所得税の計算の仕組み


今回は、所得税の計算の大枠を確認していきます。

個人の所得(もうけ)

所得税は、個人の所得(もうけ)に対してかかる税金です。

長期間日本に住んでいる人を「非永住者以外の居住者」といいます。
この非永住者以外の居住者については、全ての所得に対し所得税がかかります。
ほとんどの人が、「非永住者以外の居住者」に該当します。

所得税がかからない所得(非課税)

所得税にも消費税と同様に、課税が相応しくないもの(非課税)を定めています。非課税に該当しない所得に対して所得税がかかります。この所得については、計算の順番が規定されています。

所得税額の計算の順序

次の順番で計算します。

  • 各種所得の金額
  • 総所得金額等
  • 課税所得金額等
  • 所得税額
  • 税額控除
各種所得の金額

所得(もうけ)を次の10種類の分けて、10種類ごとに、所得の金額を計算します。

  • 利子所得
  • 配当所得
  • 不動産所得
  • 事業所得
  • 給与所得
  • 退職所得
  • 山林所得
  • 譲渡所得
  • 一時所得
  • 雑所得

金額だけではなく、所得が生じた状況や性質を考慮するため、10種類に分けます。

総所得金額等

10種類の所得を集計して、今年生じた赤字と黒字を通算したり、過去に生じた赤字をマイナスしたりします。ここでも、所得の質を考慮して、全ての所得を合計せずに、次の3つに分けて集計します。

  • 総所得金額、2と3以外を合計します。
  • 退職所得金額
  • 山林所得金額
課税所得金額

個人の生活状況等を考慮して税金がかかりすぎないように、
2で計算した総所得金額等から所得控除をマイナスします。

  • 総所得金額等▲所得控除=課税総所得金額
  • 退職所得▲所得控除=課税退職所得金額
  • 山林所得▲所得控除=課税山林所得金額
税額計算

所得控除をマイナスした後の「課税所得金額」に税率をかけます。

  • 課税総所得金額☓税率=所得税
  • 課税退職所得金額☓税率=所得税
  • 課税山林所得金額☓税率=所得税
税額控除

個人が負担したお金や収入には、2重課税となるものがあるため、
税金がかかりすぎないように税額控除します。

所得税▲税額控除=支払う所得税が計算されます。

まとめ
  1. 所得を10種類に区分します。
  2. 本年の所得から赤字を控除します。
    損益通算・繰越控除といいます。
  3. 本人の生活状況等を考慮して一定の控除を行います。
    所得控除といいます。
  4. 所得税を計算します。
    課税される所得×税率で計算します。
  5. 所得税から一定の控除を行います。
    税額控除といいます。
参考規定

(課税所得の範囲)
第七条 所得税は、次の各号に掲げる者の区分に応じ当該各号に定める所得について課する。
一 非永住者以外の居住者 全ての所得
二 非永住者 略
三 非居住者 略
四 内国法人 略
五 外国法人 略

所得税法

(非課税所得)
第九条 次に掲げる所得については、所得税を課さない。
以下略

所得税法

(所得税額の計算の順序)第二十一条
 居住者に対して課する所得税の額は、次に定める順序により計算する。

 次章第二節(各種所得の金額の計算)の規定により、その所得を利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、一時所得又は雑所得に区分し、これらの所得ごとに所得の金額を計算する。

 前号の所得の金額を基礎として、次条及び次章第三節(損益通算及び損失の繰越控除)の規定により同条に規定する総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額を計算する。

 次章第四節(所得控除)の規定により前号の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から基礎控除その他の控除をして第八十九条第二項(税率)に規定する課税総所得金額、課税退職所得金額又は課税山林所得金額を計算する。

 前号の課税総所得金額、課税退職所得金額又は課税山林所得金額を基礎として、第三章第一節(税率)の規定により所得税の額を計算する。

 第三章第二節(税額控除)の規定により配当控除、分配時調整外国税相当額控除及び外国税額控除を受ける場合には、前号の所得税の額に相当する金額からその控除をした後の金額をもつて所得税の額とする。

 前項の場合において、居住者が第四章(税額の計算の特例)の規定に該当するときは、その者に対して課する所得税の額については、同章に定めるところによる。

所得税法
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