所得税のリース取引


今回は、所得税のリース取引を確認してみましょう。

リース取引

一定の要件にあてはまる賃貸借契約を「リース取引」といいます。
リース取引は、資産の売買処理が必要となります。

リース取引の要件は、次の3つです。
・資産の賃貸借(貸し借り)
・解約できない(解約禁止)
・借り手が資産のコストをほとんど負担する(約90%超判定)

参考、リース取引の定義

3 前二項に規定するリース取引とは、資産の賃貸借(所有権が移転しない土地の賃貸借その他の政令で定めるものを除く。)で、次に掲げる要件に該当するものをいう。
一 当該賃貸借に係る契約が、賃貸借期間の中途においてその解除をすることができないものであること又はこれに準ずるものであること。
二 当該賃貸借に係る賃借人が当該賃貸借に係る資産からもたらされる経済的な利益を実質的に享受することができ、かつ、当該資産の使用に伴つて生ずる費用を実質的に負担すべきこととされているものであること。

所得税法第67条の2第3項、令和6年5月17日

ただし、例外として、
所有権が移転しない土地の賃貸借等については、
リース取引から除外されます。

解約できない

解約禁止には、
解約金を支払って解約することも含みます。

リース契約書に「解約する場合はリース料の残額を支払う。」等の
記載がある場合、解約禁止要件を満たします。

参考通達

(解除をすることができないものに準ずるものの意義)
67の2-1 法第67条の2第3項第1号に規定する「これに準ずるもの」とは、例えば、次に掲げるものをいう。(平19課個2-31、課審4-44追加)
(1) 資産の賃貸借に係る契約に解約禁止条項がない場合であって、賃借人が契約違反をした場合又は解約をする場合において、賃借人が、当該賃貸借に係る賃貸借期間のうちの未経過期間に対応するリース料の額の合計額のおおむね全部(原則として100分の90以上)を支払うこととされているもの
(2) 資産の賃貸借に係る契約において、当該賃貸借期間中に解約をする場合の条項として次のような条件が付されているもの
イ 賃貸借資産(当該賃貸借の目的となる資産をいう。以下この項及び67の2-2において同じ。)を更新するための解約で、その解約に伴いより性能の高い機種又はおおむね同一の機種を同一の賃貸人から賃貸を受ける場合は解約金の支払を要しないこと。
ロ イ以外の場合には、未経過期間に対応するリース料の額の合計額(賃貸借資産を処分することができたときは、その処分価額の全部又は一部を控除した額)を解約金とすること。

所得税基本通達
コスト負担

リース会社(貸し手)は先に資産のコストを負担して、
その後、借り手からリース料を受け取りコストを回収します。
借り手は、リース会社に対しリース料を支払いコストを負担します。

この場合に、借り手が負担するコスト(リース料合計額)が
貸し手が負担する資産のコストの約90%を超える場合に、
コスト負担要件を満たすことになります。

例えば、次の場合
・借り手のリース料合計額 1,100万円
・貸し手の資産の購入価額 950万円
・貸し手の付随費用(税金や保険料等) 50万円

リース料合計額1,100万円>コスト1,000万円×90%=900万円となり、
コスト負担要件を満たします。

参考規定

2 資産の賃貸借につき、その賃貸借期間(当該資産の賃貸借に係る契約の解除をすることができないものとされている期間に限る。)において賃借人が支払う賃借料の金額の合計額がその資産の取得のために通常要する価額(当該資産を業務の用に供するために要する費用の額を含む。)のおおむね百分の九十に相当する金額を超える場合には、当該資産の賃貸借は、法第六十七条の二第三項第二号の資産の使用に伴つて生ずる費用を実質的に負担すべきこととされているものであることに該当するものとする。

所得税法施行令第197条の2第2項、施行日令和6年4月1日
リース取引に該当する場合

3つの要件に該当する場合、賃貸借取引であっても、
税金計算上は資産の売買処理が必要となります。

借り手から見て、賃貸借契約が途中で解約できず、
資産のコストの大部分を負担することは、
資産を購入したものと変わらないからです。

・資産を貸したリース会社は、資産を売却
・資産を借りた個人事業者は、資産を取得
したことになりますので、資産を借りた個人事業者は、
原則として、資産を取得したものとして減価償却の計算が必要となります。

参考規定

(リース取引に係る所得の金額の計算)
第六十七条の二 居住者がリース取引を行つた場合には、そのリース取引の目的となる資産(以下この項において「リース資産」という。)の賃貸人から賃借人への引渡しの時に当該リース資産の売買があつたものとして、当該賃貸人又は賃借人である居住者の各年分の各種所得の金額を計算する。

所得税法第67条の2第1項、施行日令和6年5月17日
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