扶養親族が重複する場合


今回は、扶養親族が重複する場合を確認してみましょう。

所得控除が重複する場合

所得控除については、原則として
12月31日(年末)の現況により判定します。

この場合に、複数の扶養親族に該当する場合は、
いずれか1の扶養親族として取り扱う必要があります。

例えば、XがA・B・Cの扶養親族に該当する場合
・Aの扶養親族
・Bの扶養親族
・Cの扶養親族
いずれか1つを選択することになります。

参考規定

5 二以上の居住者の扶養親族に該当する者がある場合には、その者は、政令で定めるところにより、これらの居住者のうちいずれか一の居住者の扶養親族にのみ該当するものとみなす。

所得税法第85条第5項、施行日令和6年4月1日

決め方は、政令を確認する必要があります。

扶養親族の決め方

扶養親族の決め方は、
申告書等にその旨を記載することです。

申告書等は、次の5つです。
・予定納税の減額承認申請書
・確定申告書
・給与所得者の扶養控除等申告書
・従たる給与についての扶養控除等申告書
給与所得者の配偶者控除等申告書
・公的年金等の受給者の扶養控除等申告書

申告書等に記載した結果、扶養親族が重複する場合があります。

一度申告書等に記載したものであっても、
後から申告書等に異なる内容を記載して
扶養親族を変更することが可能です。

同一生計配偶者と扶養親族が
重複する場合の取扱いとほとんど同じです。

参考規定

(二以上の居住者がある場合の扶養親族の所属)
第二百十九条 法第八十五条第五項(扶養親族等の判定の時期等)の場合において、同項に規定する二以上の居住者の扶養親族に該当する者をいずれの居住者の扶養親族とするかは、これらの居住者の提出するその年分の前条第一項に規定する申告書等(法第百九十五条の二第一項(給与所得者の配偶者控除等申告書)の規定による申告書を除く。以下この条において「申告書等」という。)に記載されたところによる。ただし、本文又は次項の規定により、その扶養親族がいずれか一の居住者の扶養親族に該当するものとされた後において、これらの居住者が提出する申告書等にこれと異なる記載をすることにより、他のいずれか一の居住者の扶養親族とすることを妨げない。

所得税法施行令第219条第1項、施行日令和6年4月1日
扶養親族が重複する場合

後から扶養親族を変更できますが、
変更されなかった場合はどうなるでしょうか?

同一生計配偶者と扶養親族が重複する場合は、
同一生計配偶者が優先されますが、
今回はどちらも扶養親族であるため、決め方が異なります。

規定を確認してみましょう。

2 前項の場合において、二以上の居住者が同一人をそれぞれ自己の扶養親族として申告書等に記載したとき、その他同項の規定によりいずれの居住者の扶養親族とするかを定められないときは、次に定めるところによる。
一 その年において既に一の居住者が申告書等の記載によりその扶養親族としている場合には、当該親族は、当該居住者の扶養親族とする。
二 前号の規定によつてもいずれの居住者の扶養親族とするかが定められない扶養親族は、居住者のうち総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額又は当該親族がいずれの居住者の扶養親族とするかを判定すべき時における当該合計額の見積額が最も大きい居住者の扶養親族とする。

所得税法施行令第219条第2項、施行日令和6年4月1日

決め方は2つあります。

1、先に申告書等に記載した人の扶養親族となります。

2、1の方法で決められない場合は、
扶養している人の所得が大きい方の扶養親族となります。
所得が確定していない場合は、所得の見積額で判定します。

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