延払条件付譲渡の消費税特例の準用規定


今回は、延払条件付譲渡の消費税の特例に関する準用規定を確認してみましょう。

準用規定

先に準用規定を確認してみましょう。

4 第三十二条第三項の規定は第二項の規定の適用を受けている個人事業者が同項の規定の適用を受けないこととした場合について、第三十三条の規定は当該個人事業者が同条各号に掲げる場合に該当することとなつた場合について、第三十四条第一項の規定は当該個人事業者が同項各号に掲げる場合に該当することとなつた場合について、それぞれ準用する。

この場合において、第三十二条第三項中「リース譲渡で同条第二項本文」とあるのは「第三十六条第一項に規定する延払条件付譲渡(以下この項、第三十三条及び第三十四条において「延払条件付譲渡」という。)で第三十六条第二項」と、「リース譲渡に係る」とあるのは「延払条件付譲渡に係る」と、「同項本文」とあるのは「同項」と、第三十三条及び第三十四条第一項中「リース譲渡で同項本文」とあるのは「延払条件付譲渡で第三十六条第二項」と、「当該リース譲渡」とあるのは「当該延払条件付譲渡」と、「同項本文の規定にかかわらず」とあるのは「同項の規定にかかわらず」と読み替えるものとする。

消費税法施行令第36条第4項、施行日令和6年4月1日

一部改行しています。

準用の対象となる規定は、3つあります。

1つ目
第32条第3項の規定は、
所得税や法人税のリース譲渡の特例を選択している事業者が、
消費税のリース譲渡の特例だけを止める場合の規定です。

第36条第2項は、
延払条件付譲渡の特例により繰り延べられた売上について、
売上代金の回収に応じて売上計上することが規定されています。

この第36条第2項の適用を受けない場合に
第32条第3項が準用できますので、
所得税と消費税の延払条件付譲渡の特例を受けている場合に、
消費税の延払条件付譲渡だけを止めることが可能となります。

2つ目
第33条の規定は、消費税の納税義務が変わる場合に
リース譲渡の特例が終了することが規定されています。

消費税の納税義務が変わる場合に第33条が準用されますので、
消費税の納税義務が変わると消費税の延払条件付譲渡の特例が終了となります。

3つ目
第34条第1項は、事業の廃止等があった場合に
リース譲渡の特例が終了することが規定されています。

事業の廃止等があった場合に第34条第1項が準用されますので、
事業の廃止等があった場合、消費税の延払条件付譲渡の特例が終了となります。

消費税の延払条件付譲渡の特例を止める場合

第32条第3項の規定を読み替えてみましょう。

3 リース譲渡につき法第十六条第一項の規定の適用を受けている事業者が同項の規定の適用を受けることとした課税期間の翌課税期間以後のいずれかの課税期間において同項の規定の適用を受けないこととした場合(前二項に規定する場合に該当する場合を除く。)には、その適用を受けないこととした課税期間の初日の前日以前に行つた第三十六条第一項に規定する延払条件付譲渡(以下この項、第三十三条及び第三十四条において「延払条件付譲渡」という。)で第三十六条第二項の規定の適用を受けていたもののうち、その適用を受けないこととした延払条件付譲渡に係る賦払金の額で当該課税期間の初日以後にその支払の期日が到来するもの(当該課税期間の初日の前日以前に既に支払を受けたものを除く。)に係る部分は、同項の規定にかかわらず、当該事業者が当該課税期間において資産の譲渡等を行つたものとみなす。

消費税の延払条件付譲渡を止める場合は、
繰り延べている売上を一括計上する必要があります。

消費税の納税義務が変わる場合

第33条の規定を読み替えてみましょう。

(納税義務の免除を受けることとなつた場合等の処理)
第三十三条 リース譲渡につき法第十六条第二項本文の規定の適用を受けている事業者が次に掲げる場合に該当することとなつた場合には、その該当することとなつた課税期間の初日の前日以前に行つた延払条件付譲渡で第三十六条第二項の規定の適用を受けていたもののうち、当該延払条件付譲渡に係る賦払金の額で当該課税期間の初日以後にその支払の期日が到来するもの(当該課税期間の初日の前日以前に既に支払を受けたものを除く。)に係る部分は、同項の規定にかかわらず、当該事業者が当該課税期間の初日の前日において資産の譲渡等を行つたものとみなす。
一 事業者(法第九条第一項本文の規定により消費税を納める義務が免除される事業者を除く。)が同項本文の規定の適用を受けることとなつた場合
二 事業者(法第九条第一項本文の規定により消費税を納める義務が免除される事業者に限る。)が同項本文の規定の適用を受けないこととなつた場合

消費税の納税義務について
・課税事業者から免税事業者へ
・免税事業者から課税事業者へ
変わる場合、繰り延べている売上を一括計上する必要があります。

事業を廃止した場合など

第34条第1項の規定を読み替えてみましょう。

(事業の廃止、死亡等の場合のリース譲渡に係る資産の譲渡等の時期の特例)
第三十四条 リース譲渡につき法第十六条第二項本文の規定の適用を受けている個人事業者が次に掲げる場合に該当することとなつた場合には、その該当することとなつた日の属する課税期間の初日の前日以前に当該個人事業者が行つた延払条件付譲渡で第三十六条第二項の規定の適用を受けていたもののうち、当該延払条件付譲渡に係る賦払金の額で当該課税期間の初日以後にその支払の期日が到来するもの(当該課税期間の初日の前日以前に既に支払を受けたものを除く。)に係る部分は、同項の規定にかかわらず、当該個人事業者が当該課税期間において資産の譲渡等を行つたものとみなす。
一 当該個人事業者が死亡した場合において、当該延払条件付譲渡に係る事業を承継した相続人がないとき。
二 当該個人事業者(法第九条第一項本文の規定により消費税を納める義務が免除される事業者を除く。)が死亡した場合において、当該延払条件付譲渡に係る事業を承継した相続人が同項本文の規定により消費税を納める義務が免除される事業者であるとき。
三 当該個人事業者(法第九条第一項本文の規定により消費税を納める義務が免除される事業者に限る。)が死亡した場合において、当該延払条件付譲渡に係る事業を承継した相続人が同項本文の規定の適用を受けない事業者であるとき。
四 当該個人事業者が当該延払条件付譲渡に係る事業の全部を譲渡し、又は廃止した場合

事業を廃止した場合は、原則として、
繰り延べている売上を一括計上する必要があります。


事業を廃止した場合の取扱いについて、
条件付きで延払条件付譲渡の特例が終了します。

ということは、条件を満たさない場合は、
延払条件付譲渡の特例が終了しないことも考えられます。

例えば、次の場合は、条件を満たしません。
・個人事業者が亡くなった場合で、事業を承継した相続人がいる。
・個人事業者と相続人に消費税の納税義務は同じ。

延払基準の経理の2つとリース譲渡の特例計算については、相続人が各種特例を承継することも可能ですが、延払条件付譲渡の特例については、準用規定が確認できないため、取扱いが不明だと思います。
(読替規定が不足しているのでしょうか。)

仮に、延払条件付譲渡の特例が相続の特例により承継できる場合、相続人が延納の許可が取り消されたとき等に、消費税の特例も終了するような規定が必要になると思います。

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