当初申告税額控除額に固定する措置_法人の道府県民税


今回は、法人の道府県民税のうち
当初申告税額控除額に固定する措置を確認してみましょう。

当初申告税額控除額に固定する措置

通算法人の場合、
外国税額控除はグループ全体の金額で計算します。

1つの法人の計算に誤りがある場合、
全体の計算に影響が及ぶことになります。

全体の計算に影響が及ばないようにするため、
1回目に計算した金額(当初申告税額控除額)に
固定する規定が設けられています。

まとめた規定を確認してみましょう。


前項(第38項、道府県民税の外国税額控除)の規定を適用する場合において、
通算法人(注1)の各事業年度(注2)の税額控除額(注3)が、
当初申告税額控除額(注4)と異なるときは、
当初申告税額控除額を税額控除額とみなす。


税額控除額は、再計算した金額
当初申告税額控除額は、1回目に計算した金額です。

再計算した金額が1回目に計算した金額と異なるときは、
1回目に計算した金額を再計算した金額として取扱います。

例えば、次の場合
・当初申告税額控除額 1,000
・税額控除額 1,200

税額控除額は、1,000となります。

当初申告税額控除額に固定しない場合

次のいずれかに該当する場合、
「当初申告税額控除額を税額控除額とみなす。」は、
適用されません。

1、事実の隠ぺいや仮装により法人税の負担が減少する場合
2、税務署長が法人税の負担の不当減少と判断する場合
3、事実の隠ぺいや仮装により地方法人税の負担が減少する場合

当初申告税額控除額の更新

適用事業年度について、
上記1や3により修正申告書を提出した後等は、
再計算した金額(税額控除額)を
当初申告税額控除額として更新します。

例えば、次の場合
・当初申告税額控除額 1,000
・税額控除額 1,200

1回目に計算した金額に固定する場合、税額控除額は1,000、
1回目に計算した金額に固定しない場合、税額控除額は1,200
となります。

上記1や3により修正申告書を提出した後は、
税額控除額1,200が、当初申告税額控除額として更新されます。

・当初申告税額控除額 1,000→1,200
・税額控除額 1,200

参考規定

当初申告税額控除額に固定する措置

39 前項の規定を適用する場合において、通算法人(法人税法第二条第十二号の七の二に規定する通算法人をいう。以下この項から第四十八項までにおいて同じ。)の各事業年度(当該通算法人に係る通算親法人の事業年度終了の日に終了するものに限るものとし、被合併法人の合併の日の前日の属する事業年度、残余財産の確定の日の属する事業年度及び公益法人等(第二十四条第五項に規定する公益法人等をいう。第四十二項及び第四十八項において同じ。)に該当することとなつた日の前日の属する事業年度を除く。以下この項から第四十一項までにおいて「適用事業年度」という。)の税額控除額(当該適用事業年度における前項の規定による控除をされるべき金額をいう。以下この項から第四十二項までにおいて同じ。)が、当初申告税額控除額(当該適用事業年度の第一項の規定による申告書(同法第七十一条第一項(同法第七十二条第一項の規定が適用される場合に限る。)又は第七十四条第一項の規定により法人税に係る申告書を提出する義務がある法人が、第一項の規定による申告書の提出期限までに提出したものに限る。)に添付された書類に当該適用事業年度の税額控除額として記載された金額をいう。以下この項から第四十一項までにおいて同じ。)と異なるときは、当初申告税額控除額を税額控除額とみなす。

地方税法第53条第39項、施行日令和5年10月1日

規定をまとめてみましょう。


前項(第38項、道府県民税の外国税額控除)の規定を
適用する場合において、
通算法人(注1)の各事業年度(注2)の税額控除額(注3)が、
当初申告税額控除額(注4)と異なるときは、
当初申告税額控除額を税額控除額とみなす。

注1、通算法人
法人税法第二条第十二号の七の二に規定する通算法人をいう。
以下この項から第四十八項までにおいて同じ。

注2、適用事業年度
当該通算法人に係る通算親法人の事業年度終了の日に終了するものに限るものとし、被合併法人の合併の日の前日の属する事業年度、残余財産の確定の日の属する事業年度及び公益法人等(注2-1)に該当することとなつた日の前日の属する事業年度を除く。以下この項から第四十一項までにおいて「適用事業年度」という。

注2-1、公益法人等
第二十四条第五項に規定する公益法人等をいう。第四十二項及び第四十八項において同じ。

注3、税額控除額
当該適用事業年度における前項(第38項)の規定による控除をされるべき金額をいう。以下この項から第四十二項までにおいて同じ。

注4、当初申告税額控除額
当該適用事業年度の第一項の規定による申告書(注4-1)に添付された書類に当該適用事業年度の税額控除額として記載された金額をいう。以下この項から第四十一項までにおいて同じ。

注4-1、申告書
同法第七十一条第一項(注4-1-1)又は第七十四条第一項の規定により法人税に係る申告書を提出する義務がある法人が、第一項の規定による申告書の提出期限までに提出したものに限る。

