今回は、
1、国外転出した場合の所得税の支払いを先延ばしにする手続き
2、支払いの期限を延長する手続き
の2つを確認してみましょう。
納税猶予の期限は延長できる。
税金の支払いを先延ばしできる制度を「納税猶予」といいます。
国外転出時課税は、まだ売却していない株式等の含み益に対して所得税がかかります。株式の売却代金が手許にないため、納税猶予が可能です。
納税猶予の期限は、国外転出の日から5年を経過する日です。
経過する前に帰国等をした場合は、帰国等の日の前日に繰り上がります。
この期限が終わる前に、延長の届出書を提出すれば、5年から10年に延長できます。
手続きが必要
国外転出時課税の納税猶予を受ける場合、確定申告書に
1、納税猶予を受ける旨を記載
2、納税猶予の計算に関する資料等を添付
する必要があります。
やむを得ない事情がある場合は、後から手続きすることで納税猶予を受けられる場合があります。
参考規定
「国外転出をする場合の譲渡所得等の特例等に係る納税猶予の期限延長届出書」を提出すれば期限を10年に延長できる。
2 前項の規定の適用を受ける個人が、国外転出の日から五年を経過する日(同日前に帰国等の場合に該当することとなつた場合には、その該当することとなつた日の前日)までに、同項の規定による納税の猶予に係る期限の延長を受けたい旨その他財務省令で定める事項を記載した届出書を、納税地の所轄税務署長に提出した場合には、同項中「五年」とあるのは、「十年」とする。
所得税法第137条の2第2項、施行日令和6年6月12日
納税猶予の初回の手続き
3 第一項(前項の規定により適用する場合を含む。以下この条において同じ。)の規定は、第一項の規定の適用を受けようとする個人の確定申告書に、同項の規定の適用を受けようとする旨の記載があり、かつ、第六十条の二第一項から第三項までの規定により行われたものとみなされた対象資産の譲渡又は決済の明細及び納税猶予分の所得税額の計算に関する明細その他財務省令で定める事項を記載した書類の添付がある場合に限り、適用する。
所得税法第137条の2第3項、施行日令和6年6月12日
やむを得ない事情がある場合
4 税務署長は、前項の確定申告書の提出がなかつた場合又は同項の記載若しくは添付がない確定申告書の提出があつた場合においても、その提出又は記載若しくは添付がなかつたことについてやむを得ない事情があると認めるときは、当該記載をした書類及び同項の財務省令で定める書類の提出があつた場合に限り、第一項の規定を適用することができる。
所得税法第137条の2第4項、施行日令和6年6月12日