従業員等が退職した場合の個人住民税の一括徴収


今回は、従業員等が退職した場合の
個人住民税の一括徴収を確認してみましょう。

退職した場合の特別徴収

給料に関する個人住民税(市町村民税・道府県民税等)については、
原則として特別徴収(給料から天引き)となります。

特別徴収の場合、特別徴収の金額を計算する必要はありません。
毎年5月に特別徴収の通知書が届きますので、
通知書の金額を確認しておきましょう。

特別徴収した金額については、
翌月10日までに納付する必要があります。

従業員等が退職した場合は、
退職した月の翌月から特別徴収は不要となります。

例えば、8月20日に退職した場合は、
9月分以降の特別徴収は不要となります。
(8月分の特別徴収は必要)

特別徴収しなかった残額の徴収

退職した月の翌月から特別徴収は不要となりますが、
特別徴収しなかった残額については、
一括徴収の対象となります。

一括徴収については、退職した月に応じて取扱いが異なります。
・6月1日から12月31日までに退職した場合
・翌年1月1日から4月30日までに退職した場合
の2パターンに分かれます。

6月1日から12月31日までの退職については、
従業員等から一括徴収の申し出があった場合、一括徴収が必要です。
申し出がない場合は、一括徴収は不要となります。

翌年1月1日から4月30日までの退職については、一括徴収が必要です。
いずれも、給料や退職金から一括徴収できる場合に限ります。

給料・退職金<一括徴収となる場合、
従業員等が亡くなった場合は、
給料・退職金から一括徴収しきれないため、
一括徴収の対象外となります。

一括徴収した場合については、
一括徴収した月の翌月10日までに納付する必要があります。

一括徴収の方法

6月1日から12月31日までの退職について、
一括徴収を希望する場合は、従業員等が
退職月の月末までに申し出る必要があります。

一括徴収については、
・給料から徴収される金額
・退職金から徴収される金額
を申し出ることが可能です。

金額の申し出がある場合は、
申し出された金額に応じて一括徴収することになります。

金額の申し出がなかった場合は、
給料と退職金の割合で一括徴収額を按分します。

参考規定

退職した場合等の特別徴収の取扱い

2 前項の特別徴収義務者は、前条の規定によりその者が徴収すべき給与所得に係る特別徴収税額に係る個人の市町村民税の納税義務者が当該特別徴収義務者から給与の支払を受けないこととなつた場合には、その事由が発生した日の属する月の翌月以降の月割額(前項の規定により特別徴収義務者が給与の支払をする際毎月徴収すべき額をいう。以下この項、次項及び第三百二十一条の六第三項において同じ。)は、これを徴収して納入する義務を負わない。ただし、その事由が当該年度の初日の属する年の六月一日から十二月三十一日までの間において発生し、かつ、総務省令で定めるところによりその事由が発生した日の属する月の翌月以降の月割額を特別徴収の方法によつて徴収されたい旨の納税義務者からの申出があつた場合及びその事由がその年の翌年の一月一日から四月三十日までの間において発生した場合には、当該納税義務者に対してその年の五月三十一日までの間に支払われるべき給与又は退職手当等で当該月割額の全額に相当する金額を超えるものがあるときに限り、その者に支払われるべき給与又は退職手当等の支払をする際、当該月割額の全額(同日までに当該給与又は退職手当等の全部又は一部の支払がされないこととなつたときにあつては、同日までに支払われた当該給与又は退職手当等の額から徴収することができる額)を徴収し、その徴収した月の翌月十日までに、これを当該市町村に納入しなければならない。

地方税法第321条の5第2項、施行日令和6年4月9日

退職等に伴う給与所得に係る特別徴収税額の一括徴収

(退職等に伴う給与所得に係る特別徴収税額の一括徴収)
第九条の二十三 法第三百二十一条の五第二項ただし書の規定による納税義務者からの申出は、給与の支払を受けないこととなつた日の属する月の末日までにするものとする。
2 法第三百二十一条の五第二項ただし書の規定により給与の支払を受けないこととなつた日の属する月の翌月以降の月割額の全額を徴収されることとなる納税義務者は、当該給与の支払を受けないこととなつた日の属する月の末日までに、同項ただし書に規定する当該年度の初日の属する年の翌年の五月三十一日までに支払を受けるべき給与又は退職手当等の額からそれぞれ徴収されるべき給与所得に係る特別徴収税額について申し出ることができる。
3 法第三百二十一条の五第二項ただし書に規定する当該年度の初日の属する年の翌年の五月三十一日までに支払を受けるべき給与又は退職手当等の額からそれぞれ徴収すべき給与所得に係る特別徴収税額は、前項の申出があつたときはその申出に係る額とし、その申出がないときは同条第二項ただし書の規定により徴収すべき給与所得に係る特別徴収税額を当該給与又は退職手当等の合計額と当該給与又は退職手当等のそれぞれの額との割合によつてあん分した額とする。

地方税法施行規則第9条の23、施行日令和6年3月1日
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