注4-1-1、同法第七十一条第一項
同法第七十二条第一項の規定が適用される場合に限る。

当初申告税額控除額に固定する措置を適用しない。

40 前項の通算法人の適用事業年度について、次に掲げる場合のいずれかに該当する場合には、当該適用事業年度については、同項の規定は、適用しない。
一 法人税法第六十九条第十六項(第一号に係る部分に限る。)の規定の適用がある場合(同号に掲げる場合における税額控除額が当初申告税額控除額と異なる場合に限る。)
二 法人税法第六十九条第十六項(第二号に係る部分に限る。)の規定の適用がある場合
三 地方法人税法第十二条第六項(第一号に係る部分に限る。)の規定の適用がある場合(同号に掲げる場合における税額控除額が当初申告税額控除額と異なる場合に限る。)

地方税法第53条第40項、施行日令和5年10月1日

規定をまとめたもの


前項(第39項)の通算法人の適用事業年度について、
次の掲げる場合のいずれかに該当する場合には、
その適用事業年度については、
同項(第39項)の規定は、適用されません。

1号、法人税法第69条第16項(注1)の規定の適用がある場合(注2)
2号、法人税法第69条第16項(注3)の規定の適用がある場合
3号、地方法人税法第12条第6項(注4)の規定の適用がある場合(注5)

注1、第1号に係る部分に限る。
注2、同号に掲げる場合における税額控除額が
当初申告税額控除額と異なる場合に限る。

注3、第2号に係る部分に限る。

注4、第1号に係る部分に限る。
注5、同号に掲げる場合における税額控除額が
当初申告税額控除額と異なる場合に限る。


法人税法第69条第16項

16 前項の通算法人の適用事業年度について、次に掲げる場合のいずれかに該当する場合には、当該適用事業年度については、同項の規定は、適用しない。
一 通算法人又は当該通算法人の適用事業年度終了の日において当該通算法人との間に通算完全支配関係がある他の通算法人が、適用事業年度における税額控除額の計算の基礎となる事実の全部又は一部を隠蔽し、又は仮装して税額控除額を増加させることによりその法人税の負担を減少させ、又は減少させようとする場合
二 第六十四条の五第八項(損益通算)の規定の適用がある場合

法人税法第69条第16項、施行日令和5年6月7日

固定する措置の不適用

8 税務署長は、通算法人の各事業年度の所得の金額若しくは欠損金額又は法人税の額の計算につき第五項、第六十四条の七第四項から第七項まで又は第六十九条第十五項若しくは第二十項(外国税額の控除)の規定その他政令で定める規定を適用したならば次に掲げる事実その他の事実が生じ、当該通算法人又は他の通算法人の当該各事業年度終了の日以後に終了する事業年度の所得に対する法人税の負担を不当に減少させる結果となると認めるときは、当該各事業年度及び他の通算法人の当該各事業年度終了の日に終了する事業年度については、第五項の規定を適用しないことができる。
一 当該通算法人が当該各事業年度前十年以内に開始した事業年度において生じた欠損金額(第六十四条の七第四項の規定を適用したならば当該各事業年度において第五十七条第一項の規定により損金の額に算入されるものに限る。)を有する場合において、当該各事業年度において欠損金額が生ずること。
二 当該通算法人又は当該他の通算法人のうちに第六十四条の十第六項(通算制度の取りやめ等)の規定により第六十四条の九第一項(通算承認)の規定による承認(以下この目において「通算承認」という。)の効力を失うことが見込まれるものがある場合において、当該通算法人又は当該他の通算法人に第五十七条第一項の規定の適用がある欠損金額があること。

法人税法第64条の5第8項、施行日令和5年6月7日

地方法人税法第12条第6項

6 前項の通算法人の適用課税事業年度について、次に掲げる場合のいずれかに該当する場合には、当該適用課税事業年度については、同項の規定は、適用しない。
一 通算法人又は当該通算法人の適用課税事業年度終了の日において当該通算法人との間に通算完全支配関係がある他の通算法人が、適用課税事業年度における税額控除額の計算の基礎となる事実の全部又は一部を隠蔽し、又は仮装して税額控除額を増加させることによりその地方法人税の負担を減少させ、又は減少させようとする場合
二 法人税法第六十九条第十六項(第二号に係る部分に限る。)の規定の適用がある場合

地方法人税法第12条第6項、施行日令和5年4月1日

当初申告税額控除額の更新

41 適用事業年度について前項(第一号及び第三号に係る部分に限る。)の規定を適用して第三十四項に規定する申告書の提出又は第五十五条第一項若しくは第三項の規定による更正がされた後における前二項の規定の適用については、前項の規定にかかわらず、当該申告書に添付された書類に当該適用事業年度の税額控除額として記載された金額又は当該更正に係る当該適用事業年度の税額控除額とされた金額を当初申告税額控除額とみなす。

地方税法第53条第41項、施行日令和5年10月1日

規定とまとめたもの


適用事業年度について
前項(第40項(第1号及び第3号に係る部分に限る。))の規定を適用して
・第34項に規定する申告書の提出又は
・第55項第1項若しくは第3項の規定による更正
がされた後における前2項(第39項・第40項)の規定の適用については、
前項(第40項)の規定に関係なく、
その申告書に添付された書類に
その適用事業年度の税額控除額として記載された金額又は
その更正に係るその適用事業年度の税額控除額とされた金額を
当初申告税額控除額とみなす。

第39項、当初申告税額控除額を税額控除額とみなす。
第40項、一定の場合には、第39項を適用しない。
第41項、第40項に関係なく、当初申告税額控除額の更新する。

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