寄附金の定義


今回は、法人税の寄附金の定義を確認します。

規定の全体像

寄附金の損金不算入に関する規定の全体像を確認します。
特殊な規定については省略します。

  1. 一般寄附金の損金不算入
  2. 法人による完全支配関係がある場合の寄附金
  3. 国等に対する寄附金
  4. 特定公益増進法人対する寄附金
  5. みなし寄附金
  6. 特定公益信託
  7. 寄附金の定義 ← 今回確認
  8. 低額取引 ← 今回確認
  9. 確定申告等の手続き
  10. やむを得ない場合
  11. 告示
  12. その他政令
寄附金の定義

寄附金は定義されています。ポイントは次の4つです。

  1. 支出した名義を問いません。
  2. 資産の贈与、経済的利益の無償の供与であること
  3. 広告宣伝費、見本品費、交際費、福利厚生費等は除きます。
  4. 寄附金は、贈与・供与した時の価額で計算します。

税金計算上の寄附金は実質で判定します。
会計上の勘定科目や処理は関係ありません。

名目を問わず、資産の贈与、経済的利益の無償の供与については、
寄附金となり、損金算入に一定の制限がかかります。

ただし、資産の贈与、経済的利益の無償の供与であっても、
広告宣伝費、見本品費、交際費、福利厚生費等は寄附金から除外されます。
広告宣伝費などは法人の事業に必要なものだからです。

寄附金は時価で計算します。
資産を贈与した場合は、贈与をした時の価額です。
経済的利益の無償の供与の場合は、供与時の価額です。

例えば、1000万円のサービスを無償で供与した場合、
寄附金の金額は1000万円となります。

会計上の仕訳

借方貸方
仕訳なし
会計上の仕訳

税務上の仕訳

借方貸方
現金 1000万円サービス売上 1000万円
寄附金 1000万円
→損金算入に制限
現金 1000万円
税務上の仕訳
低額取引

資産の贈与と経済的利益の無償の供与が寄附金となり、損金算入に一定の制限がかかります。寄附金にならないようにするため、有償(例えば1円)で取引をした場合、どうなるでしょうか?

有償で取引した場合であっても、有償取引した金額が贈与(供与)した時の価額と比べて低いときは、取引した金額と時価との差額のうち実質的に贈与、無償の供与となるものは、税金計算上の寄附金となり、損金算入に一定の制限がかかります。

例えば、1000万円のサービスを600万円で供与した場合、差額400万円が発生します。400万円全額が実質的に無償の供与と判断した(された)場合、寄附金の金額は400万円となります。

会計上の仕訳

借方貸方
現金 600万円サービス売上 600万円
会計上の仕訳

税務上の仕訳

借方貸方
現金 1000万円サービス売上 1000万円
寄附金 400万円
→損金算入に制限
現金 400万円
税務上の仕訳
参考規定など

法人税の寄附金の考え方についてはこちら

寄附金の定義

7 前各項に規定する寄附金の額は、寄附金、拠出金、見舞金その他いずれの名義をもつてするかを問わず、内国法人が金銭その他の資産又は経済的な利益の贈与又は無償の供与(広告宣伝及び見本品の費用その他これらに類する費用並びに交際費、接待費及び福利厚生費とされるべきものを除く。次項において同じ。)をした場合における当該金銭の額若しくは金銭以外の資産のその贈与の時における価額又は当該経済的な利益のその供与の時における価額によるものとする。

法人税法37条

低額取引

8 内国法人が資産の譲渡又は経済的な利益の供与をした場合において、その譲渡又は供与の対価の額が当該資産のその譲渡の時における価額又は当該経済的な利益のその供与の時における価額に比して低いときは、当該対価の額と当該価額との差額のうち実質的に贈与又は無償の供与をしたと認められる金額は、前項の寄附金の額に含まれるものとする。

法人税法37条
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