外国税額控除の手続き


今回は、法人税の外国税額控除の手続規定を確認してみましょう。

手続規定

外国税額控除の手続規定は、次の4つです。

  1. 当期分の控除(法人税法69条25項)
  2. 繰越分の控除(法人税法69条26項)
  3. 進行事業年度(税額控除不足額相当額)の控除(法人税法69条27項)
  4. 進行事業年度(税額控除超過額相当額)の加算(法人税法69条31項)

今回は、1と2を確認してみましょう。

当期分の控除(法人税法69条25項)

違いを確認するために
それぞれの規定を確認してみましょう。


前段
外国税額控除(当期分)の規定は、
次の場合に限り適用します。

申告書等に明細書(別表)の添付があり、かつ、
法人税法施行規則(29条の4第2項)の書類を保存している場合

後段
この場合に、法人税法施行規則(29条の4第3項)で定める金額は、
税務署長が特別の事情があると認める場合を除くほか、
「その明細書にその金額として記載された金額」を限度とします。


別表添付、書類保存、金額限度について規定されています。

外国税額控除(当期分)を受ける場合は、
確定申告書に計算書類(別表)を添付する必要があり、
計算対象となった外国税額を証明する書類を保存する必要があります。

記載した金額に誤りがあった場合は、
記載した金額を限度とします。

例えば、次の場合
1、記載した控除対象外国法人税の額100
2、正しく計算した控除対象外国法人税の額150
1の記載した金額100が限度となりますので、
正しく計算した金額150で再計算できません。

外国税額控除で全体計算する場合は、
税務署長の再計算規定がありますので、
やむを得ない事情(宥恕規定)とは別に、
「特別の事情があると認める場合を除くほか」が規定されています。

繰越分の控除(法人税法69条26項)

違いを確認するために規定をまとめたものを確認してみましょう。


前段
外国税額控除(繰越分)の規定は、
次の場合に限り適用します。

繰越控除限度額、繰越控除対象外国法人税額に係る事業年度のうち
最も古い事業年度以後の各事業年度の申告書等に

その各事業年度の控除限度額及びその各事業年度において納付することとなった控除対象外国法人税の額を記載した書類(別表)の添付があり、かつ、

これらの規定の適用を受けようする事業年度の申告書等に
これらの規定による控除を受けるべき金額を記載した書類(別表)及び
繰越控除限度額又は繰越控除対象外国法人税額の計算の基礎となるべき事項
その他の法人税法施行規則(30条2項)の書類を保存している場合。

後段
この場合に、これらの規定による控除をされるべき金額の計算の基礎となる
その各事業年度の控除限度額及びその各事業年度において納付することとなった控除対象外国法人税の額その他の法人税法施行規則(30条3項)の金額は、

税務署長が特別の事情があると認める場合を除くほか、
その各事業年度の申告書等にこの項(26項)前段の規定により添付された書類にその計算の基礎となる金額として記載された金額を限度とします。


当期分の控除(25項)と同様に、
別表添付、書類保存、金額限度について規定されています。

外国税額控除(繰越分)を受ける場合は、
過去の確定申告書に計算書類(別表)を添付した上で、
今回の確定申告書に計算書類(別表)を添付する必要があり、
計算対象となった外国税額を
証明する書類を保存する必要があります。

記載した金額に誤りがあった場合は、
記載した金額を限度とします。

参考規定

第1項の外国税額控除の手続き

25 第一項の規定は、確定申告書、修正申告書又は更正請求書(次項、第二十七項及び第三十一項において「申告書等」という。)に第一項の規定による控除を受けるべき金額及びその計算に関する明細を記載した書類並びに控除対象外国法人税の額の計算に関する明細その他の財務省令で定める事項を記載した書類(以下この項において「明細書」という。)の添付があり、かつ、控除対象外国法人税の額を課されたことを証する書類その他の財務省令で定める書類を保存している場合に限り、適用する。この場合において、第一項の規定による控除をされるべき金額の計算の基礎となる控除対象外国法人税の額その他の財務省令で定める金額は、税務署長において特別の事情があると認める場合を除くほか、当該明細書に当該金額として記載された金額を限度とする。

法人税法69条25項

第2項と第3項の外国税額控除の手続き

26 第二項及び第三項の規定は、繰越控除限度額又は繰越控除対象外国法人税額に係る事業年度のうち最も古い事業年度以後の各事業年度の申告書等に当該各事業年度の控除限度額及び当該各事業年度において納付することとなつた控除対象外国法人税の額を記載した書類の添付があり、かつ、これらの規定の適用を受けようとする事業年度の申告書等にこれらの規定による控除を受けるべき金額を記載した書類及び繰越控除限度額又は繰越控除対象外国法人税額の計算の基礎となるべき事項その他の財務省令で定める事項を記載した書類の添付があり、かつ、これらの規定による控除を受けるべき金額に係る控除対象外国法人税の額を課されたことを証する書類その他の財務省令で定める書類を保存している場合に限り、適用する。この場合において、これらの規定による控除をされるべき金額の計算の基礎となる当該各事業年度の控除限度額及び当該各事業年度において納付することとなつた控除対象外国法人税の額その他の財務省令で定める金額は、税務署長において特別の事情があると認める場合を除くほか、当該各事業年度の申告書等にこの項前段の規定により添付された書類に当該計算の基礎となる金額として記載された金額を限度とする。

法人税法69条26項
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