控除対象還付対象欠損調整額の控除


今回は、法人住民税の「控除対象還付対象欠損調整額」の控除を
確認してみましょう。

内容

対象となる法人は、
・法人税の中間申告(仮決算)
・法人税の確定申告
の規定により法人税申告書を提出する必要があるものです。

対象法人となる要件は、
その事業年度開始の日前10年以内に開始した
事業年度等において生じた
「還付対象欠損金額」がある場合です。

要件を満たす場合、
法人税額の課税標準となる法人税額から、
その法人税額を限度として、
「控除対象還付対象欠損調整額」を控除できます。

算式
課税標準となる法人税額-控除対象還付対象欠損調整額
=控除後の課税標準となる法人税額

還付対象欠損金額

還付対象欠損金額とは、
通算法人の欠損金額(発生欠損金額、発生災害損失欠損金額)のうち
繰戻し還付の計算の基礎となったものをいいます。

法人税の計算では、欠損金額を繰り戻して
法人税の還付を受けることが可能ですが、
地方税法(法人住民税)の計算では、
繰戻し還付制度がないため、
法人住民税の還付を受けることができません。

その代わりに法人住民税の計算では、
還付対象欠損金額として
翌期以後に繰り越すことが可能です。

控除対象還付対象欠損調整額

算式で記載します。

控除対象還付対象欠損調整額=
還付対象欠損金額×
還付対象欠損金額の生じた事業年度等後
最初に開始する事業年度終了の日の法人税率

別表は、第6号様式別表2の6、
控除対象還付対象欠損調整額の控除証明書を使用します。

参考情報、東京都主税局
第6号様式別表2の6、控除対象還付対象欠損調整額の控除証明書
https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/shomei/houjin/6-2-6a.pdf

手続き

控除対象還付対象欠損調整額の控除を受けるためには、
対象となる法人が還付対象欠損金額の生じた事業年度等について
法人の道府県民税の確定申告書を提出する必要があります。

その後において、
連続して法人の道府県民税の確定申告書を提出する必要もあります。

参考規定

控除対象還付対象欠損調整額の控除

26 法人税法第七十一条第一項(同法第七十二条第一項の規定が適用される場合に限る。)又は第七十四条第一項の規定により法人税に係る申告書を提出する義務がある法人について、当該事業年度開始の日前十年以内に開始した事業年度又は中間期間(同法第八十条第五項に規定する中間期間をいう。次項から第二十九項までにおいて同じ。)において生じた還付対象欠損金額(同法第八十条第十二項の規定により計算した還付を受けるべき金額の計算の基礎となつた金額と同条第十三項の規定により計算した還付を受けるべき金額の計算の基礎となつた金額の合計額をいう。次項から第二十九項までにおいて同じ。)がある場合の当該法人が納付すべき当該事業年度分の法人税割の課税標準となる法人税額の算定については、第一項、第三十四項又は第三十五項の規定にかかわらず、これらの規定により申告納付すべき当該法人税額の課税標準の算定期間に係る法人税割の課税標準となる法人税額から、当該法人税額(当該法人税額について租税特別措置法第四十二条の十四第一項若しくは第四項、第六十二条第一項、第六十二条の三第一項若しくは第九項又は第六十三条第一項の規定により加算された金額がある場合には、政令で定める額を控除した額)を限度として、控除対象還付対象欠損調整額を控除するものとする。この場合において、控除対象還付対象欠損調整額は、前事業年度以前の法人税割の課税標準とすべき法人税額について控除されなかつた額に限る。

