今回は、事業に専従している配偶者の定額減税のうち、年末調整と確定申告を確認してみましょう。
年末調整の場合
配偶者に限定して確認してみましょう。
まず、定額減税は本人分として所得税は3万円の控除があります。
例外として、本人の所得が高額(1805万円超)の場合、控除がありません。
本人分とは別に、追加の控除として次の4つのいずれかに該当する場合は、1人につき3万円加算して控除が可能です。
1、控除対象配偶者
2、控除対象扶養親族(配偶者は扶養親族に該当しません。)
3、同一生計配偶者(1にあてはまる人を除きます。)
4、扶養親族(2にあてはまる人を除きます。)
1の控除対象配偶者の規定を確認してみましょう。
三十三の二 控除対象配偶者 同一生計配偶者のうち、合計所得金額が千万円以下である居住者の配偶者をいう。
所得税法第2条第1項第33の2号、施行日令和7年1月1日
・同一生計配偶者であること
・合計所得金額が1000万円以下である居住者(本人)の配偶者
上記の2つを満たす配偶者を「控除対象配偶者」といいます。
控除対象配偶者の規定では、配偶者の所得要件は直接規定されていません。
3の同一生計配偶者の規定を確認してみましょう。
三十三 同一生計配偶者 居住者の配偶者でその居住者と生計を一にするもの(第五十七条第一項(事業に専従する親族がある場合の必要経費の特例等)に規定する青色事業専従者に該当するもので同項に規定する給与の支払を受けるもの及び同条第三項に規定する事業専従者に該当するもの(第三十三号の四において「青色事業専従者等」という。)を除く。)のうち、合計所得金額が四十八万円以下である者をいう。
所得税法第2条第1項第33号、施行日令和7年1月1日
・居住者(本人)の配偶者で、生計を一(サイフ、生活費が一緒)にしている。
・「青色事業専従者等」を除く。
・合計所得金額が48万円以下(給与収入103万円以下)
上記の3つを満たす配偶者を「同一生計配偶者」といいます。
同一生計配偶者の規定で、配偶者の所得要件が規定されています。
居住者(本人)の事業に専従して給料を受け取っている人(配偶者や子など)を
「青色事業専従者等」といいます。
青色事業専従者等に該当する配偶者については、同一生計配偶者の定義から外れますので、3の同一生計配偶者にも、1の控除対象配偶者にも該当しなくなります。そのため、追加控除の対象から外れます。
上記の内容は、あくまでも追加控除の内容となりますので、配偶者自身については、要件を満たせば定額減税や追加控除が受けられます。
確定申告の場合
配偶者に限定して確認してみましょう。
まず、定額減税は本人分として所得税は3万円の控除があります。
例外として、本人の所得が高額(1805万円超)の場合、控除がありません。
本人分とは別に、追加の控除として次の2つのいずれかに該当する場合は、1人につき3万円加算して控除が可能です。
1、同一生計配偶者
2、扶養親族(配偶者は扶養親族に該当しません。)
1の同一生計配偶者は、年末調整で確認した3の同一生計配偶者と同じです。
規定の中で、「控除対象配偶者」という表現はありませんが、控除対象配偶者は同一生計配偶者の要件を満たしていますので、定額減税の追加控除の対象となります。
それぞれの対象者の比較
年末調整 | 確定申告 |
---|---|
1、配偶者控除等申告書に記載した控除対象配偶者 | 1の同一生計配偶者として追加控除 |
2、扶養控除等申告書に記載した控除対象扶養親族 | 2の扶養親族として追加控除 |
3、定額減税専用の申告書に記載した同一生計配偶者(1を除く。) | 1の同一生計配偶者として追加控除 |
4、定額減税専用の申告書に記載した扶養親族(2を除く。) | 2の扶養親族として追加控除 |
組み合わせは、4パターンあります。
1、配偶者控除や扶養控除に該当する。定額減税の加算対象に該当する。
→ 所得要件を満たす場合など
2、配偶者控除や扶養控除に該当する。定額減税の加算対象に該当しない。
→ 非居住者の場合、定額減税の加算対象から外れます。
3、配偶者控除(控除対象配偶者)や扶養控除(控除対象扶養親族)に該当しない。定額減税の加算対象に該当する。
→ 同一生計配偶者や扶養親族に該当する場合、加算対象となります。
4、配偶者控除や扶養控除に該当しない。定額減税の加算対象に該当しない。
→ 所得要件を満たさない場合など
参考規定
年末調整の場合
(令和六年における年末調整に係る特別控除の額の控除等)
租税特別措置法第41条の3の8第1項と第2項、施行日令和7年1月1日
第四十一条の三の八 居住者の令和六年中に支払の確定した給与等に対する所得税法第百九十条の規定の適用については、同条第二号に掲げる税額は、当該税額に相当する金額から年末調整特別控除額を控除した金額に相当する金額とする。ただし、その者のその年分の所得税に係るその年の合計所得金額の見積額が千八百五万円を超える場合については、この限りでない。
2 前項に規定する年末調整特別控除額は、三万円(次に掲げる者がある場合には、三万円にこれらの者一人につき三万円を加算した金額)とする。この場合において、当該金額が令和六年中に支払の確定した給与等につき所得税法第百九十条の規定(第四十一条の二の二の規定その他財務省令で定める規定の適用がある場合には、これらの規定を含む。)を適用して求めた同法第百九十条第二号に掲げる税額を超える場合には、年末調整特別控除額は、当該税額に相当する金額とする。
一 所得税法第百九十五条の二第三項に規定する給与所得者の配偶者控除等申告書に記載された控除対象配偶者(同法第二条第一項第三十三号の二に規定する控除対象配偶者をいい、居住者に限る。)
二 給与所得者の扶養控除等申告書に記載された控除対象扶養親族
三 第四項に規定する申告書に記載された同一生計配偶者(第一号に掲げる者を除く。)
四 第四項に規定する申告書に記載された扶養親族(第二号に掲げる者を除く。)
注意点、2号の控除対象扶養親族については「居住者に限る。」がありませんが、別の規定で定義されているため、居住者に限られます。
確定申告の場合
(令和六年分における所得税額の特別控除)
租税特別措置法第41条の3の3第1項と第2項、施行日令和7年1月1日
第四十一条の三の三 居住者の令和六年分の所得税については、その者のその年分の所得税の額から、令和六年分特別税額控除額を控除する。ただし、その者のその年分の所得税に係るその年の合計所得金額(所得税法第二条第一項第三十号の合計所得金額をいう。以下この節において同じ。)が千八百五万円を超える場合については、この限りでない。
2 前項に規定する令和六年分特別税額控除額は、居住者について三万円(同一生計配偶者(所得税法第二条第一項第三十三号に規定する同一生計配偶者をいい、居住者に限る。以下この節において同じ。)又は扶養親族(同条第一項第三十四号に規定する扶養親族をいい、居住者に限る。以下この節において同じ。)を有する居住者については、三万円に当該同一生計配偶者又は当該扶養親族一人につき三万円を加算した金額)とする。