控除未済通算適用前欠損調整額を引き継ぐ場合


今回は、法人住民税の「控除未済通算適用前欠損調整額」を
引き継ぐ場合を確認してみましょう。

内容

控除未済通算適用前欠損調整額の引継ぎは、
次の場合に発生します。

1、通算適用前欠損金額を有する法人を合併法人とする
「適格合併があった場合」

2、通算適用前欠損金額を有する法人との間に完全支配関係がある他の法人で
その有する法人が発行済株式等を有するものの
「残余財産が確定した場合」

3、被合併法人、残余財産が確定した法人(被合併法人等)の
過去10年の通算適用前欠損金額に係る
「控除対象通算適用前欠損調整額があるとき」

要件を満たす場合、
・適格合併の日の属する事業年度
・残余財産の確定日の翌日の属する事業年度
(合併等事業年度といいます。)以後の事業年度の
控除対象通算適用前欠損調整額の控除については、

被合併法人等の「控除未済通算適用前欠損調整額」を
引き継ぐことが可能です。

控除未済通算適用前欠損調整額

被合併法人等の通算適用前欠損金額に法人税率をかけて
「控除対象通算適用前欠損調整額」を計算します。

控除対象通算適用前欠損調整額=通算適用前欠損金額×法人税率

控除対象通算適用前欠損調整額を課税標準となる法人税額から
マイナスするためには、確定申告の手続き要件を満たす必要があります。

控除対象通算適用前欠損調整額のうち
引継ぎ要件を満たすものを
「控除未済通算適用前欠損調整額」といいます。

株主等が2以上の場合は、
株式保有割合に応じて引き継ぎます。

参考規定

控除未済通算適用前欠損調整額の引継ぎ

5 第三項の法人を合併法人(合併により被合併法人(合併によりその有する資産及び負債の移転を行つた法人をいう。以下この条において同じ。)から資産及び負債の移転を受けた法人をいう。以下この条において同じ。)とする適格合併が行われた場合又は当該法人との間に法人税法第二条第十二号の七の六に規定する完全支配関係(以下この条において「完全支配関係」という。)(当該法人による完全支配関係又は同号に規定する相互の関係(以下この条において「相互の関係」という。)に限る。)がある他の法人で当該法人が発行済株式若しくは出資の全部若しくは一部を有するものの残余財産が確定した場合において、当該適格合併に係る被合併法人又は当該他の法人(以下この項及び次項において「被合併法人等」という。)の当該適格合併の日前十年以内に開始し、又は当該残余財産の確定の日の翌日前十年以内に開始した事業年度(以下この項において「前十年内事業年度」という。)において生じた通算適用前欠損金額に係る前項に規定する控除対象通算適用前欠損調整額(当該被合併法人等が当該控除対象通算適用前欠損調整額(この項の規定により当該被合併法人等の前項に規定する控除対象通算適用前欠損調整額とみなされたものを含む。)に係る通算適用前欠損金額の生じた事業年度後最初の最初通算事業年度について同法第五十七条第六項又は第八項の規定の適用があることを証する書類を添付した法人の道府県民税の確定申告書(第一項の規定により提出すべき申告書(同法第七十四条第一項の規定により提出すべき法人税の申告書に係るものに限る。)をいう。以下この条において同じ。)を提出していることその他の政令で定める要件を満たしている場合における当該控除対象通算適用前欠損調整額に限るものとし、第三項の規定により当該被合併法人等の前十年内事業年度の法人税割の課税標準とすべき法人税額について控除された額を除く。以下この項において「控除未済通算適用前欠損調整額」という。)があるときは、当該法人の当該適格合併の日の属する事業年度又は当該残余財産の確定の日の翌日の属する事業年度(以下この項及び次項において「合併等事業年度」という。)以後の事業年度における第三項の規定の適用については、当該前十年内事業年度に係る控除未済通算適用前欠損調整額(当該他の法人に同法第二条第十四号に規定する株主等(以下この条において「株主等」という。)が二以上ある場合には、当該控除未済通算適用前欠損調整額を当該他の法人の発行済株式又は出資(当該他の法人が有する自己の株式又は出資を除く。)の総数又は総額で除し、これに当該法人の有する当該他の法人の株式又は出資の数又は金額を乗じて計算した金額)は、それぞれ当該控除未済通算適用前欠損調整額に係る前十年内事業年度開始の日の属する当該法人の事業年度(当該法人の合併等事業年度開始の日以後に開始した当該被合併法人等の前十年内事業年度に係る控除未済通算適用前欠損調整額にあつては、当該合併等事業年度の前事業年度)に係る前項に規定する控除対象通算適用前欠損調整額とみなす。

