今回は、所得税の賃上げ促進税制の「控除対象雇用者給与等支給増加額」を確認してみましょう。
控除対象雇用者給与等支給増加額
控除対象雇用者給与等支給増加額については、
カッコ書きを外して確認してみましょう。
個人の雇用者給与等支給額から
その比較雇用者給与等支給額を控除した金額(注1)をいう。
雇用者給与等支給額は、
本年に従業員に支払った給料をいいます。
比較雇用者給与等支給額は、
前年に従業員に支払った給料をいいます。
注1には、調整雇用者給与等支給増加額(上限)が規定されています。
規定を確認してみましょう。
当該金額が当該個人の調整雇用者給与等支給増加額(イに掲げる金額からロに掲げる金額を控除した金額をいう。)を超える場合には、当該調整雇用者給与等支給増加額
1、当該金額(=雇用者給与等支給額-比較雇用者給与等支給額)
2、当該個人の調整雇用者給与等支給増加額(イ-ロ)
1>2(上限)の場合は、調整雇用者給与等支給増加額(2の金額)
と規定されています。
雇用者給与等支給額と比較雇用者給与等支給額
イには、雇用者給与等支給額が規定されています。
雇用者給与等支給額の定義を確認してみましょう。
当該雇用者給与等支給額の計算の基礎となる給与等に充てるための雇用安定助成金額(国又は地方公共団体から受ける雇用保険法第六十二条第一項第一号に掲げる事業として支給が行われる助成金その他これに類するものの額をいう。以下この号において同じ。)がある場合には、当該雇用安定助成金額を控除した金額
雇用者給与等支給額については、
・雇用安定助成金額
がある場合は、雇用安定助成金額をマイナスする必要があります。
雇用安定助成金額とは、
・雇用保険法に規定する助成金(例えば雇用調整助成金)
・助成金に類するもの
をいいます。
(サービスの対価は、雇用安定助成金額に含まれません。)
ロには、比較雇用者給与等支給額が規定されています。
比較雇用者給与等支給額については、
・雇用安定助成金額
がある場合は、雇用安定助成金額をマイナスする必要があります。
計算例
数字を使って確認してみましょう。
例えば、次の場合
・比較雇用者給与等支給額(雇用安定助成金額を引く前) 400
・前年の雇用安定助成金額 50
・雇用者給与等支給額(雇用安定助成金額を引く前) 700
・本年の雇用安定助成金額 100
雇用者給与等支給額(700)-比較雇用者給与等支給額(400)
=控除対象雇用者給与等支給増加額(300)
調整雇用者給与等支給増加額(上限)
イの金額=雇用者給与等支給額(700)-雇用安定助成金額(100)=600
ロの金額=比較雇用者給与等支給額(400)-雇用安定助成金額(50)=350
イの金額(600)-ロの金額(350)=250
判定
控除対象雇用者給与等支給増加額(300)>調整雇用者給与等支給増加額(250)のため、少ない金額の250となります。
受け取った助成金に対応する給料の増加額については、所得税の控除が受けられないことになります。
参考規定
控除対象雇用者給与等支給増加額
5 この条において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
五 控除対象雇用者給与等支給増加額 個人の雇用者給与等支給額からその比較雇用者給与等支給額を控除した金額(当該金額が当該個人の調整雇用者給与等支給増加額(イに掲げる金額からロに掲げる金額を控除した金額をいう。)を超える場合には、当該調整雇用者給与等支給増加額)をいう。
イ 雇用者給与等支給額(当該雇用者給与等支給額の計算の基礎となる給与等に充てるための雇用安定助成金額(国又は地方公共団体から受ける雇用保険法第六十二条第一項第一号に掲げる事業として支給が行われる助成金その他これに類するものの額をいう。以下この号において同じ。)がある場合には、当該雇用安定助成金額を控除した金額)
ロ 比較雇用者給与等支給額(当該比較雇用者給与等支給額の計算の基礎となる給与等に充てるための雇用安定助成金額がある場合には、当該雇用安定助成金額を控除した金額)租税特別措置法第10条の5の4第5項、施行日令和6年10月1日
新しいこと
・化もの屋、鶏白湯ラーメン