平成21年・平成22年に取得した土地等を譲渡した場合の1,000万円の特別控除


今回は、「平成21年から平成22年に取得した土地等を
譲渡した場合の1,000万円の特別控除」を確認してみましょう。

1000万円の特別控除

平成21年、平成22年に取得した一定の土地等の
譲渡所得については、1,000万円の特別控除があります。

計算イメージ

(長期譲渡所得の金額-1,000万円の特別控除)×15%
=長期譲渡所得の所得税

例えば、譲渡収入3,000万円、取得費2,000万円の場合

1、譲渡収入
 3,000万円
2、取得費
 2,000万円
3、譲渡所得
 1-2=1,000万円
4、特別控除後の譲渡所得
 3-1,000万円=0円

譲渡に含まれるもの、譲渡に含まれないもの

土地等の譲渡には、
「譲渡所得となる不動産等の貸付け」が含まれます。

通常、不動産等の貸付けは不動産所得となりますが、
一定の貸付けについては、不動産所得ではなく譲渡所得となります。

この譲渡所得となる不動産等の貸付けについては、
1,000万円の特別控除が使用できます。

反対に土地等の譲渡であっても
固定資産の交換の場合の譲渡所得の特例(所得税法第58条)などの
譲渡については、土地等の譲渡に含まれません。

土地等を交換した場合、譲渡所得の計算を行いますが、
1,000万円の特別控除は使用できません。

手続き

1,000万円の特別控除を使用する場合には、
次の2つの要件を満たす必要があります。

  1. 確定申告書に特別控除を使用する旨を記載する。
  2. 確定申告書に特別控除が使用できる証明書類を添付する。
    (登記事項証明書、売買契約書の写し)
参考規定

規定の要約

個人が、平成21年1月1日から平成22年12月31日までの間に取得(注1)をした国内にある土地又は土地の上に存する権利(土地等)で、その年1月1日において、所有期間(措法31②)が5年を超えるものの譲渡をした場合には、その者がその年中にその譲渡をした土地等の全部又は一部につき、一定の適用を受ける場合を除き、これらの全部の土地等の譲渡に対する長期譲渡所得の課税の特例(措法31)の適用については、読み替え規定を適用します。

注1、その個人の配偶者その他のその個人と政令で定める特別の関係がある者からの取得並びに相続、遺贈、贈与及び交換によるものその他の政令で定めるものを除く。

以下、3つの取得は、取得から除外されます。
1、親族等から取得したもの
2、相続など特殊な理由により取得したもの
3、代物弁済により取得したもの
4、所有権移転外リース取引による取得したもの
  (所有権移転は除外されません。)


読み替え規定

(省略)長期譲渡所得の金額から千万円(長期譲渡所得の金額のうち第三十五条の二第一項の規定に該当する土地等の譲渡に係る部分の金額が千万円に満たない場合には、当該土地等の譲渡に係る部分の金額)を控除した金額第三項第三号の規定により読み替えられた同法第七十二条から第八十七条までの規定の適用がある場合には、その適用後の金額。以下第三十一条の三までにおいて「課税長期譲渡所得金額」という。)の百分の十五に相当する金額に相当する所得税を課する。この場合において、長期譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額があるときは、同法その他所得税に関する法令の規定の適用については、当該損失の金額は生じなかつたものとみなす。

