に係る各法人課税信託の受託事業者の当該各事業年度に対応する期間における課税売上高の合計額を加算した金額当該新設分割親法人の当該事業年度の基準期間の初日の翌日から当該事業年度開始の日の一年前の日の前々日までの間に分割等があつた場合には、当該子法人固有計算額に当該基準期間中に終了した当該各法人課税信託の受託事業者の各事業年度における課税売上高の合計額を加算した金額を第一号に掲げる月数の合計数で除し、これに第二号に掲げる月数を乗じて計算した金額)とする。
一 当該新設分割親法人の基準期間に含まれる事業年度の月数の合計数
二 当該分割等があつた日から当該新設分割親法人の基準期間の末日までの期間の月数

ポイントは、3つです。
・新設分割子法人は固有事業者に限定される。
・子法人固有計算額を計算する。
・受託事業者の課税売上高をプラスする。

子法人固有計算額

新設分割については、一定のタイミングから新設分割子法人だけではなく、新設分割親法人についても特例が設けられています。

新設分割により、新設分割親法人の課税売上高が新設分割子法人に移るため、新設分割子法人の課税売上高を足し戻すことになります。

足し戻す金額を「子法人固有計算額」といいます。

規定を確認してみましょう。

同項の新設分割親法人の当該事業年度開始の日の二年前の日の前日から同日以後一年を経過する日までの間に開始した同項の新設分割子法人の各事業年度における課税売上高の合計額を当該各事業年度の月数の合計数で除し、これに十二を乗じて計算した金額(以下この項において「子法人固有計算額」という。)

まず、新設分割親法人の
・事業年度開始の日の2年前の日の前日から
・同日以後1年を経過する日まで
の間に「開始」した新設分割子法人の各事業年度の課税売上高を計算します。

課税売上高を各事業年度の月数で割って、
12月をかけたものが「子法人固有計算額」となります。

「開始」で判定しますので、継続して判定する必要があります。

受託事業者の計算

規定を確認してみましょう。

当該新設分割子法人に係る各法人課税信託の受託事業者の当該各事業年度に対応する期間における課税売上高の合計額を加算した金額(注1)とする。
(注1は後で確認します。)

新設分割子法人の受託事業者の課税売上高をプラスする、
と規定されています。

具体的には、「当該各事業年度に対応する期間における課税売上高の合計額」をプラスする必要があります。

上記の合計額の定義は、別の規定(消費税法施行令第27条第5項第1号)の読替規定にあります。

確認してみましょう。

当該各事業年度に対応する期間における課税売上高(当該各事業年度のうち最初の事業年度開始の日から同日以後一年を経過する日までの間に終了した当該受託事業者の各事業年度における課税売上高の合計額当該受託事業者の各事業年度の月数の合計数が十二を超える場合には、当該合計額を当該合計数で除し、これに十二を乗じて計算した金額)をいう。次項及び第五項から第七項までにおいて同じ。)

各事業年度のうち
・最初の事業年度開始の日から
・開始の日以後1年を経過する日まで
の間に「終了」した受託事業者の課税売上高(注)
を計算する必要があります。

(注)受託事業者の各事業年度の合計月数が12月を超える場合は、
課税売上高を各事業年度の合計月数で割って、12月をかける必要があります。

基準期間の初日の翌日以後に分割した場合

省略した(注1)を確認してみましょう。

注1、当該新設分割親法人の当該事業年度の基準期間の初日の翌日から当該事業年度開始の日の一年前の日の前々日までの間に分割等があつた場合には、当該子法人固有計算額に当該基準期間中に終了した当該各法人課税信託の受託事業者の各事業年度における課税売上高の合計額を加算した金額を第一号に掲げる月数の合計数で除し、これに第二号に掲げる月数を乗じて計算した金額

一 当該新設分割親法人の基準期間に含まれる事業年度の月数の合計数
二 当該分割等があつた日から当該新設分割親法人の基準期間の末日までの期間の月数

新設分割親法人の
・事業年度の基準期間の初日の翌日から
・事業年度開始の日の1年前の日の前々日まで
の間に分割した場合は、計算した金額の修正が必要となります。

新設分割親法人の分割以後の空白期間を埋めるための修正です。

具体的には、
・子法人固有計算額
・基準期間中に「終了」した受託事業者の各事業年度の課税売上高
この2つを合計します。

合計額を1号(新設分割親法人の基準期間に含まれる事業年度の月数)で割って、2号(分割日から新設分割親法人の基準期間の末日までの月数)をかける必要があります。

法人課税信託でない元の規定についても同様の修正規定があります。


新しいこと
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