外国税額控除_当初申告税額控除不足額相当額等の固定措置の不適用


今回は、外国税額控除の
当初申告税額控除不足額相当額等の固定措置の不適用を確認してみましょう。

規定の趣旨

金額の固定措置は全体再計算を止めるための規定です。
事実の隠ぺいや仮装があった場合にまで、
全体再計算を止める理由がないため、
一定の場合には、金額が固定されず全体再計算となります。

規定の内容

通算法人の対象事業年度について、
次のいずれにかに該当する場合は、その対象事業年度については、
「当初申告税額控除不足額相当額又は当初申告税額控除超過額相当額の固定措置」の規定は、適用されません。

1、計算の基礎となる事実の全部又は一部を隠ぺい、仮装して、
その税額控除不足額相当額を増加、その税額控除超過額相当額を減少させて、
法人税の負担を減少させようとする場合

2、税務署長が「法人税の負担を不当に減少させる結果となる」と認める場合等
(法人税法69条16項)

3、法人税に関する調査の説明内容と異なる内容を確定申告書に添付された書類に記載した場合

参考規定等

規定をまとめたもの


対象事業年度について全体再計算の規定(21項)を適用して
修正申告書の提出又は更正がされた後における
「当初申告税額控除不足額相当額等」の固定措置(20項)の適用については、
全体再計算の規定(21項)に関係なく、

その修正申告書又は
その更正に係る更正通知書(国税通則法28条2項)に
添付された書類に、

その対象事業年度の
・税額控除不足額相当額又は
・税額控除超過額相当額
として記載された金額を
・当初申告税額控除不足額相当額又は
・当初申告税額控除超過額相当額
として取扱います。

金額に誤りがあったとしても
1回目の金額を固定して全体再計算をしませんが、

隠ぺい仮装があった場合は全体再計算をするため、
1回目に計算した金額(当初申告の金額)を
全体再計算した金額に更新するための規定です。

1回目の計算2回目
(固定措置)
20項
2回目
(全体再計算)21項
全体再計算した場合の更新
22項
当初申告税額控除不足額相当額 200税額控除不足額相当額
150→200に固定
税額控除不足額相当額
150(固定しない)
当初申告税額控除不足額相当額
200→150に更新 
当初申告税額控除超過額相当額 300税額控除超過額相当額
400→300に固定
税額控除超過額相当額
400(固定しない)
当初申告税額控除超過額相当額
300→400に更新
金額の更新

21 前項の通算法人の対象事業年度について、次に掲げる場合のいずれかに該当する場合には、当該対象事業年度については、同項の規定は、適用しない。
一 税額控除不足額相当額又は税額控除超過額相当額の計算の基礎となる事実の全部又は一部を隠蔽し、又は仮装して、当該税額控除不足額相当額を増加させ、又は当該税額控除超過額相当額を減少させることによりその法人税の負担を減少させ、又は減少させようとする場合
二 対象事業年度において第十八項の規定により法人税の額から控除した税額控除不足額相当額又は第十九項の規定により法人税の額に加算した税額控除超過額相当額に係る過去適用事業年度について第十六項の規定の適用がある場合
三 対象事業年度(第三十二項又は第三十三項の規定による説明が行われた日の属するものに限る。以下この号において同じ。)の第七十四条第一項の規定による申告書に添付された書類に当該対象事業年度の税額控除不足額相当額又は税額控除超過額相当額として記載された金額及びその計算の根拠が第三十二項又は第三十三項の規定による説明の内容と異なる場合

法人税法69条21項

22 対象事業年度について前項の規定を適用して修正申告書の提出又は更正がされた後における第二十項の規定の適用については、前項の規定にかかわらず、当該修正申告書又は当該更正に係る国税通則法第二十八条第二項に規定する更正通知書に添付された書類に当該対象事業年度の税額控除不足額相当額又は税額控除超過額相当額として記載された金額を当初申告税額控除不足額相当額又は当初申告税額控除超過額相当額とみなす。

法人税法69条22項
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