地方税法53条第26項、施行日令和5年10月1日

規定をまとめたもの


法人税法
・第71条第1項(注1)又は
・第74条第1項
の規定により法人税に係る申告書を提出する義務がある法人について、

その事業年度開始の日前10年以内に開始した
事業年度又は中間期間(注2)において生じた
還付対象欠損金額(注3)がある場合の

その法人が納付すべきその事業年度分の
法人税割の課税標準となる法人税額の算定については、

第1項、第34項、第35項の規定に関係なく、
これらの規定により申告納付すべき
その法人税額の課税標準の算定期間に係る
法人税割の課税標準となる法人税額から、

その法人税額(注4)を限度として、
控除対象還付対象欠損調整額を控除するものとする。

この場合において、
控除対象還付対象欠損調整額は、
前事業年度以前の法人税割の課税標準とすべき法人税額について
控除されなかった額に限る。


注1、法人税法第71条第1項
同法第72条第1項の規定が適用される場合に限る。

注2、中間期間
同法第80条第5項に規定する中間期間をいう。
次項から第29項までにおいて同じ。

注3、還付対象欠損金額
・同法第80条第12項の規定により計算した還付を受けるべき金額の計算の基礎となつた金額と
・同条第13項の規定により計算した還付を受けるべき金額の計算の基礎となつた金額
の合計額をいう。次項から第29項までにおいて同じ。

注4、当該法人税額
当該法人税額について租税特別措置法第四十二条の十四第一項若しくは第四項、第六十二条第一項、第六十二条の三第一項若しくは第九項又は第六十三条第一項の規定により加算された金額がある場合には、政令で定める額を控除した額


控除対象還付対象欠損調整額の定義

27 前項に規定する控除対象還付対象欠損調整額とは、還付対象欠損金額に、同項の法人の当該還付対象欠損金額の生じた事業年度又は中間期間後最初に開始する事業年度終了の日における第十四項各号に掲げる当該法人の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める率を乗じて得た金額をいう。

地方税法53条第27項、施行日令和5年10月1日

規定をまとめたもの


前項(第26項)に規定する控除対象還付対象欠損調整額とは、
還付対象欠損金額に、
同項(第26項)の法人のその還付対象欠損金額の生じた事業年度又は中間期間後
最初に開始する事業年度終了の日における
第14項各号に掲げるその法人の区分に応じ、
それぞれその各号に定める率を乗じて得た金額をいう。


手続き規定

29 第二十六項の規定は、同項の法人が還付対象欠損金額(前項の規定により当該法人の第二十七項に規定する控除対象還付対象欠損調整額(以下この項において「控除対象還付対象欠損調整額」という。)とみなされた被合併法人等の控除対象還付対象欠損調整額に係る還付対象欠損金額を除く。)の生じた事業年度又は中間期間開始の日の属する事業年度について法人の道府県民税の確定申告書を提出し、かつ、その後において連続して法人の道府県民税の確定申告書を提出している場合(前項の規定により当該法人の控除対象還付対象欠損調整額とみなされたものにつき第二十六項の規定を適用する場合には、合併等事業年度以後において連続して法人の道府県民税の確定申告書を提出している場合)に限り、適用する。

地方税法53条第29項、施行日令和5年10月1日

規定をまとめたもの


第26項(控除対象還付対象欠損調整額の控除)は、
同項(第26項)の法人が還付対象欠損金額(注1)の生じた
事業年度又は中間期間
開始の日の属する事業年度について
法人の道府県民税の確定申告書を提出し、かつ、
その後において連続して
法人の道府県民税の確定申告書を
提出している場合(注2)に限り、適用する。

注1、還付対象欠損金額
前項の規定により当該法人の第27項に規定する控除対象還付対象欠損調整額(以下この項において「控除対象還付対象欠損調整額」という。)とみなされた被合併法人等の控除対象還付対象欠損調整額に係る還付対象欠損金額を除く。

注2、連続して法人の道府県民税の確定申告書を提出している場合
前項の規定により当該法人の控除対象還付対象欠損調整額とみなされたものにつき第二十六項の規定を適用する場合には、合併等事業年度以後において連続して法人の道府県民税の確定申告書を提出している場合


控除対象通算対象所得調整額と法人税率

14 前項に規定する控除対象通算対象所得調整額とは、通算対象所得金額に、同項の法人の当該通算対象所得金額の生じた事業年度後最初の事業年度終了の日における次の各号に掲げる当該法人の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める率を乗じて得た金額をいう。
一 普通法人又は法人税法第六十六条第一項に規定する一般社団法人等 同項に規定する税率に相当する率
二 法人税法第六十六条第三項に規定する公益法人等又は協同組合等 同項に規定する税率に相当する率

地方税法53条第14項、施行日令和5年10月1日
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