延払基準の経理を止めた場合等のリース譲渡の消費税


今回は、延払基準の経理を止めた場合等のリース譲渡の消費税を確認してみましょう。

延払基準の経理を止めた場合等

消費税のリース譲渡を選択している事業者が、
・所得税の延払基準の経理を止めた
・法人税の延払基準の経理を止めた
場合には、消費税のリース譲渡の特例が自動的に終了します。
繰り延べている売上の精算が必要となります。

他にも、法人税の計算において、
・非適格株式交換等があった場合
・通算制度の開始・加入・離脱等があった場合
のリース譲渡の精算があるときも消費税のリース譲渡の特例が終了します。

法人税の取扱いについて
・非適格株式交換等があった場合
・通算制度の開始・加入・離脱等があった場合
には、一定の資産について時価評価(含み損益の精算)をします。

リース譲渡の繰り延べられた売上と売上原価(コスト)は、含み損益ではないため、別にリース譲渡の精算規定が設けられています。

普通法人から公益法人等に移行する場合

消費税のリース譲渡の特例を選択している事業者が、普通法人から公益法人等に移行する場合は、消費税のリース譲渡の特例が自動的に終了します。繰り延べている売上の精算が必要となります。

法人税の計算では、普通法人と公益法人等で課税範囲が異なります。
(普通法人は全所得課税、公益法人等は収益事業課税)

そのため、普通法人から公益法人等に移行する場合は、移行日の前日に普通法人が解散したものとなり、法人税のリース譲渡の精算が必要となります。

具体例で確認してみましょう。
・法人税のリース譲渡の残額が売上1,000、売上原価800
・消費税のリース譲渡の残額が課税売上100、経費の繰延はできません。

普通法人から公益法人等に移行した場合、
移行日の前日の事業年度(課税期間)で、
法人税については、売上1,000は益金算入、売上原価800は損金算入、
消費税については、課税売上100を計上する必要があります。

法人税と消費税の取扱いを合わせている理由
仮に消費税のリース譲渡の残額を精算しない場合、
リース譲渡の残額のうち非収益事業に対応する部分については、
損金算入ができず、バランスが取れなくなるからでしょう。

消費税のリース譲渡の特例を止める場合

消費税のリース譲渡の特例を選択している事業者は、法人税・所得税の延払基準の経理を継続した上で消費税のリース譲渡の特例のみを止めることができます。

参考規定

延払基準の経理を止めた場合等の消費税

(延払基準の方法により経理しなかつた場合等の処理)
第三十二条 リース譲渡につき法第十六条第二項本文の規定の適用を受けている事業者が同項ただし書の規定の適用を受けることとなつた場合には、当該リース譲渡で同項本文の規定の適用を受けていたもののうち、当該リース譲渡に係る賦払金の額で所得税法第六十五条第一項ただし書(リース譲渡に係る収入及び費用の帰属時期)に規定する経理しなかつた年の十二月三十一日の属する課税期間又は法人税法第六十三条第一項ただし書(リース譲渡に係る収益及び費用の帰属事業年度)に規定する経理しなかつた決算に係る事業年度終了の日の属する課税期間若しくは同条第三項若しくは第四項の規定の適用を受けた事業年度終了の日の属する課税期間の初日以後にその支払の期日が到来するもの(これらの課税期間の初日の前日以前に既に支払を受けたものを除く。)に係る部分は、当該事業者がこれらの課税期間において資産の譲渡等を行つたものとみなす。

消費税法施行令第32条第1項、施行令令和6年4月1日

普通法人から公益法人等に移行する場合のリース譲渡の消費税

2 リース譲渡につき法第十六条第二項本文の規定の適用を受けている事業者が法人税法施行令第百二十五条第三項(延払基準の方法により経理しなかつた場合等の処理)の規定の適用を受けることとなつた場合には、当該リース譲渡で法第十六条第二項本文の規定の適用を受けていたもののうち、当該リース譲渡に係る賦払金の額で同令第百二十五条第三項に規定する前日の属する事業年度終了の日の属する課税期間の初日以後にその支払の期日が到来するもの(当該課税期間の初日の前日以前に既に支払を受けたものを除く。)に係る部分は、法第十六条第二項本文の規定にかかわらず、当該事業者が当該課税期間において資産の譲渡等を行つたものとみなす。

消費税法施行令第30条第2項、施行日令和6年4月1日

普通法人から公益法人等に移行する場合のリース譲渡の法人税

3 法第六十三条第一項本文又は第二項本文の規定の適用を受けている普通法人又は協同組合等が公益法人等に該当することとなる場合には、その適用を受けているリース譲渡に係る収益の額及び費用の額(その該当することとなる日の前日の属する事業年度前の各事業年度の所得の金額の計算上益金の額及び損金の額に算入されるものを除く。)は、その該当することとなる日の前日の属する事業年度の所得の金額の計算上、益金の額及び損金の額に算入する。

法人税法施行令第125条第3項、施行日令和6年4月1日

消費税のリース譲渡の特例を止める場合の消費税

3 リース譲渡につき法第十六条第一項の規定の適用を受けている事業者が同項の規定の適用を受けることとした課税期間の翌課税期間以後のいずれかの課税期間において同項の規定の適用を受けないこととした場合(前二項に規定する場合に該当する場合を除く。)には、その適用を受けないこととした課税期間の初日の前日以前に行つたリース譲渡で同条第二項本文の規定の適用を受けていたもののうち、その適用を受けないこととしたリース譲渡に係る賦払金の額で当該課税期間の初日以後にその支払の期日が到来するもの(当該課税期間の初日の前日以前に既に支払を受けたものを除く。)に係る部分は、同項本文の規定にかかわらず、当該事業者が当該課税期間において資産の譲渡等を行つたものとみなす。

消費税法施行令第32条第3項、施行令令和6年4月1日
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