少額の課税仕入れと控除対象外消費税額等


今回は、少額の課税仕入れと
控除対象外消費税額等の基本通達を確認してみましょう。

通達の確認

2023年12月27日に通達が改正されています。

「消費税法等の施行に伴う法人税の取扱いについて」等の一部改正について(法令解釈通達)
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/hojin/kaisei/231215/index.htm

簡易課税制度の仮払消費税の特例(令和6年度改正)に関する通達とは別に
少額の課税仕入れに関する通達も改正されています。

内容は変わっていません。

以下、基本通達を確認してみましょう。
今回確認する基本通達はこちら↓

経過的取扱い⑷…控除対象外消費税額等の対象となる消費税法の規定に関す
る経過措置)

税抜経理方式を適用することとなる法人が国内において行う課税仕入れ等につき、平成 28 年改正法附則第 53 条の2((請求書等の保存を要しない課税仕入れに関する経過措置)) の規定の適用を受ける場合におけるこの法令解釈通達による改正後の 14 の3((控除対象外消費税額等の対象となる消費税法の規定)) の取扱いについては、次による。
⑴ この法令解釈通達による改正後の 14 の3の「各号に定める金額」には、消費税法施行令等の一部を改正する政令(平成 30 年政令第 135 号)附則第24 条の2第2項((請求書等の保存を要しない課税仕入れの範囲等)) の規定による読替え後の消法令第 46 条第1項第6号((課税仕入れに係る消費税額の計算)) に定める金額を含む。
⑵ この法令解釈通達による改正後の 14 の3⑴に掲げる規定には、平成 28 年改正法附則第 53 条の2の規定による読替え後の消法第 30 条第7項((仕入れに係る消費税額の控除)) (ただし書を除く。)の規定を含む。

下線部分は改正後

改正後の14の3を確認してみましょう。

(控除対象外消費税額等の対象となる消費税法の規定)
14 の3 税抜経理方式を適用することとなる法人が国内において行う課税仕入れ等消法第2条第1項第 12 号((定義))に規定する課税仕入れ(特定課税仕入れを除く。)のうち、消法令第 46 条第1項各号((課税仕入れに係る消費税額の計算)) に掲げる課税仕入れの区分に応じ当該各号に定める金額があるもの以外のものを除く。)につき、消法第 30 条第2項((仕入れに係る消費税額の控除)) のほか、例えば、次の規定の適用を受ける場合には、当該規定の適用を受ける取引に係る仮払消費税等の額は、控除対象外消費税額等となることに留意する。
⑴ 消法第 30 条第7項及び第 10 項から第 12 項まで(同条第7項及び第 11 項にあっては、ただし書を除く。)
⑵ 消法第 36 条第5項((納税義務の免除を受けないこととなった場合等の棚卸資産に係る消費税額の調整))

※太文字部分が改正部分

文言は変わっていますが、内容は改正前と同じです。

ポイントは、課税仕入れのうち通達の対象部分です。
・施行令第46条第1項の「各号に定める金額」があるもの(通達の対象)
・施行令第46条第1項の「各号に定める金額」があるもの以外(除く)

上記の「各号に定める金額」には、
少額の課税仕入れ(税込み1万円未満)が含まれます。

(1)の消費税法第30条第7項(帳簿及び請求書等の保存)には、
少額の課税仕入れ(税込み1万円未満)が含まれます。

参考規定とコメント

請求書等の保存を要しない課税仕入れに関する経過措置

第五十三条の二 事業者(新消費税法第九条第一項本文の規定により消費税を納める義務が免除される事業者を除く。)が五年施行日から五年施行日以後六年を経過する日までの間に国内において行う課税仕入れ(その基準期間における課税売上高が一億円以下である課税期間又はその特定期間における課税売上高(消費税法第九条の二第一項に規定する特定期間における課税売上高をいう。)が五千万円以下である課税期間に行うものに限る。)について、当該課税仕入れに係る支払対価の額が少額である場合として政令で定める場合における新消費税法第三十条第七項の規定の適用については、同項中「帳簿及び請求書等(請求書等の交付を受けることが困難である場合、特定課税仕入れに係るものである場合その他の政令で定める場合における当該課税仕入れ等の税額については、帳簿)」とあるのは、「帳簿」とする。この場合において、当該課税仕入れについては、前二条の規定は、適用しない。

