居住用賃貸建物の消費税控除の制限


支払った消費税については原則全額控除できますが、様々な理由により支払った消費税の控除(仕入税額控除)を制限している場合があります。

今回は、近年改正があった「居住用賃貸建物」について確認します。

居住用賃貸建物の仕入税額控除の制限

先に規定を確認します。

10 第一項の規定は、事業者が国内において行う別表第一第十三号に掲げる住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物(その附属設備を含む。以下この項において同じ。)以外の建物(第十二条の四第一項に規定する高額特定資産又は同条第二項に規定する調整対象自己建設高額資産に該当するものに限る。第三十五条の二において「居住用賃貸建物」という。)に係る課税仕入れ等の税額については、適用しない。

消費税法第30条第10項

「第1項の規定は、適用しない。」は、
消費税の控除ができないという意味です。以下、内容を確認します。

居住用賃貸建物とは

規定が複雑ですので、左に規定、右に概要を書きます。

規定概要
 国内において行う別表第一第十三号に掲げる住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物(その附属設備を含む。以下この項において同じ。)国内において、住宅の貸付けに使わないことが「明らかな」建物
 以外の建物(第十二条の四第一項に規定する高額特定資産又は同条第二項に規定する調整対象自己建設高額資産に該当するものに限る。第三十五条の二において「居住用賃貸建物」という。)以外の建物
(高額特定資産・調整対象自己建設高額資産に限る)
 
→ 居住用賃貸建物
 に係る課税仕入れ等の税額については、居住用賃貸建物に係る消費税

居住用賃貸建物の定義と概要

規定の内容は次の2つです。

  1.  住宅の貸付用に使わないことが明らかな建物(例、事務所用の賃貸建物)以外の建物(居住用の賃貸建物)です。
  2.  居住用の賃貸建物のうち、「高額特定資産」か「調整対象自己建設高額資産」に該当するものを「居住用賃貸建物」といいます。この「高額」は1000万円以上のものです。
まとめ
金額居住用、一部居住用事務所用
高額(1000万円以上)居住用賃貸建物
→消費税控除できない
消費税控除できる
高額でない用途区分で判断消費税控除できる
居住用賃貸建物の判定

 結論は「居住用賃貸建物の消費税は控除できない」となります。「住宅」の「貸付け」も複雑な規定で、次回内容を確認します。

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