帳簿書類の整理保存とデータ保存


電子帳簿保存法は、法人税法と所得税法の特例を確認します。
今回は、法人税法の取扱い(帳簿・書類の保存)を確認していきます。

青色申告法人の帳簿書類

ルールに従って、帳簿書類を備え付けて、帳簿書類に取引を記録して、帳簿書類を保存する必要があります。詳しくは財務省令に規定されていますが、個別に対応している規定がありませんので、必要なものだけ確認していきます。

参考規定

(青色申告法人の帳簿書類)
第百二十六条 第百二十一条第一項(青色申告)の承認を受けている内国法人は、財務省令で定めるところにより、帳簿書類を備え付けてこれにその取引を記録し、かつ、当該帳簿書類を保存しなければならない。

法人税法126条
取引に関する帳簿と記載事項

借方と貸方に仕訳する帳簿(仕訳帳)と科目別に分類した帳簿(総勘定元帳)を備え付け、別表20にしたがって、取引を記載する必要があります。別表20とは、ある取引ごとに記載事項をまとめた表です。例えば、現金であれば、取引の年月日、事由、出納先、金額、日々の残高の5項目です。

参考規定

(取引に関する帳簿及び記載事項)
第五十四条 青色申告法人は、全ての取引を借方及び貸方に仕訳する帳簿(次条において「仕訳帳」という。)、全ての取引を勘定科目の種類別に分類して整理計算する帳簿(次条において「総勘定元帳」という。)その他必要な帳簿を備え、別表二十に定めるところにより、取引に関する事項を記載しなければならない。

法人税法施行規則54条
仕訳帳及び総勘定元帳の記載方法

仕訳帳には、取引の発生順に、いつ、何を(摘要欄など)、科目、金額を記載します。総勘定元帳には、いつ、相手科目、金額を記載します。総勘定元帳には、取引内容の記載義務がありませんが通常は記載します。

参考規定

(仕訳帳及び総勘定元帳の記載方法)
第五十五条 青色申告法人は、仕訳帳には、取引の発生順に、取引の年月日、内容、勘定科目及び金額を記載しなければならない。
2 青色申告法人は、総勘定元帳には、その勘定ごとに記載の年月日、相手方勘定科目及び金額を記載しなければならない。

法人税法施行規則55条
帳簿書類の整理保存 

青色申告の法人は帳簿書類を整理して、7年間保存する必要があります。帳簿書類は、1号の帳簿(仕訳帳・総勘定元帳など)、2号の書類(損益計算書、貸借対照表など)、3号の書類(領収書・請求書など)の3つです。これらの帳簿書類の規定に合わせて、電子帳簿保存法が規定されています。

参考規定、電子帳簿保存法の基となる規定

(帳簿書類の整理保存)
第五十九条 青色申告法人は、次に掲げる帳簿書類を整理し、起算日から七年間、これを納税地(第三号に掲げる書類にあつては、当該納税地又は同号の取引に係る国内の事務所、事業所その他これらに準ずるものの所在地)保存しなければならない。

一 第五十四条(取引に関する帳簿及び記載事項)に規定する帳簿並びに当該青色申告法人の資産、負債及び資本に影響を及ぼす一切の取引に関して作成されたその他の帳簿

二 棚卸表、貸借対照表及び損益計算書並びに決算に関して作成されたその他の書類

三 取引に関して、相手方から受け取つた注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類及び自己の作成したこれらの書類でその写しのあるものはその写し

法人税法施行規則59条
法人税法と電子帳簿保存法との比較

左が法人税(紙保存)、右が電子帳簿保存法(データ保存)です。下記比較表を見ると、対象となる帳簿や書類が理解しやすくなると思います。

法人税法施行規則59条(紙保存)電子帳簿保存法4条(データ保存)
一 第五十四条(取引に関する帳簿及び記載事項)に規定する帳簿並びに当該青色申告法人の資産、負債及び資本に影響を及ぼす一切の取引に関して作成されたその他の帳簿帳簿の電子保存
1 保存義務者は、国税関係帳簿(財務省令で定めるものを除く。以下この項、次条第一項及び第三項並びに第八条第一項及び第四項において同じ。)の全部又は一部について、自己が最初の記録段階から一貫して電子計算機を使用して作成する場合には、財務省令で定めるところにより、当該国税関係帳簿に係る電磁的記録の備付け及び保存をもって当該国税関係帳簿の備付け及び保存に代えることができる。
二 棚卸表、貸借対照表及び損益計算書並びに決算に関して作成されたその他の書類書類の電子保存
スキャナ保存できない。
2 保存義務者は、国税関係書類の全部又は一部について、自己が一貫して電子計算機を使用して作成する場合には、財務省令で定めるところにより、当該国税関係書類に係る電磁的記録の保存をもって当該国税関係書類の保存に代えることができる。
三 取引に関して、相手方から受け取つた注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類及び自己の作成したこれらの書類でその写しのあるものはその写し書類の電子保存
スキャナ保存できる。
3 前項に規定するもののほか、保存義務者は、国税関係書類(財務省令で定めるものを除く。以下この項において同じ。)の全部又は一部について、当該国税関係書類に記載されている事項を財務省令で定める装置により電磁的記録に記録する場合には、財務省令で定めるところにより、当該国税関係書類に係る電磁的記録の保存をもって当該国税関係書類の保存に代えることができる。

この場合において、当該国税関係書類に係る電磁的記録の保存が当該財務省令で定めるところに従って行われていないとき(当該国税関係書類の保存が行われている場合を除く。)は、当該保存義務者は、当該電磁的記録を保存すべき期間その他の財務省令で定める要件を満たして当該電磁的記録を保存しなければならない。
法人税法と電帳法の比較

法人税法では、以前から紙による保存義務がありますので、電調法ではデータ保存を認める規定(できる規定)になっています。上記3つの帳簿書類とは別に、電子取引の取引情報については、法人税法に何も規定していませんので、電帳法で保存義務規定を設けています。

法人税法電子帳簿保存法(原則)
規定なし(電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存)
第七条 所得税(源泉徴収に係る所得税を除く。)及び法人税に係る保存義務者は、電子取引を行った場合には、財務省令で定めるところにより、当該電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存しなければならない。
法人税法と電帳法の比較2
PAGE TOP