定額減税の扶養親族が重複する場合


今回は、定額減税の扶養親族が重複する場合を確認してみましょう。

扶養親族が重複する場合

定額減税については、
・同一生計配偶者
・扶養親族
に該当する場合は、1人につき定額減税が+3万円となります。

同じ人が同一生計配偶者と扶養親族に重複して該当した場合は、
同一生計配偶者が優先的に定額減税の加算対象者となります。

今回は、同じ人が扶養親族に重複して該当した場合を確認してみましょう。

申告書に記載された人

原則として、申告書等に記載された人が定額減税の加算対象となります。
(同一生計配偶者の場合と同じ。)

申告書等は、次の5つです。
・予定納税額の減額の承認の申請手続の申請書
・給与所得者の扶養控除等申告書
・従たる給与についての扶養控除等申告書
・公的年金等の受給者の扶養親族等申告書
・定額減税を受けるための申告書
(給与所得者の配偶者控除等申告書は含まれません。)

加算対象者については、
後から変更することが可能です。

同じ人を扶養親族として
申告書等に記載したとき等は、
先に申告書等を提出した人の扶養親族となります。

申告書等の提出順で扶養親族が確定できない場合は、
所得が多い人の扶養親族となります。
所得が確定していない場合は、判定時の所得の見積額で判定します。

重複する場合の留意点

次の場合で留意点を確認してみましょう。
・定額減税対象外のA、申告書等に子Cを記載
・定額減税の対象となる配偶者B、申告書等に子Cを記載
・申告書等の提出順により扶養親族が確定できない。
 (または、Aが先に申告書等を提出した。)

子Cは、所得が多いAの扶養親族となるため、
所得が少ない配偶者Bの扶養親族に該当しなくなります。

Aは定額減税が受けられないため、
子Cの定額減税の加算も受けられません。

この場合に、自動的に配偶者Bの
扶養親族(加算対象者)となるのでしょうか?

定額減税が受けられる扶養親族を
優先とする規定にはなっていないため、
定額減税の加算が受けられない可能性があります。

重複する可能性がある場合は、
重複しないように申告書等を確認しておきましょう。

参考規定

二以上の居住者がある場合の扶養親族の所属

2 法第四十一条の三の三第二項の場合において、二以上の居住者の扶養親族に該当する者があるときは、その者は、次に定めるところにより、これらの居住者のうちいずれか一の居住者の扶養親族にのみ該当するものとみなす。
一 当該二以上の居住者の扶養親族に該当する者をいずれの居住者の扶養親族とするかは、これらの居住者の提出するその年分の所得税法施行令第二百十九条第一項に規定する申告書等(法第四十一条の三の七第五項に規定する申告書及び法第四十一条の三の八第四項に規定する申告書を含む。以下この項において「申告書等」という。 ) に記載されたところによる。ただし、本文又は次号の規定により、その扶養親族がいずれか一の居住者の扶養親族に該当するものとされた後において、これらの居住者が提出する申告書等にこれと異なる記載をすることにより、他のいずれか一の居住者の扶養親族とすることを妨げない。
二 前号の場合において、二以上の居住者が同一人をそれぞれ自己の扶養親族として申告書等に記載したとき、 その他同号の規定によりいずれの居住者の扶養親族とするかを定められないときは、次に定めるところによる。
イ その年において既に一の居住者が申告書等の記載によりその扶養親族としている場合には、当該親族は、当該居住者の扶養親族とする。
ロ イの規定によつてもいずれの居住者の扶養親族とするかが定められない扶養親族は、居住者のうち所得税法施行令第二百十九条第二項第二号に規定する合計額又は当該親族がいずれの居住者の扶養親族とするかを判定すべき時における当該合計額の見積額が最も大きい居住者の扶養親族とする。

租税特別措置法施行令第26条の4の3第2項

二以上の居住者がある場合の扶養親族の所属

第二百十九条 法第八十五条第五項(扶養親族等の判定の時期等)の場合において、同項に規定する二以上の居住者の扶養親族に該当する者をいずれの居住者の扶養親族とするかは、これらの居住者の提出するその年分の前条第一項に規定する申告書等(法第百九十五条の二第一項(給与所得者の配偶者控除等申告書)の規定による申告書を除く。以下この条において「申告書等」という。)に記載されたところによる。ただし、本文又は次項の規定により、その扶養親族がいずれか一の居住者の扶養親族に該当するものとされた後において、これらの居住者が提出する申告書等にこれと異なる記載をすることにより、他のいずれか一の居住者の扶養親族とすることを妨げない。
2 前項の場合において、二以上の居住者が同一人をそれぞれ自己の扶養親族として申告書等に記載したとき、その他同項の規定によりいずれの居住者の扶養親族とするかを定められないときは、次に定めるところによる。
一 その年において既に一の居住者が申告書等の記載によりその扶養親族としている場合には、当該親族は、当該居住者の扶養親族とする。
二 前号の規定によつてもいずれの居住者の扶養親族とするかが定められない扶養親族は、居住者のうち総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額又は当該親族がいずれの居住者の扶養親族とするかを判定すべき時における当該合計額の見積額が最も大きい居住者の扶養親族とする。

所得税法施行令第219条、施行日令和5年10月1日
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