地方税法第53条第5項、施行日令和5年10月1日

規定を整理したもの


第3項の法人を合併法人(注1)とする適格合併が行われた場合又は
当該法人との間に法人税法第二条第十二号の七の六に規定する完全支配関係(注2)がある他の法人で当該法人が発行済株式若しくは出資の全部若しくは一部を有するものの残余財産が確定した場合
において、

当該適格合併に係る被合併法人又は
当該他の法人(注3)の
当該適格合併の日前十年以内に開始し、又は
当該残余財産の確定の日の翌日前十年以内に開始した
事業年度(注4)において生じた通算適用前欠損金額に係る
前項に規定する控除対象通算適用前欠損調整額
(注5、控除未済通算適用前欠損調整額)があるときは、

当該法人の
・当該適格合併の日の属する事業年度又は
・当該残余財産の確定の日の翌日の属する事業年度
(注6、合併等事業年度)以後の事業年度における
第3項の規定の適用については、

当該前十年内事業年度に係る控除未済通算適用前欠損調整額(注7)は、
それぞれ当該控除未済通算適用前欠損調整額に係る
前十年内事業年度開始の日の属する当該法人の事業年度(注8)に係る
前項に規定する控除対象通算適用前欠損調整額とみなす。


注1、合併法人
合併により被合併法人(注1-1)から資産及び負債の移転を受けた法人をいう。以下この条において同じ。

注1-1、被合併法人
合併によりその有する資産及び負債の移転を行つた法人をいう。以下この条において同じ。

注2、完全支配関係
以下この条において「完全支配関係」という。)(当該法人による完全支配関係又は同号に規定する相互の関係(注2-1)に限る。

注2-1、相互の関係
以下この条において「相互の関係」という。

注3、当該他の法人
以下この項及び次項において「被合併法人等」という。

注4、前十年以内に開始した事業年度
以下この項において「前十年内事業年度」という。

注5、控除未済通算適用前欠損調整額
当該被合併法人等が当該控除対象通算適用前欠損調整額(注5-1)に係る通算適用前欠損金額の生じた事業年度後最初の最初通算事業年度について同法第57条第6項又は第8項の規定の適用があることを証する書類を添付した法人の道府県民税の確定申告書(注5-2)を提出していることその他の政令で定める要件を満たしている場合における当該控除対象通算適用前欠損調整額に限るものとし、第3項の規定により当該被合併法人等の前十年内事業年度の法人税割の課税標準とすべき法人税額について控除された額を除く。以下この項において「控除未済通算適用前欠損調整額」という。

注5-1、当該控除対象通算適用前欠損調整額
この項の規定により当該被合併法人等の前項に規定する控除対象通算適用前欠損調整額とみなされたものを含む。

注5-2、法人の道府県民税の確定申告書
第1項の規定により提出すべき申告書(同法第七十四条第一項の規定により提出すべき法人税の申告書に係るものに限る。)をいう。以下この条において同じ。

注6、合併等事業年度
以下この項及び次項において「合併等事業年度」という。

注7、控除未済通算適用前欠損調整額
当該他の法人に同法第2条第14号に規定する株主等(注7-1)が2以上ある場合には、当該控除未済通算適用前欠損調整額を当該他の法人の発行済株式又は出資(注7-2)の総数又は総額で除し、これに当該法人の有する当該他の法人の株式又は出資の数又は金額を乗じて計算した金額

注7-1、株主等
以下この条において「株主等」という。

注7-2、発行済株式又は出資
当該他の法人が有する自己の株式又は出資を除く。

注8、当該法人の事業年度
当該法人の合併等事業年度開始の日以後に開始した当該被合併法人等の前十年内事業年度に係る控除未済通算適用前欠損調整額にあつては、当該合併等事業年度の前事業年度

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