少額減価償却資産の改正


今回は、少額減価償却資産(30万円未満)の改正を確認してみましょう。

税制改正大綱の内容

1つ30万円未満の減価償却資産(少額減価償却資産)については、
全額費用処理した場合に、原則として全額経費となります。

この少額減価償却資産の特例の改正で
気になるところ(500人か300人か)がありましたので、
確認したいと思います。

先に税制改正大綱を確認してみましょう。

(14)中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例について、対象法人から電子情報処理組織を使用する方法(e-Tax)により法人税の確定申告書等に記載すべきものとされる事項を提供しなければならない法人のうち常時使用する従業員の数が 300 人を超えるものを除外した上、その適用期限を2年延長する(適用期限の延長は、所得税についても同様とする。)。

財務省、令和6年度税制改正の大綱、62ページhttps://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2024/20231222taikou.pdf

・法人税の電子申告の義務がある法人
・常時使用する従業員数が300人を超える法人
この2つを満たす場合、特例の対象から除外されます。

法令の確認

先に改正前の規定を確認してみましょう。

(中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例)
第三十九条の二十八 法第六十七条の五第一項に規定する事務負担に配慮する必要があるものとして政令で定めるものは、常時使用する従業員の数が五百人以下の法人とする。

租税特別措置法施行令

少額減価償却資産の特例は、
事務負担に配慮するためのものですので、
・常時使用する従業員数が500人以下
の法人に限り適用が可能です。
(500人超の場合は適用できません。)

改正後の規定(官報)を確認してみましょう。

第三十九条の二十八第一項中「常時使用する従業員の数が五百人以下の」を「次に掲げる」 に改め、同項に次の各号を加える。
一 常時使用する従業員の数が五百人以下の法人(特定法人(法人税法第七十五条の四第二項に規定する特定法人をいう。次号において同じ。)を除く。)
二 常時使用する従業員の数が三百人以下の特定法人

読み替えてみましょう。

(中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例)
第三十九条の二十八 法第六十七条の五第一項に規定する事務負担に配慮する必要があるものとして政令で定めるものは、次に掲げる法人とする。
一 常時使用する従業員の数が五百人以下の法人(特定法人(法人税法第七十五条の四第二項に規定する特定法人をいう。次号において同じ。)を除く。)
二 常時使用する従業員の数が三百人以下の特定法人

1号は、常時使用する従業員数≦500人以下の法人
(特定法人を除く。)
2号は、常時使用する従業員数≦300人以下の特定法人
と規定されています。

500人以下の法人は特例の対象(ただし、特定法人は除外)。
特定法人であっても、300人以下は特例の対象と確認することができます。

特定法人

法人税の電子申告義務がある法人を
「特定法人」といいます。

具体的には、次の5つの法人です。
・事業年度開始時の資本金の額(出資金の額)が1億円超
・通算法人
・相互会社
・投資法人
・特定目的会社

「特定法人であっても、300人以下は特例の対象」
この部分だけ読むと、
資本金の額が1億円超の株式会社も特例の適用が可能と
読めそうですが、特例は適用できません。

少額減価償却資産の特例の対象法人は、
・中小企業者(原則として資本金の額が1億円以下)
・農業協同組合等
の2つです。

資本金の額が1億円超の株式会社は
中小企業者に含まれないため、特例の対象外となります。

ということで、今回の改正は、
農業協同組合等が対象となります。

参考規定、農業協同組合等

九 農業協同組合等 農業協同組合、農業協同組合連合会、中小企業等協同組合、出資組合である商工組合及び商工組合連合会、内航海運組合、内航海運組合連合会、出資組合である生活衛生同業組合、漁業協同組合、漁業協同組合連合会、水産加工業協同組合、水産加工業協同組合連合会、森林組合並びに森林組合連合会をいう。

租税特別措置法第42条の4第19項第9号


新しいこと
・とある桜餅

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