年末調整の定額減税の法案を確認してみよう。


今回は、年末調整の定額減税の法案を確認してみましょう。

所得税法等の一部を改正する法律案は、こちら↓
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g21309001.htm

年末調整の計算

規定を確認してみましょう。

(令和六年における年末調整に係る特別控除の額の控除等)
 第四十一条の三の八 居住者の令和六年中に支払の確定した給与等に対する所得税法第百九十条の規定の適用については、同条第二号に掲げる税額は、当該税額に相当する金額から年末調整特別控除額を控除した金額に相当する金額とする。ただし、その者のその年分の所得税に係るその年の合計所得金額の見積額が千八百五万円を超える場合については、この限りでない。

所得税法等の一部を改正する法律案

月次給与の定額減税は6月からスタートしますが、
年末調整の定額減税の対象は、
・令和6年中に支払の確定した給与等
となります。

令和6年1月から5月までの給与等も対象です。

年末調整については、
・月次給与の源泉徴収税額(月々の源泉徴収税額の合計)
・年末調整の源泉徴収税額(年間の確定額)
上記2つを比較します。

月々の源泉徴収税額の合計の方が多い場合は、
年末調整で源泉所得税が従業員等に還付されます。

月々の源泉徴収税額の合計の方が少ない場合は、
年末調整で源泉所得税を従業員等から徴収します。

例えば、次の場合

1、月次給与の源泉徴収税額(月々の合計額) 50,000円

2、年末調整の源泉徴収税額(確定額) 40,000円

3、40,000円(確定額)-50,000(月々の合計額)=△10,000円
となり、10,000円が還付となります。

定額減税を考慮した場合

1、月次給与の源泉徴収税額
 50,000円-30,000円(原則1人30,000円)=20,000円

2、年末調整の源泉徴収税額
 40,000円-30,000円(年末調整特別控除額)=10,000円

3、10,000円(確定額)-20,000円(月々の合計額)=△10,000円
となり、10,000円が還付となります。

留意点1
・月々の定額減税は「給与特別控除額」
・年末調整の定額減税は「年末調整特別控除額」
と定義されており、再度定額減税の計算(判定)が必要となります。

留意点2
年末調整では、
・合計所得金額の見積額が1805万円(給与収入2000万円)
を超える場合は、定額減税が適用されなくなります。

留意点3
「合計所得金額」が要件となるため、
譲渡所得の特別控除(3000万円や5000万円)は考慮されないのでしょう。

年末調整特別控除額

年末調整の定額減税についても、
月次給与の定額減税と考え方はほとんど同じです。

規定を確認してみましょう。

 2 前項に規定する年末調整特別控除額は、三万円(次に掲げる者がある場合には、三万円にこれらの者一人につき三万円を加算した金額)とする。この場合において、当該金額が令和六年中に支払の確定した給与等につき所得税法第百九十条の規定(第四十一条の二の二の規定その他財務省令で定める規定の適用がある場合には、これらの規定を含む。)を適用して求めた同法第百九十条第二号に掲げる税額を超える場合には、年末調整特別控除額は、当該税額に相当する金額とする。
 一 所得税法第百九十五条の二第三項に規定する給与所得者の配偶者控除等申告書に記載された控除対象配偶者(同法第二条第一項第三十三号の二に規定する控除対象配偶者をいい、居住者に限る。)
 二 給与所得者の扶養控除等申告書に記載された控除対象扶養親族
 三 第四項に規定する申告書に記載された同一生計配偶者(第一号に掲げる者を除く。)
 四 第四項に規定する申告書に記載された扶養親族(第二号に掲げる者を除く。)

所得税法等の一部を改正する法律案

年末調整の定額減税については、
源泉所得税<定額減税(原則1人3万円)となる場合は、
源泉所得税が控除の上限となります。

上記の数字を少し変えて計算してみます。

1、月次給与の源泉徴収税額
 50,000円-30,000円(原則1人30,000円)=20,000円

2、年末調整の源泉徴収税額
 15,000円-15,000円(控除上限)=0円
 15,000円<30,000円(年末調整特別控除額)→15,000円

3、0円(確定額)-20,000円(月々の合計額)=△20,000円
となり、20,000円が還付となります。

仮に定額減税がない場合で計算してみます。

1、月次給与の源泉徴収税額
 50,000円

2、年末調整の源泉徴収税額
 15,000円

3、精算
 15,000円(確定額)-50,000円(月々の合計額)=△35,000円
となり、35,000円が還付となります。

還付額だけで比較すると15,000円減少しています。

1、定額減税がない場合
 15,000円(確定額)-50,000円=△35,000円

2、定額減税がある場合
 0円(確定額)-(50,000円-30,000円)=△20,000円

・月次給与で先にマイナスした金額、30,000円
・年末調整で後でマイナスした金額、15,000円

マイナスしすぎた金額の15,000円は、
考慮されないことになります。

月次給与の定額減税も年末調整の定額減税も
源泉徴収された税額が控除の上限だからです。

定額減税を受けるための申告書

「定額減税を受けるための申告書」については、
提出期限が設けられています。

提出期限は、
「その年最後に給与等の支払を受ける日」まで。

提出先は、給与等の支払者(会社など)です。

月次給与の定額減税については任意規定ですが、
年末調整の定額減税については義務規定となっています。

参考規定

4 国内において給与等の支払を受ける居住者は、所得税法第百九十条に規定する過不足の額の計算上、第二項第三号又は第四号に掲げる者に係る同項に規定する年末調整特別控除額について第一項の規定の適用を受けようとする場合には、その給与等の支払者(二以上の給与等の支払者から給与等の支払を受ける場合には、主たる給与等の支払者)からその年最後に給与等の支払を受ける日までに、当該第二項第三号又は第四号に掲げる者の氏名及び個人番号(個人番号を有しない者にあつては、氏名)その他の財務省令で定める事項を記載した申告書を、当該給与等の支払者を経由して、その給与等に係る所得税の同法第十七条の規定による納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。

所得税法等の一部を改正する法律案
参考資料

令和6年分所得税の定額減税Q&A
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/0024001-021.pdf


新しいこと
・とあるイルミネーション

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