今回は、所得制限により
年末調整の定額減税が受けられない場合を確認してみましょう。
Q&Aの確認
定額減税のQ&Aが公表されていますので確認してみましょう。
令和6年分所得税の定額減税Q&A
(概要・源泉所得税関係【令和6年9月改訂版】)
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/0024001-021.pdf
目次の「年調減税額」以降が年末調整に関するものです。
「9-1 所得制限を超える人に対する年調減税【令和6年9月修正】」を確認してみましょう。
内容は、
問 合計所得金額が 1,805 万円を超える人については、年末調整時に年調減税の適用を受けることはできませんか。
というもの。
答えは、年末調整の定額減税の対象から外れます。
基礎控除申告書の控除額の計算を確認してみましょう。
令和6年分 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 年末調整に係る定額減税のための申告書 兼 所得金額調整控除申告書
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/pdf/2024bun_06.pdf
「1,805万円超~2,400万円以下」の右に「48万円」とだけ記載されています。
そのため、定額減税の対象にはなりません。
(2,500万円以下の場合、基礎控除は可能)
定額減税の対象外となる場合
注意点を確認してみましょう。
(注1) 主たる給与の支払者からの給与収入は 2,000 万円を超えないが、その他の所得があるために合計所得金額が 1,805 万円を超える人が、年末調整で年調所得税額から年調減税額を控除しないで計算を行う人になります。
令和6年分所得税の定額減税Q&A
(例:給与収入が 1,900 万円(給与所得 1,705 万円)で、不動産所得が 200 万円である人)
(概要・源泉所得税関係【令和6年9月改訂版】)、P26
給与収入2,000万円以下の方は、年末調整が必要です。
所得の合計が1,805万円超の方は、定額減税の対象から外れます。
例として給与所得と不動産所得が挙げられています。
注意したいのは他の所得、例えば、
・不動産の売却による所得
・株式の売却による所得
・配当金収入
・退職金に関する所得
・事業に関する所得
・保険金に関する所得
等も所得の合計に含まれます。
基礎控除申告書の提出がない場合
2つ目の注意点です。
(注3) 基礎控除申告書などの提出がなく、給与所得者の合計所得金額の見積額の確認ができない場合は、給与所得者から給与所得者の合計所得金額の見積額の通知を受け、給与所得者が年調減税の対象か判断することになります。なお、この通知については、口頭やメール等で行っていただいて差し支えありません。
令和6年分所得税の定額減税Q&A
(概要・源泉所得税関係【令和6年9月改訂版】)、P26
基礎控除申告書の提出がない場合は、
給料を受け取っている人に所得の見積額を確認する必要があります。
確認方法は、口頭やメール等でも可能です。
参考規定など
基礎控除申告書の提出は不要なのでしょうか?
規定を確認してみました。
規定をまとめたものを確認してみましょう。
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定額減税を受けようとする人(注1)は、
給与を支払う人(法人や個人事業者)に対して、
所得の見積額を通知する必要があります。
注1、次の人は除外されます。
1、配偶者控除等申告書を提出した人
2、基礎控除申告書を提出した人
3、住宅ローン控除申告書を提出した人
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口頭やメール等でも可能なのは、
通知方法や基礎控除申告書の提出が、
定額減税の要件になっていないからです。
合計所得金額の通知義務
9 国内において給与等の支払を受ける居住者で第一項の規定の適用を受けようとする者(同項の給与等に係る所得税法第百九十五条の三第二項に規定する給与所得者の基礎控除申告書をその給与等の支払者に提出(当該給与所得者の基礎控除申告書の提出に代えて行う同法第百九十八条第二項に規定する電磁的方法による当該給与所得者の基礎控除申告書に記載すべき事項の提供を含む。)をした当該居住者その他の財務省令で定める者を除く。)は、その給与等の支払者(二以上の給与等の支払者から給与等の支払を受ける場合には、主たる給与等の支払者)からその年最後に給与等の支払を受ける日までに、当該給与等の支払者に対し、第一項の合計所得金額の見積額を通知しなければならない。
租税特別措置法第41条の3の8第9項、施行日令和6年10月1日
基礎控除申告書の提出義務
(給与所得者の基礎控除申告書)
所得税法第195条の3、施行日令和6年6月12日
第百九十五条の三 国内において給与等の支払を受ける居住者は、第百九十条(年末調整)に規定する過不足の額の計算上、同条第二号ホに掲げる基礎控除の額に相当する金額の控除を受けようとする場合には、その給与等の支払者(二以上の給与等の支払者から給与等の支払を受ける場合には、主たる給与等の支払者)からその年最後に給与等の支払を受ける日の前日までに、次に掲げる事項を記載した申告書を、当該給与等の支払者を経由して、その給与等に係る所得税の第十七条(源泉徴収に係る所得税の納税地)の規定による納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
一 当該給与等の支払者の氏名又は名称
二 その居住者のその年の合計所得金額の見積額
三 その他財務省令で定める事項
2 前項の規定による申告書は、給与所得者の基礎控除申告書という。