外国税額控除の税額控除不足額相当額の控除


今回は、外国税額控除の
税額控除不足額相当額の控除を確認してみましょう。

規定の趣旨

通算法人の外国税額控除は、全体計算します。
金額に誤りがあった場合は、
金額の固定措置により全体再計算しませんが、
進行事業年度で調整します。

調整方法は次の2つです。

  1. 法人税額の控除
  2. 法人税額の加算

今回は、1の法人税額の控除を確認してみましょう。

税額控除不足額相当額の控除(法人税法69条18項)

要件は、調整後過去税額控除額>過去当初申告税額控除額の場合です。

調整後過去税額控除額は、再計算した金額です。
過去当初申告税額控除額は、1回目に調整した金額です。

再計算した金額>1回目に調整した金額の場合は、
再計算した金額の方が1回目に調整した金額より多くなるため、
控除できなかった金額を過去の申告ではなく、
当期の申告で法人税額から控除します。

控除する金額を「税額控除不足額相当額」といい、
再計算した金額-1回目に調整した金額で計算します。

算式
法人税額=法人税額-税額控除不足額相当額(控除できなかった金額)

税額控除不足額相当額(控除できなかった金額)=
調整後過去税額控除額(再計算)-過去当初申告税額控除額(1回目の計算)

参考規定

法人税法69条18項、税額控除不足額相当額の控除

18 通算法人(通算法人であつた内国法人(公益法人等に該当することとなつた内国法人を除く。)を含む。以下第二十一項までにおいて同じ。)の各事業年度(以下第二十二項までにおいて「対象事業年度」という。)において、過去適用事業年度(当該対象事業年度開始の日前に開始した各事業年度で第十五項の規定の適用を受けた事業年度をいう。以下この項及び第二十一項において同じ。)における税額控除額(当該対象事業年度開始の日前に開始した各事業年度(以下この項において「対象前各事業年度」という。)において当該過去適用事業年度に係る税額控除額につきこの項又は次項の規定の適用があつた場合には、同項の規定により当該対象前各事業年度の法人税の額に加算した金額の合計額からこの項の規定により当該対象前各事業年度の法人税の額から控除した金額の合計額を減算した金額を加算した金額。以下この項及び次項において「調整後過去税額控除額」という。)が過去当初申告税額控除額(当該過去適用事業年度の第七十四条第一項の規定による申告書に添付された書類に当該過去適用事業年度の第一項から第三項までの規定による控除をされるべき金額として記載された金額(当該過去適用事業年度について前項の規定の適用を受けた場合には、その適用に係る修正申告書又は更正に係る国税通則法第二十八条第二項に規定する更正通知書に添付された書類のうち、最も新しいものに当該過去適用事業年度の第一項から第三項までの規定による控除をされるべき金額として記載された金額)をいう。以下この項及び次項において同じ。)を超える場合には、税額控除不足額相当額(当該調整後過去税額控除額から当該過去当初申告税額控除額を控除した金額に相当する金額をいう。第二十項から第二十二項までにおいて同じ。)を当該対象事業年度の所得に対する法人税の額から控除する。

法人税法69条18項

規定をまとめたものを確認してみましょう。


通算法人の対象事業年度において、
過去適用事業年度(注1)における税額控除額
(注2、調整後過去税額控除額)が
過去当初申告税額控除額(注3)を超える場合には、

税額控除不足額相当額(注4)を
その対象事業年度の所得に対する法人税の額から控除する。


注1、 過去適用事業年度
その対象事業年度開始の日「前」に開始した各事業年度で
15項(固定措置)の適用を受けた事業年度

注2、 調整後過去税額控除額
その対象事業年度開始の日「前」に開始した
各事業年度(対象前各事業年度)において

その過去適用事業年度に係る税額控除額につき
この税額控除不足額相当額の控除(18項)又は
税額控除超過額相当額の加算(19項)の適用があった場合には、

19項の規定により
「その対象前各事業年度の法人税の額に加算した金額の合計額」から
この18項により
「その対象前各事業年度の法人税の額から控除した金額の合計額を減算した金額」を加算した金額

注3、 過去当初申告税額控除額
その過去適用事業年度の確定申告書に添付された書類に
その過去適用事業年度の1項から3項までの規定による控除をされるべき金額として記載された金額(注3-2)

注3-2、その過去適用事業年度について
隠ぺい仮装があった場合等の当初申告税額控除額の再計算(17項)
の適用を受けた場合には、

その適用に係る修正申告書又は
更正に係る国税通則法28条2項の更正通知書
に添付された書類のうち、最も新しいものに
その過去適用事業年度の1項から3項までの規定による控除をされるべき金額として記載された金額

注4、 税額控除不足額相当額
その調整後過去税額控除額から
その過去当初申告税額控除額を控除した金額に相当する金額

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