所得税の繰戻し還付の手続き


今回は、所得税の繰戻し還付の手続きを確認してみましょう。

手続きと記載内容

所得税の繰戻し還付については、
・一定の事項を記載した還付請求書
の提出が必要となります。

令和5年分以降の請求書を確認してみましょう。

純損失の金額の繰戻しによる所得税の還付請求書
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/pdf/03_r05.pdf

簡単に確認してみましょう。

Aは、本年分の赤字を記載する欄です。
通常は、2のその他の欄に赤字の金額を記載します。

Bは、前年に繰り戻す金額を記載する欄です。
赤字の一部を繰り戻すこともできます。

CとDは、繰戻し計算する前の金額を記載します。

EとFは、繰戻し計算した後の金額を記載します。

計算前の13欄(所得税)-計算後の21欄(所得税)の金額を
22欄(赤字に相当する所得税)に記載します。

ただし、14欄(各種特例を控除した後の実際の所得税)の金額が
還付請求の上限となりますので注意しましょう。

22欄の金額は、還付請求書の
「還付請求金額」に転記します。

参考規定

(純損失の繰戻しによる還付の手続等)
第百四十二条 前二条の規定による還付の請求をしようとする者は、その還付を受けようとする所得税の額、その計算の基礎その他財務省令で定める事項を記載した還付請求書をこれらの規定に規定する税務署長に提出しなければならない。

所得税法第142条第1項、施行日令和6年4月1日
還付と書面通知

還付請求書を提出すると、調査(書面調査)があります。
その後、請求金額を限度として所得税が還付されます。

還付請求の要件を満たしていない場合等、所得税は還付されず、
還付されない理由が書面により通知されます。

参考規定

2 税務署長は、前項の還付請求書の提出があつた場合には、その請求の基礎となつた純損失の金額その他必要な事項について調査し、その調査したところにより、その請求をした者に対し、その請求に係る金額を限度として所得税を還付し、又は請求の理由がない旨を書面により通知する。

所得税法第142条第2項、施行日令和6年4月1日
参考規定

還付加算金の計算

3 前項の規定による還付金について還付加算金を計算する場合には、その計算の基礎となる国税通則法第五十八条第一項(還付加算金)の期間は、前二条の規定による還付の請求がされた日(第百四十条第一項(純損失の繰戻しによる還付の請求)又は前条第一項の規定による還付の請求がされた日がこれらの規定に規定する申告書の提出期限前である場合には、その提出期限)の翌日以後三月を経過した日からその還付のための支払決定をする日又はその還付金につき充当をする日(同日前に充当をするのに適することとなつた日がある場合には、その適することとなつた日)までの期間とする。

所得税法第142条第3項、施行日令和6年4月1日

計算開始日は、還付請求日(提出期限)の翌日以後3月を経過した日。
計算終了日は、支払決定日(還付金充当日)。

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