居住用財産の買換特例の1億円判定


今回は、居住用財産の買換えの1億円判定を確認してみましょう。

居住用財産の売却金額の数え方

居住用財産を買い替えた場合、
売却益の税金の課税を繰り延べる特例があります。
その特例を適用できない要件の1つに

・自宅等の売却金額が1億円を超える場合

があります。

この場合に、1つの自宅等を分割で売却した場合はどうなるでしょうか?

例えば、次の場合で考えてみましょう。
・1年目に5000万円、2年目に4000万円、3年目に3000万円で売却した場合

答えは、3年間の売却金額の合計額が1億円を超える場合、
売却益の税金の課税を繰り延べることができません。

上記の場合、3年目に合計1億円を超えているため、
3年目の3000万円は特例の対象外となります。
1年目の5000万円、2年目の4000万円も特例の対象外となります。

例外として、他の特例の売却に該当する場合は、
1億円の計算から除外されます。

他の特例、租税特別措置法
・第33条の4第1項、
 収用交換等の場合の譲渡所得等の特別控除
・第34条第1項、
 特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の譲渡所得の特別控除
・第34条の2第1項、
 特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の譲渡所得の特別控除

贈与等をした場合

合計1億円を回避するために贈与(ただで渡した)や
低額譲渡(時価の1/2未満で売却)をした場合は、
時価(通常の金額)で売却したものとして1億円判定をします。

例えば、
・1年目 5000万円
・2年目 4000万円
・3年目 3000万円
合計1億2000万円で売却した場合

3年目の売却を贈与に変更したとしても、
3000万円で売却したものとして1億円判定をします。
3年目の売却金額を1000万円(時価の1/2未満)に変更したとしても同様です。

参考規定

売却金額が合計1億円を超える場合の不適用

3 第一項(前項において準用する場合を含む。以下この条において同じ。)の規定は、譲渡資産の譲渡をした個人が、当該譲渡をした日の属する年又はその年の前年若しくは前々年に、当該譲渡資産と一体として当該個人の居住の用に供されていた家屋又は土地若しくは土地の上に存する権利の譲渡(第三十三条の四第一項に規定する収用交換等による譲渡その他の政令で定める譲渡(次項において「収用交換等による譲渡」という。)を除く。以下この項及び次項において「前三年以内の譲渡」という。)をしている場合において、当該前三年以内の譲渡に係る対価の額と当該譲渡資産の譲渡に係る対価の額との合計額が一億円を超えることとなるときは、適用しない。

租税特別措置法第36条の2第3項、施行日令和5年10月1日

規定を整理してみましょう。


第1項(注1)の規定は、譲渡資産の譲渡をした個人が、
当該譲渡をした日の属する年又はその年の前年若しくは前々年に、

当該譲渡資産と一体として当該個人の居住の用に供されていた家屋又は
土地若しくは土地の上に存する権利の譲渡(注2)をしている場合において、

当該前三年以内の譲渡に係る対価の額と
当該譲渡資産の譲渡に係る対価の額との合計額が
1億円を超えることとなるときは、適用しない。

注1、前項(第2項)において準用する場合を含む。以下この条において同じ。

注2、第33条の4第1項に規定する収用交換等による譲渡
その他の政令で定める譲渡(注2-1)を除く。
以下この項及び次項において「前三年以内の譲渡」という。

注2-1、次項において「収用交換等による譲渡」という。


除外される譲渡

8 法第三十六条の二第三項に規定する政令で定める譲渡は、次に掲げる譲渡とする。
一 法第三十三条の四第一項に規定する収用交換等による譲渡
二 法第三十四条第一項又は第三十四条の二第一項の規定の適用を受ける譲渡

租税特別措置法施行令第24条の2第8項、施行日令和5年10月1日

売却金額が合計1億円を超える場合の不適用

4 第一項の規定は、譲渡資産の譲渡をした個人が、当該譲渡をした日の属する年の翌年又は翌々年に、当該譲渡資産と一体として当該個人の居住の用に供されていた家屋又は土地若しくは土地の上に存する権利の譲渡(収用交換等による譲渡を除く。)をした場合において、当該家屋又は土地若しくは土地の上に存する権利の譲渡に係る対価の額と当該譲渡資産の譲渡に係る対価の額(前三年以内の譲渡がある場合には、前項の合計額)との合計額が一億円を超えることとなつたときは、適用しない。

租税特別措置法第36条の2第4項、施行日令和5年10月1日

規定を整理してみましょう。


第1項の規定は、譲渡資産の譲渡をした個人が、
当該譲渡をした日の属する年の翌年又は翌々年に、
当該譲渡資産と一体として当該個人の居住の用に供されていた家屋又は
土地若しくは土地の上に存する権利の譲渡(注1)をした場合において、

当該家屋又は土地若しくは土地の上に存する権利の譲渡に係る対価の額と
当該譲渡資産の譲渡に係る対価の額(注2)との合計額が
1億円を超えることとなつたときは、適用しない。

注1、収用交換等による譲渡を除く。

注2、前三年以内の譲渡がある場合には、前項の合計額


贈与等した場合の判定

9 法第三十六条の二第一項に規定する譲渡資産の譲渡をした個人が、当該譲渡をした日の属する年、その年の前年若しくは前々年又はその年の翌年若しくは翌々年に当該譲渡資産と一体として当該個人の居住の用に供されていた家屋又は土地若しくは土地の上に存する権利の譲渡をした場合において、当該譲渡が贈与(著しく低い価額の対価による譲渡として財務省令で定めるものを含む。以下この項において同じ。)によるものである場合における同条第三項及び第四項の規定の適用については、当該贈与の時における価額に相当する金額をもつてこれらの規定に規定する譲渡に係る対価の額とする。

租税特別措置法施行令第24条の2第9項、施行日令和5年10月1日

時価の1/2未満基準

4 施行令第二十四条の二第九項に規定する財務省令で定める譲渡は、譲渡資産と一体として個人の居住の用に供されていた家屋又は土地若しくは土地の上に存する権利(以下この項において「家屋等」という。)の譲渡に係る対価の額が、当該家屋等の譲渡の時における価額の二分の一に満たない金額である場合の当該譲渡とする。

租税特別措置法施行規則第18条の4第4項、施行日令和5年10月1日
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