今回は、所得税の賃上げ促進税制のうち、
相続があった場合の給与等の調整計算を確認してみましょう。
相続があった場合の給与等の調整計算
所得税の賃上げ促進税制には、
・全事業者向けの特例
・中堅企業者向けの特例
・中小企業者向けの特例
の3つがあります。
全ての特例について
・前年の給与等(比較雇用者給与等支給額)
・本年の給与等(雇用者給与等支給額)
の2つを比較計算する必要があります。
比較して増加した部分が所得税の減税の対象となるからです。
個人事業者については、法人の場合と異なり相続により事業を承継することがあります。亡くなった人の事業を承継することで、支払う給与等が増加します。この事業の承継による給与等の増加については、調整が必要となります。給与等の増加の理由が賃上げではないからです。
具体的には、賃上げ促進税制を利用する年(適用年)の前年か本年のいずれかで、相続により亡くなった人の事業を引き継いだ場合は、給与等の調整計算が必要となります。
教育訓練費を調整する規定が
租税特別措置法施行令第5条の6の4第16項にあるため、
・本年分の給与等を本年分の教育訓練費と
・適用年(本年)の前年を調整対象年と
して取り扱った上で、
教育訓練費の調整計算と同じように計算する必要があります。
参考リンク
・所得税の賃上げ促進税制_本年に相続があった場合の教育訓練費の調整計算
・所得税の賃上げ促進税制_前年に相続があった場合の教育訓練費の調整計算
参考規定
本年や前年に相続があった場合の給与等の調整計算
19 法第十条の五の四第一項から第四項までの規定の適用を受けようとする個人のその適用を受けようとする年(以下この項において「適用年」という。)の前年又は当該適用年において承継事業を相続により承継した場合の当該個人の当該適用年における同条第五項第十号に規定する比較雇用者給与等支給額の計算における当該個人の適用年の前年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入される同号の給与等の支給額(当該適用年において事業を営んでいた期間の月数と当該適用年の前年において事業を営んでいた期間の月数とが異なる場合には、前項の給与等支給額)については、給与等支給額(個人のその年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入される国内雇用者に対する給与等の支給額をいう。)を第十六項の教育訓練費の額と、当該個人の当該適用年の前年を同項各号に規定する調整対象年と、それぞれみなした場合における同項各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定めるところによる。
租税特別措置法施行令第5条の6の4第19項、施行日令和6年10月1日
新しいこと
・菊兆 明石焼き