所得税の賃上げ促進税制と配当控除


今回は、所得税の賃上げ促進税制と配当控除を確認してみましょう。

全事業者向けの特例

賃上げ促進税制は、
・前年から増加した給料×10%
を減税する特例です。

減税には、
・事業所得に対する所得税(調整前事業所得税)×20%
の上限があります。

所得税の減税には、賃上げ促進税制の他に配当控除があります。
両方の特例を利用する場合、どう計算するのでしょうか?

規定を確認してみましょう。

3 法第十条の五の四第一項の規定による控除をすべき金額は、その年分の所得税法第九十二条第二項に規定する課税総所得金額に係る所得税額から控除する。この場合において、当該所得税額から控除をすべき同条第三項に規定する配当控除の額があるときは、まず当該配当控除の額を控除し、次に法第十条の五の四第一項の規定による控除をすべき金額を控除する。

租税特別措置法施行令第5条の6の4第3項、施行日令和6年10月1日

賃上げ促進税制(全事業者向けの特例)の控除額は、
課税される事業所得など(総所得金額)に対する所得税額からマイナスします。

配当控除もあるときは、
1、配当控除
2、賃上げ促進税制
の順に計算する必要があります。

配当控除は、本年に発生した所得税を上限としてマイナスできます。
マイナスしきれない金額については繰り越せません。

中堅事業者向けの特例

中堅事業者向けの特例についても、全事業者向けの特例と同じです。

参考規定

5 法第十条の五の四第二項の規定による控除をすべき金額は、その年分の所得税法第九十二条第二項に規定する課税総所得金額に係る所得税額から控除する。この場合において、当該所得税額から控除をすべき同条第三項に規定する配当控除の額があるときは、まず当該配当控除の額を控除し、次に法第十条の五の四第二項の規定による控除をすべき金額を控除する。

租税特別措置法施行令第5条の6の4第5項、施行日令和6年10月1日
中小事業者向けの特例

中小事業者向けの特例についても、全事業者向けの特例と同じです。

参考規定

7 法第十条の五の四第三項の規定による控除をすべき金額は、その年分の所得税法第九十二条第二項に規定する課税総所得金額に係る所得税額から控除する。この場合において、当該所得税額から控除をすべき同条第三項に規定する配当控除の額があるときは、まず当該配当控除の額を控除し、次に法第十条の五の四第三項の規定による控除をすべき金額を控除する。

租税特別措置法施行令第5条の6の4第7項、施行日令和6年10月1日
繰越しの特例

繰越しの特例については、他の特例と併用できるため、
1、配当控除
2、他の特例(全事業者、中堅事業者、中小企業者)
3、繰越し
の順で計算する必要があります。

参考規定

8 法第十条の五の四第四項の規定による控除をすべき金額は、その年分の所得税法第九十二条第二項に規定する課税総所得金額に係る所得税額から控除する。この場合において、当該所得税額から控除をすべき同条第三項に規定する配当控除の額及び法第十条の五の四第一項から第三項までの規定による控除をすべき金額があるときは、まず当該配当控除の額及びこれらの規定による控除をすべき金額を控除し、次に同条第四項の規定による控除をすべき金額を控除する。

租税特別措置法施行令第5条の6の4第8項、施行日令和6年10月1日


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