所得税のリース譲渡_賦払金割合で計算する場合


今回は、所得税のリース譲渡のうち、
賦払金割合で計算する方法を確認してみましょう。

リース譲渡の取扱い

税法上の要件を満たす賃貸借(貸し借り)については、
資産の売買処理が必要となります。

・資産を貸した事業者は、資産を売却
・資産を借りた事業者は、資産を取得
したものとして税金の計算が必要です。

今回は、資産を貸した事業者の取扱いを確認してみましょう。

リース取引に該当する資産を引き渡すことを
「リース譲渡」といいます。

リース譲渡に該当しない通常の商品販売の場合
販売金額が収入金額となり、販売するためのコストが費用となります。

通常の商品販売の仕訳例

借方貸方
現預金 1000万円売上高 1000万円
売上原価 700万円商品(仕入高) 700万円
通常の商品販売の仕訳

リース譲渡の場合、賃貸借(貸し借り)が
資産の売買として扱われるため、考え方(仕訳)は同じになります。

ただし、リース取引は賃貸借契約のため、
販売代金は分割で受け取ることになります。
(分割で受け取るという点では割賦販売と同じ。)

通常の商品販売については、販売代金の回収に関係なく、
・利益300万円(=売上高1000万円-売上原価700万円)
が税金の計算対象となりますが、
販売代金を分割して受け取ることを考慮して、
販売代金とコストの分割計上が認められています。

分割計上の要件は、
・延払基準の方法
により経理することです。

延払基準の方法は2つあります。
1、賦払金割合(代金回収割合)に応じて計上する方法
2、リース期間に応じて計上する方法

今回は、1の賦払金割合(代金回収割合)に応じて計上する方法
を確認してみましょう。

賦払金割合に応じて計上する方法

具体例
・リースの売上高 1000万円
・リースの売上原価 700万円

各年の代金回収額と賦払金割合

内容1年目2年目3年目4年目合計
代金回収300万円300万円300万円100万円1000万円
賦払金
割合
30%30%30%10%100%
まとめ

賦払金割合は、
・各年の支払期日が到来する売掛金÷リース譲渡の対価
で計算します。

売上高1000万円と売上原価700万円に
各年の賦払金割合をかけて分割計上します。

内容1年目2年目3年目4年目合計
売上高300万円300万円300万円100万円1000万円
売上原価210万円210万円210万円70万円700万円
利益90万円90万円90万円30万円300万円
まとめ2
参考規定

リース譲渡の取扱い

(リース譲渡に係る収入及び費用の帰属時期)
第六十五条 居住者が、第六十七条の二第三項(リース取引に係る所得の金額の計算)に規定するリース取引による同条第一項に規定するリース資産の引渡し(以下この条において「リース譲渡」という。)を行つた場合において、そのリース譲渡に係る収入金額及び費用の額につき、そのリース譲渡の日の属する年以後の各年において政令で定める延払基準の方法により経理したとき(当該リース譲渡につき次項の規定の適用を受ける場合を除く。)は、その経理した収入金額及び費用の額は、当該各年分の事業所得の金額の計算上、総収入金額及び必要経費に算入する。ただし、当該リース譲渡に係る収入金額及び費用の額につき、同日の属する年の翌年以後のいずれかの年において当該延払基準の方法により経理しなかつた場合は、その経理しなかつた年の翌年分以後の年分の事業所得の金額の計算については、この限りでない。

所得税法第65条第1項、施行日令和6年5月17日

賦払金割合による方法

(延払基準の方法)
第百八十八条 法第六十五条第一項(リース譲渡に係る収入及び費用の帰属時期)に規定する政令で定める延払基準の方法は、次に掲げる方法とする。
一 法第六十五条第一項に規定するリース譲渡(以下この款において「リース譲渡」という。)の対価の額及びその原価の額(そのリース譲渡に要した手数料の額を含む。)にそのリース譲渡に係る賦払金割合(リース譲渡の対価の額のうちに、当該対価の額に係る賦払金であつてその年においてその支払の期日が到来するものの合計額(当該賦払金につき既にその年の前年以前に支払を受けている金額がある場合には、当該金額を除くものとし、その年の翌年以後において支払の期日が到来する賦払金につきその年中に支払を受けた金額がある場合には、当該金額を含む。)の占める割合をいう。)を乗じて計算した金額をその年分の収入金額及び費用の額とする方法

所得税法施行令188条第1項第1号、施行日令和6年4月1日
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