所得税の賃上げ促進税制の比較月数が異なる場合


今回は、所得税の賃上げ促進税制のうち、
比較月数が異なる場合を確認してみましょう。

前年の教育訓練費の場合

教育訓練費の比較計算は、
・前年の教育訓練費(比較教育訓練費)
・本年の教育訓練費
の2つを用います。

事業を継続している場合は、前年も本年も12カ月ですので、
そのまま教育訓練費を集計すれば問題ありません。

例外として、前年に事業をスタートした場合は、前年の月数が12月より短くなりますので、前年と本年の比較ができなくなります。この場合は、前年の教育訓練費を年間ベースの金額に直す必要があります。

例えば、前年の事業が5/1にスタートし、教育訓練費が8万円かかったとします。
前年の営業期間は、5/1-12/31の8月ですので、比較する教育訓練費は、
教育訓練費(8万円)×12月÷営業月数(8月)=12万円となります。

反対に前年は1年間(12カ月)営業していたが、本年の途中に廃業した場合はどうなるのかといいますと、比較計算は不要となります。賃上げ促進税制の特例が利用できないからです。

前年の給料の場合

給料の比較計算は、
・前年の給料(比較雇用者給与等支給額)
・本年の給料(雇用者給与等支給額)
の2つを用います。

給料の比較計算についても教育訓練費の比較計算と同じです。

事業を継続している場合は、前年も本年も12カ月ですので、そのまま給料を集計すれば問題ありませんが、前年に事業がスタートした場合は、年間ベースの金額に直す必要があります。

例えば、前年の事業が10/1にスタートし、給料を30万円支払ったとします。
前年の営業期間は、10/1-12/31の3月ですので、比較する給料は、
給料(30万円)×12月÷営業月数(3月)=120万円となります。

反対の場合も同じです。本年の途中に廃業した場合は、賃上げ促進税制の特例が利用できないため、比較計算は不要となります。

参考規定

比較教育訓練費の額(前年の教育訓練費)

七 比較教育訓練費の額 個人の適用年の前年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入される教育訓練費の額(当該個人が当該適用年の前年において事業を開始した場合には、当該適用年の前年の教育訓練費の額に十二を乗じてこれを当該適用年の前年において事業を営んでいた期間の月数で除して計算した金額)をいう。

租税特別措置法第10条の5の4第5項第7号、施行日令和6年10月1日

比較雇用者給与等支給額(前年の給料)

十 比較雇用者給与等支給額 個人の適用年の前年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入される国内雇用者に対する給与等の支給額(当該適用年の前年において事業を営んでいた期間の月数と当該適用年において事業を営んでいた期間の月数とが異なる場合には、その月数に応じ政令で定めるところにより計算した金額)をいう。

租税特別措置法第10条の5の4第5項第10号、施行日令和6年10月1日

具体的な計算方法

18 法第十条の五の四第五項第十号に規定する政令で定めるところにより計算した金額は、同号の適用年の前年に係る給与等支給額に十二を乗じてこれを当該適用年の前年において事業を営んでいた期間の月数で除して計算した金額とする。

租税特別措置法施行令第5の6の4第18項、施行日令和6年10月1日


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