小売店を経営する新設法人における登録の通知を受けるまでの間の適格簡易請求書の交付方法


今回は、インボイスのお問い合わせの多いご質問(令和5年8月21日掲載)のうち、「小売店を経営する新設法人における登録の通知を受けるまでの間の適格簡易請求書の交付方法」を確認します。

確認する内容

今回確認する内容はこちら。

国税庁、インボイス関係、Q&A、
よくあるお問合せなど、お問合せの多いご質問、P13-14
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/invoice_faq.htm

他にも同じ情報が複数あります。

制度開始に向けて特にご留意いただきたい事項(令和5年8月)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/0023008-044.pdf

インボイス制度において特にご留意いただきたい事項(PDF/720KB)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/0023008-030.pdf

今回は、お問合せの多いご質問の内容を確認していきます。

新設法人の取扱い

新設法人については、
登録の特例により遡ってインボイスの登録を受けることになります。

そのため、設立日から通知日までの間は、商品の販売等に併せてインボイスや簡易インボイスを発行することができず、通知を受けた後にインボイスを発行する必要があります。

問い合わせの内容は、
小売業の場合、インボイスではなく簡易インボイスが発行できますが、
「不特定かつ多数の者」に商品の販売等を行うため、
通知日以後、具体的な対応をどうすればよいか?というものです。

売り手の対応例

2つの対応例が公表されています。

・ 当該事業者(売手)のホームページ等において、「弊社の登録番号は『T1234…』となります。令和5年10月1日から令和5年●月●日(通知を受けた日)までの間のレシート等をお持ちの方で仕入税額控除を行う方におきましては、当ページを印刷するなどの方法により、レシートと併せて保存してください」と掲示する。

・ 買手側から電話等を受け、その際に登録番号をお知らせし、買手側においてその登録番号の記録とレシート等とを組み合わせてインボイスとして保存してもらう(これにより、買手は仕入税額控除を受けることができます。)。

お問合せの多いご質問(令和5年8月21日掲載)、P13-14
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/0521-1334-faq.pdf

2つとも、実務上の取扱いです。
(この2つも消費税法基本通達に組み込まれるのでしょうか?)

実務上の取扱いですので、
通知が届いた日までの経過的な取扱いである点に注意しましょう。

なお、こうした取扱いは、登録日から登録番号の通知が届いた日までにおける、経過的な取扱いとなります。したがって、お手元に登録番号の通知が届き、登録番号を記載した適格簡易請求書を交付できるようになった日以降は、記載事項を満たしたインボイスを交付していただく必要がありますので、ご注意ください。

お問合せの多いご質問(令和5年8月21日掲載)、P13-14
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/0521-1334-faq.pdf

簡易インボイス限定の取扱いだとすると、小売業に限らず、飲食店業や駐車場業、不特定かつ多数の者に行う事業も可能でしょうね。

(適格簡易請求書の交付が認められる事業の範囲)
第七十条の十一 法第五十七条の四第二項に規定する政令で定める事業は、次に掲げる事業とする。
一 小売業、飲食店業、写真業及び旅行業
二 道路運送法第三条第一号ハ(種類)に規定する一般乗用旅客自動車運送事業(当該一般乗用旅客自動車運送事業として行う旅客の運送の引受けが営業所のみにおいて行われるものとして同法第九条の三第一項(一般乗用旅客自動車運送事業の運賃及び料金)の国土交通大臣の認可を受けた運賃等(同項に規定する運賃等をいう。以下この号において同じ。)又は同条第三項の規定により定められた運賃等が適用されるものを除く。)
三 駐車場業(不特定かつ多数の者に自動車その他の車両の駐車のための場所を提供するものに限る。)
四 前三号に掲げる事業に準ずる事業で不特定かつ多数の者に資産の譲渡等を行うもの

消費税法施行令、施行日令和5年10月1日
買い手の取扱い

内容は2つです。

1つ目は、申告期限後にインボイス等を入手した場合の取扱いです。

気になる点は「事前に」の部分です。
申告前にインボイスの登録を受ける旨を確認する必要があります。

登録番号のない請求書等を受領した事業者(買手)においては、申告期限後に記載事項を満たす適格請求書等を受領する又は登録番号のお知らせを受けることとなった場合であっても、事前に売手が適格請求書発行事業者の登録を受ける旨を確認できたときは、登録番号のない請求書等に記載された金額を基礎として、仕入税額控除を行うこととして差し支えありません。この場合には、事後的に交付された適格請求書等や登録番号の通知を保存することが必要となります。

お問合せの多いご質問(令和5年8月21日掲載)、P13-14
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/0521-1334-faq.pdf

2つ目は、インボイス等を入手できなかった場合の取扱いです。

なお、事後的に適格請求書等の交付等を受けることができなかった場合には、仕入税額控除を行った翌課税期間において、本来の控除税額との差額を調整することとして差し支えありません。

お問合せの多いご質問(令和5年8月21日掲載)、P13-14
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/0521-1334-faq.pdf

修正申告は不要、翌期の仕訳修正で対応可能です。

仕訳例

借方貸方
経費 22,000円
(課税対象外、経過措置あり)
経費 22,000円
(課税仕入れ10%)
仕訳例

インボイス等を入手できなかった場合であっても、1万円未満の課税仕入れ(少額特例に該当する場合)については、インボイス保存要件がないため修正仕訳が不要となります。

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