所得税の賃上げ促進税制の手続き


今回は、所得税の賃上げ促進税制の手続きを確認してみましょう。

本年分の手続き

所得税の賃上げ促進税制は、
・全事業者向けの特例
・中堅事業者向けの特例
・中小企業者向けの特例
の3つがあります。

それぞれの特例について
確定申告書(注1)に賃上げ促進税制に関する
・控除対象雇用者給与等支給増加額(注2)
・控除を受ける金額
・計算明細
を記載した書類を添付する必要があります。

注1、所得税の控除が増える場合の修正申告書と更正請求書を含みます。
注2、全事業者向けの特例と中堅企業向けの特例については、継続雇用者給与等支給額と継続雇用者比較給与等支給額の2つを書類に記載する必要があります。

書類を確認してみましょう。

給与等の支給額が増加した場合の所得税額の特別控除に関する明細書
(令和5年分以降用)
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/pdf/6-063.pdf

給与等支給額及び比較教育訓練費の額の計算に関する明細書(付表1)
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/pdf/6-064.pdf

記載金額の上限

確定申告書に添付する書類には、
・控除対象雇用者給与等支給増加額
を記載する必要があります。

控除対象雇用者給与等支給増加額については、
最初に記載した金額が上限となります。

「給与等の支給額が増加した場合の所得税額の特別控除に関する明細書」を使って確認してみましょう。

16の金額(控除対象雇用者給与等支給増加額)は、
下記の3と7のうち少ない金額となります。
・3の金額(雇用者給与等支給増加額、助成金マイナス前)
・7の金額(調整雇用者給与等支給増加額、助成金マイナス後)

例えば、確定申告書に添付した書類に
・3の金額(雇用者給与等支給増加額) 300
・7の金額(調整雇用者給与等支給増加額) 350
・16の金額、少ない金額(控除対象雇用者給与等支給増加額) 300
と記載した場合は、16の金額は300が上限となります。
16の金額を増やす修正ができないため注意しましょう。

繰り越した金額の手続き

中小企業者の特例については、
所得税の控除ができなかった部分の繰り越しができるようになります。

要件は2つです。

1つ目は、所得税の控除ができなかった年分以後の確定申告書に
・繰越税額控除限度超過額(控除できなかった金額)
の明細書の添付をする必要があります。

2つ目は、繰り越した部分を利用する年分の確定申告書に
・繰越税額控除限度超過額
・控除を受ける金額
・計算明細
を記載した書類を添付する必要があります。

繰り越した金額の手続きについては、記載金額の上限規定はありません。

参考規定

手続き

7 第一項から第三項までの規定は、確定申告書(これらの規定により控除を受ける金額を増加させる修正申告書又は更正請求書を提出する場合には、当該修正申告書又は更正請求書を含む。)にこれらの規定による控除の対象となる控除対象雇用者給与等支給増加額(第一項又は第二項の規定の適用を受けようとする場合には、継続雇用者給与等支給額及び継続雇用者比較給与等支給額を含む。)、控除を受ける金額及び当該金額の計算に関する明細を記載した書類の添付がある場合に限り、適用する。この場合において、第一項から第三項までの規定により控除される金額の計算の基礎となる控除対象雇用者給与等支給増加額は、確定申告書に添付された書類に記載された控除対象雇用者給与等支給増加額を限度とする。

租税特別措置法第10条の5の4第7項、施行日令和6年10月1日

繰越額の手続き

8 第四項の規定は、第三項の規定の適用を受けた年以後の各年分の確定申告書に繰越税額控除限度超過額の明細書の添付がある場合で、かつ、第四項の規定の適用を受けようとする年分の確定申告書(同項の規定により控除を受ける金額を増加させる修正申告書又は更正請求書を提出する場合には、当該修正申告書又は更正請求書を含む。)に同項の規定による控除の対象となる繰越税額控除限度超過額、控除を受ける金額及び当該金額の計算に関する明細を記載した書類の添付がある場合に限り、適用する。

租税特別措置法第10条の5の4第8項、施行日令和6年10月1日


新しいこと
・鉄人ビアピクニック
・西村川魚店、うなむす
・Avel Cafe、クリームドーナツ

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