租税特別措置法31条、長期譲渡所得の課税の特例

(特定期間に取得をした土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除)
第三十五条の二 個人が、平成二十一年一月一日から平成二十二年十二月三十一日までの間に取得(当該個人の配偶者その他の当該個人と政令で定める特別の関係がある者からの取得並びに相続、遺贈、贈与及び交換によるものその他政令で定めるものを除く。)をした国内にある土地又は土地の上に存する権利(以下この項及び次項において「土地等」という。)で、その年一月一日において第三十一条第二項に規定する所有期間が五年を超えるものの譲渡をした場合には、その者がその年中にその譲渡をした土地等の全部又は一部につき第三十三条から第三十三条の三まで、第三十六条の二、第三十六条の五、第三十七条、第三十七条の四又は第三十七条の八の規定の適用を受ける場合を除き、これらの全部の土地等の譲渡に対する第三十一条の規定の適用については、同条第一項中「長期譲渡所得の金額(」とあるのは、「長期譲渡所得の金額から千万円(長期譲渡所得の金額のうち第三十五条の二第一項の規定に該当する土地等の譲渡に係る部分の金額が千万円に満たない場合には、当該土地等の譲渡に係る部分の金額)を控除した金額(」とする。

2 前項の土地等の譲渡には、譲渡所得の基因となる不動産等の貸付けを含むものとし、所得税法第五十八条の規定又は第三十三条の四若しくは第三十四条から前条までの規定の適用を受ける譲渡を含まないものとする。

3 第一項の規定は、同項の規定の適用を受けようとする年分の確定申告書に、同項の規定の適用を受ける旨の記載があり、かつ、同項の規定に該当する旨を証する書類として財務省令で定めるものの添付がある場合に限り、適用する。

4 税務署長は、確定申告書の提出がなかつた場合又は前項の記載若しくは添付がない確定申告書の提出があつた場合においても、その提出又は記載若しくは添付がなかつたことについてやむを得ない事情があると認めるときは、当該記載をした書類及び同項の財務省令で定める書類の提出があつた場合に限り、第一項の規定を適用することができる。

租税特別措置法35条の2、特定期間に取得をした土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除

所有期間

2 前項に規定する所有期間とは、当該個人がその譲渡をした土地等又は建物等をその取得(建設を含む。)をした日の翌日から引き続き所有していた期間として政令で定める期間をいう。

租税特別措置法31条

施行令

(特定期間に取得をした土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除)
第二十三条の二 法第三十五条の二第一項に規定する当該個人と政令で定める特別の関係がある者は、次に掲げる者とする。
一 当該個人の配偶者及び直系血族
二 当該個人の親族(前号に掲げる者を除く。)で当該個人と生計を一にしているもの
三 当該個人と婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者及びその者の親族でその者と生計を一にしているもの
四 前三号に掲げる者及び当該個人の使用人以外の者で当該個人から受ける金銭その他の財産によつて生計を維持しているもの及びその者の親族でその者と生計を一にしているもの
五 当該個人、当該個人の第一号及び第二号に掲げる親族、当該個人の使用人若しくはその使用人の親族でその使用人と生計を一にしているもの又は当該個人に係る前二号に掲げる者を判定の基礎となる所得税法第二条第一項第八号の二に規定する株主等とした場合に法人税法施行令第四条第二項に規定する特殊の関係その他これに準ずる関係のあることとなる会社その他の法人

2 法第三十五条の二第一項に規定する政令で定める取得は、代物弁済としての取得及び所得税法施行令第百二十条の二第二項第五号に規定する所有権移転外リース取引による取得とする。

3 法第三十五条の二の規定を適用する場合における第二十条の規定の適用については、同条第二項中「同項」とあるのは「法第三十五条の二第一項」と、「土地等又は建物等(次項において「土地等又は建物等」という。)」とあるのは「土地等」と、「取得(建設を含む。次項において同じ。)」とあるのは「同項に規定する取得」とし、同条第三項の規定は、適用しない。

租税特別措置法施行令23条の2

(特定期間に取得をした土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除)
第十八条の三 法第三十五条の二第三項に規定する財務省令で定める書類は、同条第一項の譲渡をした同項に規定する土地等に係る登記事項証明書、売買契約書の写しその他の書類で、当該土地等が平成二十一年一月一日から平成二十二年十二月三十一日までの間に同項に規定する取得をされたものであることを明らかにする書類とする。

租税特別措置法施行規則18条の3
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