株式等保有法人の株式等の時価評価_通算開始


今回は、株式等保有法人の株式等の時価評価(通算開始)を確認します。時価評価をしない法人であっても、通算グループ内の株式等の含み損益は時価評価をする必要があります。

株式等保有法人の株式等の時価評価、通算開始の場合(法法64条の11②)

1項の内国法人(注1)の通算開始直前事業年度終了時においてその内国法人の株式等を有する内国法人(株式等保有法人)のその株式等(注2)の評価益又は評価損は、その通算開始直前事業年度終了日の属するその株式等保有法人の益金の額又は損金の額に算入します。

注1、損益通算(法法64条の5)の適用を受けない法人として政令で定める法人(初年度離脱開始子法人)と親法人を除く

注2、その株式等保有法人について「通算制度の開始に伴う資産の時価評価損益」の適用がある場合には、1項の時価評価資産に該当するものを除く。
(2重の時価評価を防止。)

政令で定める法人(時価評価しない法人)

5 法第六十四条の十一第二項に規定する政令で定める法人は、初年度離脱開始子法人とする。

法人税法施行令131条の15
初年度離脱開始子法人

子法人等(法法64条の9②)で親法人(注1)の最初通算事業年度終了日までにその親法人との間にその親法人による完全支配関係を有しなくなるもの(注2)を初年度離脱開始子法人といいます。

注1、その子法人等との間に完全支配関係(政令で定める関係に限る。以下この条において同じ。)があるものに限ります。

注2その最初通算事業年度開始日以後2月以内に通算制度の取りやめ等(法法64条の10⑥5号又は6号)に掲げる事実が生じることによりその完全支配関係を有しなくなるものに限るものとし、その親法人若しくはその親法人との間に完全支配関係がある子法人等を合併法人とする合併又は残余財産の確定によりその親法人によりその親法人による完全支配関係を有しなくなるものを除く。5項において「初年度離脱開始子法人」といいます。


規定の考え方

その最初通算事業年度開始日以後2月以内に通算制度の取りやめ等(法法64条の10⑥5号又は6号)に掲げる事実が生ずることによりその完全支配関係を有しなくなるものに限るものとします。

5号は、通算子法人の解散(合併又は破産手続開始決定による解散に限ります。)。6号は、通算子法人が通算親法人との間にその通算親法人による通算完全支配関係を有しなくなったこと。

ここで「完全支配関係を有しなくなるもの」が
その最初通算事業年度開始日以後2月以内限定されます。

限定されたものから、「その親法人若しくはその親法人との間に完全支配関係がある子法人等を合併法人とする合併又は残余財産の確定によりその親法人による完全支配関係を有しなくなるもの」を除きます

参考規定、初年度離脱開始子法人の定義

八 法第六十四条の九第二項に規定する他の内国法人(以下この号において「他の内国法人」という。)で親法人(当該他の内国法人との間に完全支配関係(同条第一項に規定する政令で定める関係に限る。以下この条において同じ。)があるものに限る。)最初通算事業年度終了の日までに当該親法人との間に当該親法人による完全支配関係を有しなくなるもの当該最初通算事業年度開始の日以後二月以内に法第六十四条の十第六項第五号又は第六号(通算制度の取りやめ等)に掲げる事実が生ずることにより当該完全支配関係を有しなくなるものに限るものとし、当該親法人若しくは当該親法人との間に完全支配関係がある他の内国法人を合併法人とする合併又は残余財産の確定により当該親法人による完全支配関係を有しなくなるものを除く。第五項において「初年度離脱開始子法人」という。)の有する資産

法人税法施行令131条の15①
時価評価法人(1項)と株式等保有法人(2項)

A親法人(B株式を100%保有、親法人は除外)
 |
B子法人等(C株式を100%保有、時価評価しない法人、株式等保有法人)
 |
C子法人等(D株式を100%保有、時価評価する法人、株式等保有法人)
 |
D子法人等

B子法人等もC子法人等も株式等保有法人に該当します。B子法人等は開始時価評価をしない法人ですので2項で株式等(C株)のみ時価評価、C子法人等は開始時価評価をする法人ですので1項で対象資産を時価評価するのでしょう。

参考規定

株式等保有法人の株式等の時価評価

2 前項に規定する内国法人(第六十四条の五(損益通算)の規定の適用を受けない法人として政令で定める法人及び親法人を除く。の通算開始直前事業年度終了の時において当該内国法人の株式又は出資を有する内国法人(以下この項において「株式等保有法人」という。)の当該株式又は出資(当該株式等保有法人について前項の規定の適用がある場合には、同項に規定する時価評価資産に該当するものを除く。の評価益の額(その時の価額がその時の帳簿価額を超える場合のその超える部分の金額をいう。)又は評価損の額(その時の帳簿価額がその時の価額を超える場合のその超える部分の金額をいう。)は、当該通算開始直前事業年度終了の日の属する当該株式等保有法人の事業年度の所得の金額の計算上、益金の額又は損金の額に算入する。

法人税法64条の11、通算制度の開始に伴う資産の時価評価損益

通算制度の取りやめ等

6 次の各号に掲げる事実が生じた場合には、通算法人(第一号から第四号までにあつてはこれらの号に規定する通算親法人及び他の通算法人の全てとし、第五号及び第六号にあつてはこれらの号に規定する通算子法人とし、第七号にあつては同号に規定する通算親法人とする。)については、通算承認は、当該各号に定める日から、その効力を失うものとする。

五 通算子法人の解散(合併又は破産手続開始の決定による解散に限る。)又は残余財産の確定 その解散の日の翌日(合併による解散の場合には、その合併の日)又はその残余財産の確定の日の翌日
六 通算子法人が通算親法人との間に当該通算親法人による通算完全支配関係を有しなくなつたこと(前各号に掲げる事実に基因するものを除く。) その有しなくなつた日

法人税法64条の10、通算制度の取りやめ等
PAGE TOP