所得税の賃上げ促進税制の前年の給与等が0円の場合


今回は、所得税の賃上げ促進税制のうち
前年の給与等が0円の場合を確認してみましょう。

継続雇用者比較給与等支給額が0円の場合

所得税の賃上げ促進税制は、
・全事業者向けの特例
・中堅事業者向けの特例
・中小事業者向けの特例
の3つがあります。

・全事業者向けの特例
・中堅事業者向けの特例
この2つの特例で使用する継続雇用者比較給与等支給額(前年の給与等)が0円の場合は、継続雇用者給与等支給増加割合(前年の給与等と比較して増加した割合)が3%以上に該当しなくなります。0円で割れないからです。

明細書を確認してみましょう。
給与等の支給額が増加した場合の所得税額の特別控除に関する明細書(令和5年分以降用)
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/pdf/6-063.pdf

明細書は現行制度(令和6年まで)のものになります。

11欄(継続雇用者給与等支給増加割合)に
「9欄(前年の給与等)=0の場合は0」とありますので、
0を記載します。

11欄が0となりますので、
21欄(税額控除限度額)にも0と記載します。

比較雇用者給与等支給額が0円の場合

中小事業者向けの特例で使用する比較雇用者給与等支給額(前年の給与等)が0円の場合は、雇用者給与等支給増加割合(前年の給与等と比較して増加した割合)が1.5%以上に該当しなくなります。0円で割れないからです。

明細書を確認してみましょう。
4欄(雇用者給与等支給増加割合)に
「2欄(前年の給与等)=0の場合0」とありますので、
0を記載します。

4欄が0となりますので、
24欄(中小事業者税額控除限度額)にも0と記載します。

税額控除の繰越し

個人事業者については、令和7年分以後
・控除額の5年間の繰越し
が可能となっています。

繰越しの要件は、雇用者給与等支給額(本年)>比較雇用者給与等支給額(前年)と規定されていますが、比較雇用者給与等支給額(前年)が0円の場合は、
繰越しの要件から外れるため注意しましょう。

参考規定

継続雇用者比較給与等支給額が0円の場合は、特例なし。

22 法第十条の五の四第一項又は第二項の規定の適用を受けようとする個人のその適用を受けようとする年に係る同条第五項第四号に規定する継続雇用者比較給与等支給額が零である場合には、同条第一項又は第二項に規定する継続雇用者給与等支給増加割合が百分の三以上であるときに該当しないものとする。

租税特別措置法施行令第5条の6の4第22項、施行日令和6年10月1日

比較雇用者給与等支給額が0円の場合は、特例なし。

23 法第十条の五の四第三項の規定の適用を受けようとする同項に規定する中小事業者のその適用を受けようとする年に係る比較雇用者給与等支給額(同条第五項第十号に規定する比較雇用者給与等支給額をいう。次項において同じ。)が零である場合には、同条第三項に規定する雇用者給与等支給増加割合が百分の一・五以上であるときに該当しないものとする。

租税特別措置法施行令第5条の6の4第23項、施行日令和6年10月1日

比較雇用者給与等支給額が0円の場合は、繰越しの特例なし。

24 法第十条の五の四第四項の規定の適用を受けようとする個人のその適用を受けようとする年に係る比較雇用者給与等支給額が零である場合には、同項に規定する雇用者給与等支給額がその比較雇用者給与等支給額を超える場合に該当しないものとする。

租税特別措置法施行令第5条の6の4第24項、施行日令和6年10月1日

新しいこと
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