外国税額控除の当期分の控除


今回は、当期分の外国税額控除について確認します。
説明のために算式や仮の金額を記載しています。

外国税額控除の計算

前回お伝えした内容は、法人税の外国税額控除です。

外国税額控除については、
地方法人税(国税)や法人住民税(地方税)にも同じ制度があります。

2重課税が生じている外国法人税には、
外国の法人税と外国の地方税が含まれています。

日本の法人税から控除しきれない外国法人税は、
地方法人税や法人住民税からも控除が可能で、
法人税、地方法人税、道府県民税、市町村民税の順にマイナスします。

法人税の外国税額控除

外国法人税がある場合には、控除限度額(※)を限度として、
外国法人税を法人税からマイナスします。

(※)控除限度額とは、外国法人税を法人税などからマイナスできる限度額です。外国法人税をたくさん支払ったとしても、控除限度額までしかマイナスできません。

算式
法人税の外国税額控除=法人税-外国法人税

地方法人税の外国税額控除

法人税の外国税額控除を使用する場合に、
外国法人税が(法人税の)控除限度額を超えるときは、
地方法人税控除限度額を限度として、
「超える部分の金額」を地方法人税からマイナスします。

算式
地方法人税の外国税額控除=
地方法人税-超える部分(法人税で控除できなかった部分)

道府県民税の外国税額控除

外国法人税がある場合に、
外国法人税が控除限度額の合計額(※)を超えるときは、
道府県民税の控除限度額を限度として
「その超える部分の金額」を道府県民税の法人税割からマイナスします。
※ 法人税の控除限度額、地方法人税の控除限度額

算式
道府県民税の外国税額控除=
法人県民税の法人税割-超える部分の金額(国税で控除できなかった部分)

市町村民税の外国税額控除

外国法人税がある場合に、
外国法人税が控除限度額の合計額(※)を超えるときは、
市町村民税の控除限度額を限度として、
「その超える部分の金額」を市町村民税の法人税割からマイナスします。
※ 法人税の控除限度額、地方法人税の控除限度額、道府県民税の控除限度額

算式
市町村民税の外国税額控除=
市町村民税の法人税割-超える部分の金額(道府県民税で控除できなかった部分)

まとめ

外国法人税を税金から控除する順番は次のとおりです。

  • 法人税(控除限度額を限度)
  • 地方法人税(地方法人税控除限度額を限度)
  • 都道府県民税の法人税割(道府県民税の控除限度額を限度)
  • 市町村民税の法人税割(市町村民税の控除限度額を限度)

控除しきれない外国法人税については、翌年以後3年間繰り越しできます。

参考規定

法人税の外国税額控除

第六十九条 内国法人が各事業年度において外国法人税(外国の法令により課される法人税に相当する税で政令で定めるものをいう。以下この項及び第十二項において同じ。)を納付することとなる場合には、当該事業年度の所得の金額につき第六十六条第一項から第三項まで(各事業年度の所得に対する法人税の税率)の規定を適用して計算した金額のうち当該事業年度の国外所得金額(国外源泉所得に係る所得のみについて各事業年度の所得に対する法人税を課するものとした場合に課税標準となるべき当該事業年度の所得の金額に相当するものとして政令で定める金額をいう。第十四項において同じ。)に対応するものとして政令で定めるところにより計算した金額(以下この条において「控除限度額」という。)を限度として、その外国法人税の額(その所得に対する負担が高率な部分として政令で定める外国法人税の額、内国法人の通常行われる取引と認められないものとして政令で定める取引に基因して生じた所得に対して課される外国法人税の額、内国法人の法人税に関する法令の規定により法人税が課されないこととなる金額を課税標準として外国法人税に関する法令により課されるものとして政令で定める外国法人税の額その他政令で定める外国法人税の額を除く。以下この条において「控除対象外国法人税の額」という。)を当該事業年度の所得に対する法人税の額から控除する。

法人税法69条1項

地方法人税の外国税額控除

第十二条 内国法人が各課税事業年度において法人税法第六十九条第一項の規定の適用を受ける場合において、当該課税事業年度の同項に規定する控除対象外国法人税の額が同項に規定する控除限度額を超えるときは、地方法人税控除限度額(第十条の規定を適用して計算した当該課税事業年度の所得地方法人税額のうち当該内国法人の当該課税事業年度の国外所得金額(同項に規定する国外所得金額をいう。第四項において同じ。)に対応するものとして政令で定めるところにより計算した金額をいう。)を限度として、その超える金額を当該課税事業年度の所得地方法人税額から控除する。

地方法人税法

道府県民税の外国税額控除

38 道府県は、内国法人又は外国法人が、外国の法令により課される法人税若しくは地方法人税又は道府県民税若しくは市町村民税の法人税割に相当する税(外国法人にあつては、法人税法第百三十八条第一項第一号に掲げる国内源泉所得につき外国の法令により課されるものに限る。以下この項において「外国の法人税等」という。)を課された場合において、当該外国の法人税等の額のうち法人税法第六十九条第一項の控除限度額又は同法第百四十四条の二第一項の控除限度額及び地方法人税法(平成二十六年法律第十一号)第十二条第一項の控除の限度額で政令で定めるもの又は同条第二項の控除の限度額で政令で定めるものの合計額を超える額があるときは、政令で定めるところにより計算した額を限度として、政令で定めるところにより、当該超える金額(政令で定める金額に限る。)を第一項(予定申告法人に係るものを除く。)、第三十四項又は第三十五項の規定により申告納付すべき法人税割額(外国法人にあつては、法人税法第百四十一条第一号イに掲げる国内源泉所得に対する法人税額を課税標準として課するものに限る。)から控除するものとする。

地方税法53条

市町村民税の外国税額控除

38 市町村は、内国法人又は外国法人が、外国の法令により課される法人税若しくは地方法人税又は道府県民税若しくは市町村民税の法人税割に相当する税(外国法人にあつては、法人税法第百三十八条第一項第一号に掲げる国内源泉所得につき外国の法令により課されるものに限る。以下この項において「外国の法人税等」という。)を課された場合において、当該外国の法人税等の額のうち法人税法第六十九条第一項の控除限度額又は同法第百四十四条の二第一項の控除限度額及び地方法人税法第十二条第一項の控除の限度額で政令で定めるもの又は同条第二項の控除の限度額で政令で定めるもの並びに第五十三条第三十八項の控除の限度額で政令で定めるものの合計額を超える額があるときは、政令で定めるところにより計算した額を限度として、政令で定めるところにより、当該超える金額(政令で定める金額に限る。)を第一項(予定申告法人に係るものを除く。)、第三十四項又は第三十五項の規定により申告納付すべき法人税割額(外国法人にあつては、法人税法第百四十一条第一号イに掲げる国内源泉所得に対する法人税額を課税標準として課するものに限る。)から控除するものとする。

地方税法321条の8
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