消費税法、附則(平成二八年三月三一日法律第一三号) 抄

少額の課税仕入れについては、
・帳簿
の保存で消費税の控除が可能となります。

請求書等(インボイス)の保存は、
消費税の控除要件から除外されています。

読替後の保存規定

7 第一項の規定は、事業者が当該課税期間の課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿を保存しない場合には、当該保存がない課税仕入れ、特定課税仕入れ又は課税貨物に係る課税仕入れ等の税額については、適用しない。ただし、災害その他やむを得ない事情により、当該保存をすることができなかつたことを当該事業者において証明した場合は、この限りでない。

消費税法第30条第7項、施行日令和5年11月29日

請求書等の保存を要しない課税仕入れの範囲等

第二十四条の二 二十八年改正法附則第五十三条の二に規定する政令で定める場合は、五年消費税法第三十条第八項第一号ニに規定する課税仕入れに係る支払対価の額が一万円未満である場合とする。
2 二十八年改正法附則第五十三条の二に規定する事業者が、同条の規定の適用を受ける課税仕入れを行った場合における当該課税仕入れに係る新令第四十六条の規定の適用については、同条第一項第六号中「掲げる課税仕入れ」とあるのは、「掲げる課税仕入れ又は所得税法等の一部を改正する法律(平成二十八年法律第十五号)附則第五十三条の二の規定の適用を受ける課税仕入れ」とする。

消費税法施行令、附則(平成三〇年三月三一日政令第一三五号) 抄

少額の課税仕入れの金額は、
税込み1万円未満と規定されています。

少額の課税仕入れについては、
消費税の控除できる金額に列挙されていないため、
消費税法施行令第46条第1項第6号の規定を読み替えて追加しています。

読替前

(課税仕入れに係る消費税額の計算)
第四十六条 法第三十条第一項に規定する政令で定めるところにより計算した金額は、次の各号に掲げる課税仕入れ(特定課税仕入れに該当するものを除く。以下この章において同じ。)の区分に応じ当該各号に定める金額の合計額に百分の七十八を乗じて算出した金額とする。
省略
六 第四十九条第一項第一号イからニまでに掲げる課税仕入れ 課税仕入れに係る支払対価の額(法第三十条第八項第一号ニに規定する課税仕入れに係る支払対価の額をいう。以下この章において同じ。)に百十分の十(当該課税仕入れが他の者から受けた軽減対象課税資産の譲渡等に係るものである場合には、百八分の八)を乗じて算出した金額(当該金額に一円未満の端数が生じたときは、当該端数を切り捨て、又は四捨五入した後の金額)

消費税法施行令、施行日令和5年10月1日

第6号は、一定の業種に係るインボイス保存不要取引に関する規定です。
(古物営業、質屋営業、宅地建物取引業、再生資源卸売業など)

読替後

(課税仕入れに係る消費税額の計算)
第四十六条 法第三十条第一項に規定する政令で定めるところにより計算した金額は、次の各号に掲げる課税仕入れ(特定課税仕入れに該当するものを除く。以下この章において同じ。)の区分に応じ当該各号に定める金額の合計額に百分の七十八を乗じて算出した金額とする。
省略
六 第四十九条第一項第一号イからニまでに掲げる課税仕入れ又は所得税法等の一部を改正する法律(平成二十八年法律第十五号)附則第五十三条の二の規定の適用を受ける課税仕入れ 課税仕入れに係る支払対価の額(法第三十条第八項第一号ニに規定する課税仕入れに係る支払対価の額をいう。以下この章において同じ。)に百十分の十(当該課税仕入れが他の者から受けた軽減対象課税資産の譲渡等に係るものである場合には、百八分の八)を乗じて算出した金額(当該金額に一円未満の端数が生じたときは、当該端数を切り捨て、又は四捨五入した後の金額)

少額の課税仕入れについても
税込み金額の10/110が消費税の控除の対象となります。

参考リンク
控除対象外消費税額等はどの部分?

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