実費弁償費用を免税事業者が精算する場合、
消費税相当額について考えてみます。
インボイス制度前の処理
免税事業者が費用1,100円を支払って、
課税事業者に費用を請求する場合の仕訳
1、実費弁償する諸費用を支払った。
借方 | 貸方 |
---|---|
諸費用 1,100円 | 現金 1,100円 |
2、免税事業者が課税事業者に対し、実費弁償費用の請求を行った。
税込み請求
借方 | 貸方 |
---|---|
現金 1,100円 | 売上(諸費用相当額、税込み) 1,100円 |
税抜き請求
借方 | 貸方 |
---|---|
現金 1,100円 | 売上(諸費用相当額、税抜き) 1,000円 |
税込み請求が一般的な処理です。
インボイス制度後の処理
インボイス制度後、免税事業者の処理として次の4つが考えられます。
1、1,000円(税抜き)を請求した。
2、1,000円(税抜き)に100円の利益を上乗せして請求した。
消費税が請求できないため、利益を上乗せしたと考えます。
3、1,100円(税込み)を請求した。
利益の上乗せではなく支出と同額の1,100円を請求と考えます。
4、立替払いとして1,100円(税込み)を請求した。
実務上3か4と思います。3の場合、実費弁償費用を支払う課税事業者は、免税事業者からの仕入れとなるため、消費税控除ができません。4の場合、立替払いを行った人が免税事業者であっても、消費税控除が可能です。選択できるのであれば、4の立替払いを選択した方がいいと思いますが、質疑応答事例では、立替えではなく取引の対価として説明されています。
国税庁、質疑応答事例、実費弁償金の課税
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shohi/02/12.htm
実費弁償金の課税の取扱いはなかなか理解しづらいところですが、
インボイス制度前に確認しておく必要があります。
課税事業者が精算する場合
課税事業者が別の課税事業者に請求を行う場合、
次の2パターンが考えられます。
1、取引の対価として1,100円(税込み)を請求した。
実費弁償する諸費用を 支払った課税事業者A | 別の課税事業者B |
---|---|
諸費用1,000円 / 現金1,100円 仮払消費税100円 / | - |
現金1,100円 / 収益1,000円 / 仮受消費税100円 (サービスとして請求) | 諸費用1,000円 / 現金1,100円 仮払消費税100円 / |
2、立替払いとして1,100円(税込み)を請求した。
実費弁償する諸費用を 支払った課税事業者A | 別の課税事業者B |
---|---|
立替金1,100円 / 現金1,100円 | - |
現金1,100円 / 立替金1,100円 (立替え請求) | 諸費用1,000円 / 現金1,100円 仮払消費税100円 / |
課税事業者Bは1であっても2あっても消費税控除が可能ですが、
消費税控除の要件となるインボイスの保存資料が異なるため注意が必要です。
立替払いの参考情報
インボイス通達、4-2立替払に係る適格請求書
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/kansetsu/20180606/index.htm
消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/qa/01-01.pdf
問92、立替金