国内とはどこ?


今回は、消費税の国内取引について確認してみましょう。

国内取引の判定

日本の消費税は、国内取引にかかります。

事業者が行った取引が、国内で行われたかどうかの判定は、
取引の内容によって次の3つの場所で行います。

  1. 資産の譲渡・資産の貸付け
  2. サービスの提供
  3. 電気通信利用サービスの提供
資産の譲渡・貸付け

資産の譲渡(販売)、資産の貸付けである場合は、
その販売や貸し付けた資産が所在していた場所で判定します。

例えば、東京で商品を引き渡した場合、
東京は国内に該当しますので、国内取引に該当します。

東京ではなく、アメリカで商品を引き渡した場合、
アメリカは国内に該当しませんので、国内取引に該当しません。

サービスの提供

サービスの提供である場合は、
そのサービスを行った場所で判定します。

例えば、大阪で荷物を運送した場合、
大阪は国内に該当しますので、国内取引に該当します。

大阪ではなく、フランスで荷物を運送した場合、
フランスは国内に該当しませんので、国内取引に該当しません。

電気通信利用サービスの提供

電気通信利用サービスの提供の場合は、
そのサービスを受ける人の住所・本店所在地で判定します。

電気通信利用サービスの提供は、
インターネットを利用した音楽の配信などです。

例えば、日本に住んでいる人がインターネットを利用して
音楽をダウンロードした場合は、サービスを受ける人が国内にいるため、
国内取引に該当します。

アメリカに住んでいる人が同様にダウンロードした場合は、
サービスを受ける人が国内にいないため、
国内取引に該当しません。

上記3つで判定できないもの

上記3つが原則的の取扱いです。
特殊な資産やサービスについては、個別に規定されています。

例えば、特殊な資産とは、船舶、航空機など。

船舶、航空機は、日本と外国を往来できるので、
資産の所在場所で判定するのは不合理です。

他には、目に見えない特許権や著作権です。
無形の資産なので、所在場所がありません。
有価証券についても発行されていないものは所在場所がありません。

サービスについても個別に規定されています。
例えば、国際郵便、国際通信、保険、貸付の利息などです。

個別に判定できないもの

資産の所在場所が明らかでない場合は、
その資産の販売・貸付けを行う人の「事務所等の所在地」で判定します。

サービス提供地が明らかでない場合は、
そのサービス提供者の「事務所等の所在地」で判定します。

電気通信利用サービスの提供について、
サービスを受ける人の場所が明らかでない場合は、国外取引となります。

サービスを受ける人の場所が明らかでない場合、例えば、1つの国に住み続けずに、あちこち渡り歩いている人です。パーマネントトラベラーとか、パーペチュアル・トラベラーの呼ぶそうです。

まとめ
  • 資産は、資産の所在場所で判定する。
  • サービスは、サービス提供地で判定する、
  • 音楽の電子配信などは、サービスを受ける人の場所で判定する。
  • 特殊な取引は個別に規定されている。
  • どれにもあてはまらない場合は「事務所等の所在地」で判定する。
参考規定

(課税の対象)
第四条 国内において事業者が行つた資産の譲渡等(特定資産の譲渡等に該当するものを除く。第三項において同じ。)及び特定仕入れ(事業として他の者から受けた特定資産の譲渡等をいう。以下この章において同じ。)には、この法律により、消費税を課する。

消費税法

3 資産の譲渡等が国内において行われたかどうかの判定は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める場所が国内にあるかどうかにより行うものとする。ただし、第三号に掲げる場合において、同号に定める場所がないときは、当該資産の譲渡等は国内以外の地域で行われたものとする。
一 資産の譲渡又は貸付けである場合 当該譲渡又は貸付けが行われる時において当該資産が所在していた場所(当該資産が船舶、航空機、鉱業権、特許権、著作権、国債証券、株券その他の資産でその所在していた場所が明らかでないものとして政令で定めるものである場合には、政令で定める場所)
二 役務の提供である場合(次号に掲げる場合を除く。) 当該役務の提供が行われた場所(当該役務の提供が国際運輸、国際通信その他の役務の提供で当該役務の提供が行われた場所が明らかでないものとして政令で定めるものである場合には、政令で定める場所)
三 電気通信利用役務の提供である場合 当該電気通信利用役務の提供を受ける者の住所若しくは居所(現在まで引き続いて一年以上居住する場所をいう。)又は本店若しくは主たる事務所の所在地

消費税法4条3項
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