今回は、土地の無償返還に関する届出書が提出されている場合の貸宅地の評価を確認してみましょう。
土地の無償返還に関する届出書が提出されている場合の貸宅地の評価
今回確認する通達は、こちらです。
相当の地代を支払っている場合等の借地権等についての相続税及び贈与税の取扱いについて
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/sozoku/850605/01.htm
8 借地権が設定されている土地について、無償返還届出書が提出されている場合の当該土地に係る貸宅地の価額は、当該土地の自用地としての価額の100分の80に相当する金額によって評価する。
なお、被相続人が同族関係者となっている同族会社に対し土地を貸し付けている場合には、43年直資3-22通達の適用があることに留意する。この場合において、同通達中「相当の地代を収受している」とあるのは「「土地の無償返還に関する届出書」の提出されている」と読み替えるものとする。
(注) 使用貸借に係る土地について無償返還届出書が提出されている場合の当該土地に係る貸宅地の価額は、当該土地の自用地としての価額によって評価するのであるから留意する。
1、借地権が設定されている土地
2、無償返還届出書が提出されている場合
上記の2つが前提となります。
無償返還届出書については、基本通達5(「土地の無償返還に関する届出書」が提出されている場合の借地権の価額)に記載されています。
5 借地権が設定されている土地について、平成13年7月5日付課法3-57ほか11課共同「法人課税関係の申請、届出等の様式の制定について」(法令解釈通達)に定める「土地の無償返還に関する届出書」(以下「無償返還届出書」という。)が提出されている場合の当該土地に係る借地権の価額は、零として取り扱う。(平成17課資2-4 改正)「土地を借りている人が、将来土地を0円で返す。」と契約書で定めている場合は、この土地の借地権の価額が0円で評価されます。
(通達の他の要件を満たす必要があります。)
基本通達5が土地を借りている人の取扱いで、今回確認している基本通達8が土地を貸している人の取扱いです。
「当該土地に係る貸宅地の価額は、当該土地の自用地としての価額の100分の80に相当する金額によって評価する。」とありますので、
貸宅地の価額は、
・土地の自用地としての価額×80%
により評価されます。
亡くなった方が同族関係者となっている同族会社に土地を貸している場合
通達の続きを見てみましょう。
なお、被相続人が同族関係者となっている同族会社に対し土地を貸し付けている場合には、43年直資3-22通達の適用があることに留意する。この場合において、同通達中「相当の地代を収受している」とあるのは「「土地の無償返還に関する届出書」の提出されている」と読み替えるものとする。亡くなった方(被相続人)が同族関係者となっている同族会社に対して、土地を貸し付けている場合は、他の通達が適用されます。
参考情報、相当の地代を収受している貸宅地の評価について|国税庁
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/hyoka/681028/01.htm
読み替え後の通達を見てみましょう。
標題のことについて、課税時期における被相続人所有の貸宅地は、自用地としての価額から、その価額の20%に相当する金額(借地権の価額)を控除した金額により、評価することとされたい。
上記の通達に「相当の地代を収受している」は、ありません。タイトルの読み替えなのでしょう。
そのため、
1、自用地としての価額
2、自用地としての価額×20%(借地権の価額)
3、1-2=自用地としての価額×80%(貸宅地の価額)
により貸宅地が評価されます。
株式評価上の取扱いを見てみましょう。
なお、上記の借地権の価額は、昭和39年4月25日付直資56相続税財産評価に関する基本通達32の(1)の定めにかかわらず、被相続人所有のI株式会社の株式評価上、同社の純資産価額に算入することとされたい。借地権の価額は、株式の評価をする場合に純資産価額に算入されます。
借地権の価額は、自用地としての価額×20%となります。
使用貸借の場合
通達の注意書きを見てみましょう。
(注) 使用貸借に係る土地について無償返還届出書が提出されている場合の当該土地に係る貸宅地の価額は、当該土地の自用地としての価額によって評価するのであるから留意する。1、使用貸借(土地を0円などで貸し借りすること)
2、無償返還届出書が提出されている場合
上記2つが前提です。
この場合の貸宅地の価額は、土地の自用地としての価額により評価されます。
(自用地としての価額=貸宅地の価額)
