所得税の定額減税の取扱い


今回は、所得税の定額減税の情報を確認してみましょう。

内容

2024/2/1、情報追加
国税庁、定額減税特設サイトが公表されています。
https://www.nta.go.jp/users/gensen/teigakugenzei/index.htm


国税庁から、「令和6年分所得税の定額減税の給与収入に係る源泉徴収税額からの控除について」が公表されています。https://www.nta.go.jp/users/gensen/teigakugenzei/pdf/0023012-247.pdf

以下、気になった部分を確認していきます。
(定額減税のうち、所得税部分のみ)

定額減税の対象者

定額減税は、合計所得金額が1,805万円以下の居住者が対象となります。
(給与収入の場合、2000万円以下)

注1-1-1に、源泉徴収税額からの特別控除については、
年末調整を除き、合計所得金額を考慮しない
とあります。

高額の給与所得者であっても、
定額減税の計算をする必要があります。

年末調整時に合計所得金額が1805万円超になると見込まれる場合は、
控除実施済額を調整します。
(年末調整の還付金が減少したり、追加徴収の可能性あり)

給与収入は2000万円以下(年末調整をする場合)で、
合計所得金額が1805万円を超える場合に、
定額減税の調整があることになります。

一時所得や事業・副業の所得などがある場合です。

定額減税の基準は合計所得金額ですので、
特定口座の株式の売却益や配当がある場合は、
注意しましょう。

同一生計配偶者の範囲が異なる。

定額減税は、次の合計額となります。
・本人は3万円
・同一生計配偶者、扶養親族
(居住者限定のため非居住者は対象外)1人につき3万円

ただし、所得税額を限度とします。

同一生計配偶者と扶養親族の定義は、
所得税法の定義と同じですが、下記の取扱いが異なります。

同一生計配偶者には、合計所得金額が900万円超である居住者の同一生計配偶者(以下「非源泉控除対象同一生計配偶者」という。)を含む。また、同一生計配偶者には、源泉控除対象配偶者のうち、合計所得金額が48万円超95万円以下である配偶者は含まない。合計所得金額48万円超の配偶者は、配偶者自身が減税の対象となる。

令和6年分所得税の定額減税の給与収入に係る源泉徴収税額からの控除について、2ページ

定額減税については、
・配偶者控除の対象となる配偶者 → 配偶者ではなく本人が減税の対象 
・配偶者特別控除の対象となる配偶者 → 配偶者本人が減税の対象
という意味です。

国税庁の年末調整の資料を確認してみましょう。

引用、国税庁、令和5年分の年末調整のための算出所得税額の速算表
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/nencho2023/pdf/18.pdf

緑色の部分が、「非源泉控除対象同一生計配偶者」です。
(所得者本人の合計所得金額は関係なし)
黄色の部分は、定額減税判定上の「同一生計配偶者」から除外され、
配偶者本人が定額減税の対象となります。

定額減税は1人3万円ですが、所得税額を限度とするため、
源泉徴収税額から控除しきれない金額が生じる場合があります。

控除しきれない金額については、
令和7年分の給与収入で調整されないため、
「年収103万円を超えたら損?」と考えるかもしれません。

この点については、給付措置が行われる予定のようです。

(4) 所得税及び個人住民税の定額減税の実施と併せ、定額減税しきれないと見込まれる者への給付を含め、市区町村から各種の給付措置が行われる予定であるが、各給与所得者の当該給付措置に係る給付額やその受給状況は、当該給与所得者が令和6年6月1日以後支払を受ける給与等に係る控除前源泉徴収税額からの特別控除に影響を与えるものではない。

令和6年分所得税の定額減税の給与収入に係る源泉徴収税額からの控除について、6ページ

毎月、源泉徴収税額から控除した定額減税の金額を
管理する必要が生じます。
(給与計算ソフトを使用していない場合、
対応が間に合わない場合は工夫が必要)

控除の実施方法

「扶養控除等申告書」の記載情報に基づき、定額減税を計算します。

注3-1-2に、非源泉控除対象同一生計配偶者の取扱いがあります。

(注 3-1-2) 非源泉控除対象同一生計配偶者については、配偶者控除等申告書で把握可能な者(配偶者控除の対象者のうち源泉控除対象配偶者でない者)を除き新たに「年末調整に係る申告書」の提出を求めることとし、原則として年末調整において控除することとする。ただし、令和6年6月1日以後最初の給与支払日までに「源泉徴収に係る申告書」が提出された場合には、(2)(3)の控除の対象に加えることを可能とする。これらの申告書の保存期間・提出方法等については、扶養控除等申告書に準じた扱いとする。(様式については速やかに公表予定)

令和6年分所得税の定額減税の給与収入に係る源泉徴収税額からの控除について、3ページ

上記表の緑色の部分については、
「配偶者控除等申告書」で情報を把握することができます。

所得者本人の合計所得金額が1000万円を超える場合には、
配偶者控除が0円となるため、
配偶者控除等申告書が提出されない場合があります。

この場合、「年末調整に係る申告書」を提出する必要があります。
原則は、年末調整で定額減税を調整します。

ただし、「源泉徴収に係る申告書」の提出がある場合は、
源泉徴収時に定額減税を計算します。

計算の流れとしては、
・令和6年6月の給与計算から定額減税がスタート
・控除しきれない場合は、年末調整を除き(通常11月まで)順次控除
となります。

年末調整については、
住宅ローン控除を控除した「後」に定額減税を計算します。

住宅ローン控除で所得税が0円(又は少額)の場合は、
定額減税が受けられないことになるのでしょう。

中途入社の取扱いについては、令和6年6月1日を基準とします。
令和6年6月1日より後に雇用された場合は、
毎月の給与等から定額減税を考慮しません。
年末調整で一括控除となります。
(令和6年6月1日入社の場合など、規定の確認が必要でしょう。)

源泉徴収票等の記載事項

(1)が年末調整、(2)が年末調整以外の源泉徴収の取扱いです。
給与の支給が早いところでは、
令和6年6月5日や6月10日から定額減税が開始しますので、
給与計算ソフトの対応を確認しておきましょう。

その他

令和6年6月1日により前に
・退職
・国外転出
・死亡
している場合は、「源泉徴収」による対応は不要です。
確定申告(準確定申告)で定額減税を計算します。

(1) 令和6年6月1日より前に退職・国外転出・死亡している場合には、源泉徴収による対応は不要とする。
(注 5) 令和6年6月1日より前に国外転出・死亡している者が、それまでの期間において居住者として令和6年分の給与収入を得ている場合には、確定申告により他の所得も含めた令和6年分の所得全体に係る所得税額から減税をする。

令和6年分所得税の定額減税の給与収入に係る源泉徴収税額からの控除について
5ページ、6ページ

令和6年分の確定申告(準確定申告)については、
定額減税の適用がある場合、
法案が確定するまで待つ方がよいでしょう。
(定額減税の基準日についても確認が必要)

定額減税について

国税庁、定額減税について
https://www.nta.go.jp/users/gensen/teigakugenzei/01.htm

定額減税は、所得の種類によって実施されます。
1、給与所得者に係る特別控除
2、公的年金等の受給者に係る特別控除
3、事業所得者等に係る特別控除

1と2は、源泉所得税から定額減税を控除します。
3は、予定納税(中間申告)から定額減税を控除します。
(複数の所得がある場合などについては今後公表されるのでしょう。)


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