今回は、外国税額控除の進行事業年度の手続きを
確認してみましょう。
手続規定
外国税額控除の手続規定は、次の4つです。
- 当期分の控除(法人税法69条25項)
- 繰越分の控除(法人税法69条26項)
- 進行事業年度(税額控除不足額相当額)の控除(法人税法69条27項)
- 進行事業年度(税額控除超過額相当額)の加算(法人税法69条31項)
今回は、3と4を確認してみましょう。
進行事業年度(税額控除不足額相当額)の控除(法人税法69条27項)
違いを確認するために
規定をまとめたものを確認してみましょう。
前段
18項(23項、24項準用含む。)の規定は、
次の場合に限り適用します。
申告書等に明細書(注1、別表)の添付があり、かつ、
18項による控除を受けるべき金額に係る
控除対象外国法人税の額が課されたことを証する書類
その他の法人税法施行規則で定める書類を保存している場合
注1、明細書
18項の規定による控除を受けるべき金額及び
その計算に関する明細を記載した書類
その他の法人税法施行規則で定める事項を記載した書類
23項準用、合併解散、残余財産確定
24項準用、公益法人等に該当する場合
後段
この場合に、18項による控除をされるべき金額の計算の基礎となる
控除対象外国法人税の額
その他の法人税法施行規則で定める金額は、
税務署長が特別の事情ががあると認める場合を除くほか、
その明細書にその金額として記載された金額を限度とします。
法人税額の控除については、
確定申告書等に別表の添付と
外国法人税が課されたことを証する書類等の保存が必要です。
後段には、金額限度について規定されています。
「特別の事情があると認める場合を除くほか」については、
通常の手続要件と同じです。
参考規定
27 第十八項(第二十三項及び第二十四項において準用する場合を含む。以下第三十項までにおいて同じ。)の規定は、申告書等に第十八項の規定による控除を受けるべき金額及びその計算に関する明細を記載した書類その他の財務省令で定める事項を記載した書類(以下この項において「明細書」という。)の添付があり、かつ、第十八項の規定による控除を受けるべき金額に係る控除対象外国法人税の額を課されたことを証する書類その他の財務省令で定める書類を保存している場合に限り、適用する。この場合において、同項の規定による控除をされるべき金額の計算の基礎となる控除対象外国法人税の額その他の財務省令で定める金額は、税務署長において特別の事情があると認める場合を除くほか、当該明細書に当該金額として記載された金額を限度とする。
法人税法69条27項
別表の記載
次の別表を使用します。
別表6(2)付表6、税額控除不足額相当額及び税額控除超過額相当額の計算に関する明細書
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/shinkoku/itiran2023/pdf/06(02)-f6.pdf
上段が法人税の計算欄、
下段が地方法人税の計算欄です。
1欄、過去当初申告税額控除額
過去適用事業年度の別表6(2)「21」
1回目に計算した金額
((18)+(19)+(20))又は当初申告税額控除額
18欄、法人税法69条1項(当期分)の控除できる金額
19欄、法人税法69条2項(繰越分)の控除できる金額
20欄、法人税法69条3項(繰越分)の控除できる金額
2回目以降は、当初申告税額控除額(金額の固定措置)
2欄、税額控除額
過去適用事業年度の別表6(2)「18」+「19」+「20」
3欄、法人税額加算額
法人税法69条19項の法人税額加算額
4欄、法人税額控除額
法人税法69条18項の法人税額控除額
5欄、5欄、調整後過去税額控除額=(2)+(3)-(4)
再計算した金額
6欄、税額控除不足額相当額、(5)>(1)の場合
再計算した金額>1回目に計算した金額
金額の固定措置の場合は、「(⑸-⑴)又は」を消して、
「当初申告税額控除不足額相当額」を記載します。
この金額を別表6(2)、内国法人の外国税額の控除に関する明細書、
22欄、法人税法69条18項(調整分)の控除できる金額に転記します。
7欄、税額控除超過額相当額、(1)>(5)の場合
再計算した金額<1回目に計算した金額
金額の固定措置の場合は、「(⑴-⑸)又は」を消して、
「当初申告税額控除超過額相当額」を記載します。
参考情報、別表六(二)付表六の記載の仕方
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/shinkoku/itiran2023/pdf/06(02)-f6-ki.pdf
進行事業年度(税額控除超過額相当額)の加算(法人税法69条31項)
前段
19項(23項、24項準用含む。)の適用を受ける通算法人
(通算法人だった内国法人を含みます。)は、
申告書等に明細書(注1、別表)を添付し、かつ、19項の規定により加算されるべき金額に係る控除対象外国法人税の額を課されたことを証する書類
その他の法人税法施行規則で定める書類を保存する必要があります。
注1、明細書
19項の規定により法人税額に加算されるべき金額及びその計算に関する明細を記載した書類その他の法人税法施行規則で定める事項を記載した書類
後段
この場合に、19項により加算されるべき金額の計算の基礎となる
控除対象外国法人税の額その他の法人税法施行規則で定める金額は、
税務署長が特別の事情があると認める場合を除くほか、
その明細書にその金額として記載された金額を限度とします。
法人税額の加算については、確定申告書等に別表の添付と
外国法人税が課されたことを証する書類等の保存が必要です。
税額控除不足額相当額の控除と異なり、
別表添付と書類保存は、義務規定です。
後段には、金額限度について規定されています。
「特別の事情があると認める場合を除くほか」については、
通常の手続要件と同じです。
別表については、税額控除不足額相当額と同じ
別表6(2)付表6、
税額控除不足額相当額及び税額控除超過額相当額の計算に関する明細書
を使用します。
控除については、別表6(2)、内国法人の外国税額の控除に関する明細書、
22欄に記載しますが、加算についてはどの欄に記載するのでしょうか?
別表1、各事業年度の所得に係る申告書の
4欄、税額控除超過額相当額「等」の加算額に記載します。
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/shinkoku/itiran2023/pdf/01-01-a.pdf
「等」は、外国税額控除とは関係がない他の規定(試験研究費の特別控除の税額控除超過取戻税額、リース特別控除取戻税額など)の適用がある場合という意味です。
参考規定
手続き
31 第十九項(第二十三項及び第二十四項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定の適用を受ける通算法人(通算法人であつた内国法人を含む。次項及び第三十三項において同じ。)は、申告書等に第十九項の規定により法人税の額に加算されるべき金額及びその計算に関する明細を記載した書類その他の財務省令で定める事項を記載した書類(以下この項において「明細書」という。)を添付し、かつ、第十九項の規定により加算されるべき金額に係る控除対象外国法人税の額を課されたことを証する書類その他の財務省令で定める書類を保存しなければならない。この場合において、同項の規定により加算されるべき金額の計算の基礎となる控除対象外国法人税の額その他の財務省令で定める金額は、税務署長において特別の事情があると認める場合を除くほか、当該明細書に当該金額として記載された金額を限度とする。
法人税法69条31項