今回は、地上権に関する評価を確認してみましょう。
地上権の目的となっている宅地の評価
通達を確認してみましょう。
(3) 地上権の目的となっている宅地の価額は、その宅地の自用地としての価額から相続税法第23条((地上権及び永小作権の評価))又は地価税法第24条((地上権及び永小作権の評価))の規定により評価したその地上権の価額を控除した金額によって評価する。算式に変えてみましょう。
地上権の目的となっている宅地の価額=1-2
1、自用地としての価額
2、相続税法第23条などの規定により評価した地上権の価額
相続税などを計算する場合は相続税法の規定を、地価税を計算する場合は地価税法の規定を適用するという意味なのでしょう。
地上権の定義は、民法に規定されています。
参考規定、民法第265条、地上権の内容
(地上権の内容)
民法第265条、令和7年10月1日施行
第二百六十五条 地上権者は、他人の土地において工作物又は竹木を所有するため、その土地を使用する権利を有する。
工作物や竹木を所有するため、
対象となる土地を使用する権利を「地上権」といいます。
ただし、相続税法第23条の規定で
1、借地借家法の借地権(建物の所有を目的とする地上権や土地の賃借権)
2、民法の区分地上権
の2つは、地上権の定義から除外されています。
地上権の評価
借地権や区分地上権を除外した地上権の評価に関する規定を見てみましょう。
参考規定、相続税法第23条、地上権及び永小作権の評価
第二十三条 地上権(借地借家法(平成三年法律第九十号)に規定する借地権又は民法第二百六十九条の二第一項(地下又は空間を目的とする地上権)の地上権に該当するものを除く。以下同じ。)及び永小作権の価額は、その残存期間に応じ、その目的となつている土地のこれらの権利を取得した時におけるこれらの権利が設定されていない場合の時価に、次に定める割合を乗じて算出した金額による。
相続税法第23条、令和7年6月1日施行
残存期間が十年以下のもの 百分の五
残存期間が十年を超え十五年以下のもの 百分の十
残存期間が十五年を超え二十年以下のもの 百分の二十
残存期間が二十年を超え二十五年以下のもの 百分の三十
残存期間が二十五年を超え三十年以下のもの及び地上権で存続期間の定めのないもの 百分の四十
残存期間が三十年を超え三十五年以下のもの 百分の五十
残存期間が三十五年を超え四十年以下のもの 百分の六十
残存期間が四十年を超え四十五年以下のもの 百分の七十
残存期間が四十五年を超え五十年以下のもの 百分の八十
残存期間が五十年を超えるもの 百分の九十
残りの期間(残存期間)に応じて、
・地上権が設定されていない場合の土地の時価×残存期間に応じた割合
により、地上権が評価できます。
例えば、次の場合
1、土地の時価 5,000万円
2、地上権で存続期間の定めがないもの 40%
3、1×2=2,000万円が地上権の価額です。
参考情報、地価税法の地上権等の評価
地価税法第24条、地上権及び永小作権の評価
第二十四条 地上権(借地権又は民法第二百六十九条の二第一項(地下又は空間を目的とする地上権)の地上権に該当するものを除く。以下この条において同じ。)及び永小作権(以下この条において「地上権等」という。)の価額は、次の各号に掲げる地上権等の区分に応じ、その目的となっている土地の課税時期における当該地上権等が設定されていないものとした場合の時価に、当該各号に定める割合を乗じて計算した金額による。
地価税法第24条、令和7年6月1日施行
一 残存期間が十年以下であるもの 百分の五
二 残存期間が十年を超え十五年以下であるもの 百分の十
三 残存期間が十五年を超え二十年以下であるもの 百分の二十
四 残存期間が二十年を超え二十五年以下であるもの 百分の三十
五 残存期間が二十五年を超え三十年以下であるもの及び地上権で存続期間の定めのないもの 百分の四十
六 残存期間が三十年を超え三十五年以下であるもの 百分の五十
七 残存期間が三十五年を超え四十年以下であるもの 百分の六十
八 残存期間が四十年を超え四十五年以下であるもの 百分の七十
九 残存期間が四十五年を超え五十年以下であるもの 百分の八十
十 残存期間が五十年を超えるもの 百分の九十
相続税法とほとんど変わりません。
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