扶養控除等申告書


今回は、年末調整に必要となる扶養控除等申告書を確認してみましょう。
細かい記載方法については、省略します。

内容

規定の全体像を確認します。

  1. 扶養控除等申告書の提出義務
  2. 記載した申告書の内容に変更があった場合
  3. 勤労学生の証明義務
  4. 国外居住親族の証明義務
  5. 国外居住親族の扶養親族等の申告義務
  6. 国外居住親族と生計を一にする証明義務
扶養控除等申告書・異動申告書

扶養控除等申告書の提出義務者は、日本国内で給料を受け取る居住者(日本に住んでいる人)です。正社員かアルバイトかは関係ありません。申告書の提出がない場合は、源泉徴収税額が多くなる「乙欄」徴収や「丙欄」徴収となりますので忘れずに提出しましょう。

この申告書については、必ず「主たる勤務先」に提出します。たまに、2か所に提出して、2か所から「甲欄」徴収をしている場合がありますので注意しましょう。

規定上、申告書は税務署長に提出する義務がありますが、給料の支払者が保管することで、税務署長に提出したものとして取り扱われます。

再就職した場合

再就職した場合、前職の源泉徴収票の提出が求められます。前職の源泉徴収票は、年末調整に必要です。提出していない方は早めに準備して、現在の勤務先に提出しましょう。規定上は、次の4点を扶養控除等申告書に記載する必要がありますが、ほとんど見たことがありません。

  1. 前職の給料の支払者の名前・名称
  2. 前職の事務所等の所在地
  3. 前職の給与等の金額
  4. 前職の源泉徴収税額
同一生計配偶者・扶養親族の選択

同一生計配偶者や扶養親族については、1人で複数の規定に該当する場合があります。この場合、必ず1つしか選べません。規定上は、この選択した内容についても記載する必要があります。この選択についても見たことはありません。

国外居住親族の証明義務

扶養控除等申告書に記載した、
・同居特別障害者、その他の特別障害者、一般の障害者
・源泉控除対象配偶者
・控除対象扶養親族
が、非居住者(外国で生活している人)である場合は、その旨を申告書に記載する必要があります。この記載された人を「国外居住親族」といい、国外居住親族の証明書を提出する義務があります。

上記の記載した人について、年末調整で障害者控除や扶養控除を使用する場合は、国外居住親族と生計を一にすること(生活費が一緒であること)を証明する必要があります。

参考規定

勤労学生、国外居住親族の証明規定

(給与所得者の扶養控除等申告書に関する書類の提出又は提示)
第三百十六条の二 法第百九十四条第一項又は第二項(給与所得者の扶養控除等申告書)の規定による申告書に勤労学生に該当する旨の記載をした居住者で法第二条第一項第三十二号ロ又はハ(定義)に掲げる者に該当するものは、これらの者に該当する旨を証する書類として財務省令で定めるものを当該申告書に添付し、又は当該申告書の提出の際提示しなければならない。

2 法第百九十四条第一項又は第二項の規定による申告書に同条第一項第七号に掲げる事項の記載をした居住者は、次の各号に掲げる国外居住親族(同条第四項に規定する国外居住親族をいう。以下この条において同じ。)の区分に応じ、当該各号に定める旨を証する書類として財務省令で定めるものを各人別に当該申告書に添付し、又は当該申告書の提出の際提示しなければならない。
一 法第百九十四条第一項第七号の同居特別障害者若しくはその他の特別障害者又は特別障害者以外の障害者である国外居住親族(次号及び第三号に掲げる国外居住親族を除く。) 当該国外居住親族が当該居住者の親族に該当する旨
二 法第百九十四条第一項第七号に規定する源泉控除対象配偶者である国外居住親族 当該国外居住親族が当該居住者の配偶者に該当する旨
三 法第百九十四条第一項第七号に規定する控除対象扶養親族である国外居住親族 当該国外居住親族が当該居住者の配偶者以外の親族に該当する旨

3 法第百九十四条第五項の規定による申告書を提出する居住者は、国外居住親族が当該居住者と生計を一にすることを明らかにする書類として財務省令で定めるものを各人別に当該申告書に添付し、又は当該申告書の提出の際提示しなければならない。

所得税法施行令

同一生計配偶者等の選択に関する記載規定

 法第八十五条第四項又は第五項(扶養親族等の判定の時期等)の規定により申告者以外の居住者(以下この号において「他の居住者」という。)の同一生計配偶者又は扶養親族に該当するものとみなされる者のうちに、当該他の居住者の控除対象配偶者若しくはその他の同一生計配偶者(前号の規定に該当する者に限る。以下この号において同じ。)又は控除対象扶養親族若しくはその他の扶養親族(前号の規定に該当する者に限る。以下この号において同じ。)がある場合には、その旨、他の居住者の氏名及び申告者との続柄並びに他の居住者がその控除対象配偶者若しくはその他の同一生計配偶者又は控除対象扶養親族若しくはその他の扶養親族とする者の氏名、住所及び申告者との続柄

所得税法施行規則、73条1項

再就職の場合の記載規定

三 年の中途において再就職した場合及び年の中途において従たる給与の支払者が主たる給与の支払者となつた場合における次に掲げる事項
イ その年中においてこれらの場合に該当することとなつた日までに支払を受けた法第二十八条第一項(給与所得)に規定する給与等(以下この編において「給与等」という。)がある場合には、その給与等の支払者(その支払者が二以上ある場合には、主たる給与等の支払者。以下この号において同じ。)の氏名又は名称及びその事務所、事業所その他これらに準ずるものでその給与等の支払事務を取り扱つたものの所在地
ロ イの給与等の支払者から支払を受けた給与等の金額及びその給与等について法第百八十三条第一項(給与所得に係る源泉徴収義務)の規定により徴収された所得税の額

所得税法施行規則、73条2項
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