今回は、国外転出した人が帰国した場合の修正申告の特例を確認してみましょう。
国外転出時課税
日本に住んでいる人が外国に引っ越す場合(国外転出した場合)に、株式を1億円以上有していると株式を売却したと仮定して所得税を計算する特例があります。国外転出時課税といいます。
株式の他、未決済の信用取引や未決済のデリバティブ取引も国外転出時課税の対象となります。
株式等を実際に売却していない時点で株式等の含み益に対して所得税がかかりますが、要件を満たせば国外転出時課税の取り消しが可能です。
要件の1つが、国外転出の日から5年以内(延長した場合は10年以内)に帰国することで、国外転出時課税を取り消すためには、確定申告の内容を修正する必要があります。
修正申告の特例
税額を少なく計算した場合、確定申告の内容を修正できます。修正申告といいます。修正申告の期限は、税務署長が調査して税額を正しくするときまでです。具体的な期間の計算はありません。
上記の修正申告は一般的なもので、国外転出した人が帰国した場合については、修正申告の特例が設けられています。
対象者は、次の2人です。
・国外転出時課税の対象となった年分の所得税の確定申告書を提出した人
・確定申告書を提出せずに税務署長から決定を受けた人
それぞれ、相続人を含みます。
一般的な修正申告の期限と異なり、特例の修正申告の期限は帰国した日から4月以内となっていますので注意しましょう。
参考規定
国外転出をした者が帰国をした場合等の修正申告の特例
第百五十一条の二 第六十条の二第一項(国外転出をする場合の譲渡所得等の特例)に規定する国外転出の日の属する年分の所得税につき確定申告書を提出し、又は決定を受けた者(その相続人を含む。)は、当該確定申告書又は決定に係る年分の総所得金額のうちに同条第六項本文(同条第七項の規定により適用する場合を含む。)の規定の適用がある同条第六項に規定する有価証券等に係る譲渡所得等の金額が含まれていることにより、当該国外転出の日の属する年分の所得税につき国税通則法第十九条第一項各号又は第二項各号(修正申告)の事由が生じた場合には、第六十条の二第六項各号に掲げる場合に該当することとなつた日から四月以内に限り、税務署長に対し、修正申告書を提出することができる。
所得税法第151条の2第1項、施行日令和7年1月1日
参考リンク
・国外に転出した場合の所得税を再計算できる場合
・国外に転出した個人が亡くなった場合の所得税の再計算
おまけ
修正申告の特例の期限(4月以内)を超える場合は、一般的な修正申告で対応できないと思います。
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