控除未済合併等前欠損金額を引き継ぐ場合


今回は、法人住民税の「控除未済合併等前欠損金額」を
引き継ぐ場合を確認してみましょう。

内容

対象となる法人は、
・法人税の中間申告(仮決算)
・法人税の確定申告
の規定により法人税申告書を提出する必要があるものです。

対象となる要件は、次の3つです。

1、対象法人を合併法人とする
「適格合併があった場合」

2、対象法人との間に完全支配関係がある他の法人で
対象法人が発行済株式等を有するものの
「残余財産が確定した場合」

3、被合併法人、残余財産が確定した法人(被合併法人等)の過去10年の
「合併等前欠損金額があるとき」

要件を満たす場合、
被合併法人や残余財産が確定した法人の
「控除未済合併等前欠損金額」が引継ぎできます。

控除未済合併等前欠損金額

法人税の欠損金額の取扱いを簡単に確認してみましょう。

1、合併があった場合等、
被合併法人等の欠損金額を合併法人に引き継ぐことができません。

2、適格合併等の一定の要件を満たす場合は、
被合併法人等の欠損金額を合併法人に引き継ぐことが可能です。

3、通算法人を合併法人とする合併で一定のものは、
適格合併等の一定の要件を満たす場合であっても、
被合併法人等の欠損金額を合併法人に引き継ぐことができません。

引き継ぎできなかった法人税の欠損金額を
「合併等前欠損金額」といいます。

合併等前欠損金額のうち、
引継ぎの要件を満たすものを
「控除未済合併等前欠損金額」といいます。

株主等が2以上の場合は、
株式保有割合に応じて引き継ぎます。

参考規定

控除未済合併等前欠損金額の引継ぎ

7 法人税法第七十一条第一項(同法第七十二条第一項の規定が適用される場合に限る。)若しくは第七十四条第一項の規定により法人税に係る申告書を提出する義務がある法人を合併法人とする適格合併が行われた場合又は当該法人との間に完全支配関係(当該法人による完全支配関係又は相互の関係に限る。)がある他の法人で当該法人が発行済株式若しくは出資の全部若しくは一部を有するものの残余財産が確定した場合において、当該適格合併に係る被合併法人又は当該他の法人(以下この項において「被合併法人等」という。)の当該適格合併の日前十年以内に開始し、又は当該残余財産の確定の日の翌日前十年以内に開始した事業年度(以下この項において「前十年内事業年度」という。)において生じた合併等前欠損金額(同法第五十七条第一項の欠損金額(同条第六項又は同法第五十八条第一項の規定によりないものとされたものを除く。)で、同法第五十七条第七項(第一号に係る部分に限る。以下この項において同じ。)の規定により同条第二項の規定が適用されなかつたものをいう。以下この項から第九項までにおいて同じ。)(当該法人が当該法人の当該適格合併の日の属する事業年度又は当該残余財産の確定の日の翌日の属する事業年度(以下この項、第九項及び第十項において「合併等事業年度」という。)において当該合併等前欠損金額(この項の規定により当該被合併法人等の合併等前欠損金額とみなされたものを含む。)について同法第五十七条第七項の規定により同条第二項の規定の適用がないことを証する書類を添付した法人の道府県民税の確定申告書を提出していることその他の政令で定める要件を満たしている場合における当該合併等前欠損金額に限るものとし、次項の規定により当該被合併法人等の前十年内事業年度の法人税割の課税標準とすべき法人税額について控除された控除対象合併等前欠損調整額に係る合併等前欠損金額を除く。以下この項において「控除未済合併等前欠損金額」という。)があるときは、当該前十年内事業年度に係る控除未済合併等前欠損金額(当該他の法人に株主等が二以上ある場合には、当該控除未済合併等前欠損金額を当該他の法人の発行済株式又は出資(当該他の法人が有する自己の株式又は出資を除く。)の総数又は総額で除し、これに当該法人の有する当該他の法人の株式又は出資の数又は金額を乗じて計算した金額)は、それぞれ当該控除未済合併等前欠損金額に係る前十年内事業年度開始の日の属する当該法人の事業年度(当該法人の合併等事業年度開始の日以後に開始した当該被合併法人等の前十年内事業年度に係る控除未済合併等前欠損金額にあつては、当該合併等事業年度の前事業年度)において生じた合併等前欠損金額とみなす。

