今回は、国外転出した人が帰国した場合の修正申告の特例の読替規定を確認してみましょう。
国外転出した人が帰国した場合の修正申告の特例
日本に住んでいる人が外国に引っ越す場合(国外転出した場合)に、株式を1億円以上有していると株式を売却したと仮定して所得税を計算する特例があります。国外転出時課税といいます。
国外転出時課税については、売却したと仮定して所得税を計算するため要件を満たせば所得税の再計算が可能です。再計算するためには、確定申告の内容を修正する必要があります。修正申告といいます。
国外転出した人が帰国した場合の修正申告の特例については、一般的な修正申告と異なり、修正申告の期限が帰国した日から4月以内に限定されています。
参考リンク
・国外転出した人が帰国した場合の修正申告の特例
修正申告の特例については、国税通則法の規定を読み替える規定がありますので確認してみましょう。
読替規定の内容
今回確認する規定はこちら↓
2 前項の規定による修正申告書の提出があつた場合における国税通則法の規定の適用については、同法第七十条第一項(国税の更正、決定等の期間制限)中「法定申告期限」とあり、及び同法第七十二条第一項(国税の徴収権の消滅時効)中「法定納期限」とあるのは、「所得税法第百五十一条の二第一項(国外転出をした者が帰国をした場合等の修正申告の特例)の規定により修正申告書を提出した日」とする。
所得税法第151条の2第2項、施行日令和7年1月1日
読み替える前の文言は、国税通則法
・第70条第1項の「法定申告期限」
・第72条第1項の「法定納期限」
の2つです。
それぞれ「所得税法第百五十一条の二第一項(国外転出をした者が帰国をした場合等の修正申告の特例)の規定により修正申告書を提出した日」に読み替えてみましょう。
更正や決定の取扱い
確定申告書の税額などを訂正する手続きを「更正」といいます。確定申告書を提出しなかった場合に税額などを決める手続きを「決定」といいます。
国税通則法第70条第1項には、ある一定の期限や日から5年を過ぎると更正や決定ができないことが定められています。
計算期間がスタートする日は「法定申告期限」と規定されています。所得税については原則として翌年3月15日です。
読み替えると、法定申告期限が「国外転出した人が帰国した場合の修正申告の特例により修正申告書を提出した日」に変わります。
法定申告期限の後に修正申告書の提出となりますので、更正や決定の制限についても修正申告書の提出した日を基準に先延ばしされます。読み替えしない場合、更正や決定できる期間が短くなるからです。
国が税金を徴収する権利
国が税金を徴収する権利については、税金を納める期限(法定納期限)から5年間行使しない場合、時効により消滅します。所得税の法定納期限は原則として翌年3月15日です。
読み替えると、法定納期限が「国外転出した人が帰国した場合の修正申告の特例により修正申告書を提出した日」に変わります。
法定納期限の後に修正申告書の提出となりますので、国が税金を徴収できる期間についても修正申告書の提出した日を基準に先延ばしされます。読み替えしない場合、国が税金を徴収できる期間が短くなるからです。
参考規定
読替後の国税の更正、決定等の期間制限
第七十条 次の各号に掲げる更正決定等は、当該各号に定める期限又は日から五年(第二号に規定する課税標準申告書の提出を要する国税で当該申告書の提出があつたものに係る賦課決定(納付すべき税額を減少させるものを除く。)については、三年)を経過した日以後においては、することができない。
一 更正又は決定 その更正又は決定に係る国税の所得税法第百五十一条の二第一項(国外転出をした者が帰国をした場合等の修正申告の特例)の規定により修正申告書を提出した日(還付請求申告書に係る更正については当該申告書を提出した日とし、還付請求申告書の提出がない場合にする第二十五条(決定)の規定による決定又はその決定後にする更正については政令で定める日とする。)
二 課税標準申告書の提出を要する国税に係る賦課決定 当該申告書の提出期限
三 課税標準申告書の提出を要しない賦課課税方式による国税に係る賦課決定 その納税義務の成立の日
国税通則法第70条第1項、施行日令和7年1月1日
読替後の国税の徴収権の消滅時効
第七十二条 国税の徴収を目的とする国の権利(以下この節において「国税の徴収権」という。)は、その国税の所得税法第百五十一条の二第一項(国外転出をした者が帰国をした場合等の修正申告の特例)の規定により修正申告書を提出した日(第七十条第三項(国税の更正、決定等の期間制限)の規定による更正若しくは賦課決定、同条第四項の規定による賦課決定、前条第一項第一号の規定による更正決定等、同項第三号の規定による更正若しくは賦課決定又は同項第四号の規定による更正決定等により納付すべきものについては、第七十条第三項若しくは前条第一項第一号若しくは第三号に規定する更正、第七十条第四項に規定する賦課決定、前条第一項第一号に規定する裁決等又は同項第四号に規定する更正決定等があつた日とし、還付請求申告書に係る還付金の額に相当する税額が過大であることにより納付すべきもの及び国税の滞納処分費については、これらにつき徴収権を行使することができる日とし、過怠税については、その納税義務の成立の日とする。次条第三項において同じ。)から五年間行使しないことによつて、時効により消滅する。
国税通則法第72条第1項、施行日令和7年1月1日
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