地方税法第53条第7項、施行日令和5年10月1日

規定をまとめたもの


法人税法
・第71条第1項(中間申告)(注1、仮決算に限る。)
・第74条第1項(確定申告)
の規定により法人税に係る申告書を提出する義務がある法人を合併法人とする
適格合併が行われた場合又は
当該法人との間に完全支配関係(注2)がある他の法人で当該法人が発行済株式若しくは出資の全部若しくは一部を有するものの残余財産が確定した場合
において、

当該適格合併に係る被合併法人又は当該他の法人
(注3、被合併法人等)の
当該適格合併の日前十年以内に開始し、又は
当該残余財産の確定の日の翌日前十年以内に開始した
事業年度(注4)において生じた合併等前欠損金額
(注5、控除未済合併等前欠損金額)があるときは、

当該前十年内事業年度に係る
控除未済合併等前欠損金額(注6)は、
それぞれ当該控除未済合併等前欠損金額に係る
前十年内事業年度開始の日の属する
当該法人の事業年度(注7)において生じた合併等前欠損金額とみなす。

注1、法人税法第71条第1項
同法第72条第1項の規定が適用される場合に限る。

注2、完全支配関係
当該法人による完全支配関係又は相互の関係に限る。

注3、被合併法人等
以下この項において「被合併法人等」という。

注4、以下この項において「前十年内事業年度」という。

注5、合併等前欠損金額(控除未済合併等前欠損金額)
同法第57条第1項の欠損金額(注5-1)で、
同法第57条第7項(注5-2)の規定により
同条第2項の規定が適用されなかつたものをいう。
以下この項から第9項までにおいて同じ。
当該法人が当該法人の
・当該適格合併の日の属する事業年度又は
・当該残余財産の確定の日の翌日の属する事業年度
(注5-3、合併等事業年度)において
当該合併等前欠損金額(注5-4)について
同法第57条第7項の規定により
同条第2項の規定の適用がないことを証する書類を添付した
法人の道府県民税の確定申告書を提出していること
その他の政令で定める要件を満たしている場合における
当該合併等前欠損金額に限るものとし、
次項(第8項)の規定により当該被合併法人等の
前十年内事業年度の法人税割の課税標準とすべき法人税額について
控除された控除対象合併等前欠損調整額に係る合併等前欠損金額を除く。
以下この項において「控除未済合併等前欠損金額」という。

注5-1、同法第57条第1項の欠損金額
同条第6項又は同法第58条第1項の規定によりないものとされたものを除く。

注5-2、同法第57条第7項
第一号に係る部分に限る。以下この項において同じ。

注5-3、合併等事業年度
以下この項、第九項及び第十項において「合併等事業年度」という。

注5-4、当該合併等前欠損金額
この項の規定により当該被合併法人等の合併等前欠損金額とみなされたものを含む。

注6、控除未済合併等前欠損金額
当該他の法人に株主等が2以上ある場合には、
当該控除未済合併等前欠損金額を
当該他の法人の発行済株式又は出資(注6-2)の総数又は総額で除し、これに
当該法人の有する当該他の法人の株式又は出資の数又は金額
を乗じて計算した金額

注6-2、発行済株式又は出資
当該他の法人が有する自己の株式又は出資を除く。

注7、当該法人の事業年度
当該法人の合併等事業年度開始の日以後に開始した当該被合併法人等の前十年内事業年度に係る控除未済合併等前欠損金額にあつては、当該合併等事業年度の前事業年度

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