法人による完全支配関係がある場合の寄附金


今回は、法人による完全支配関係がある場合の寄附金を確認します。

規定の全体像

寄附金の損金不算入に関する規定の全体像を確認します。
特殊な規定については省略します。

  1. 一般寄附金の損金不算入
  2. 法人による完全支配関係がある場合の寄附金 ← 今回確認
  3. 国等に対する寄附金
  4. 特定公益増進法人に対する寄附金
  5. みなし寄附金
  6. 特定公益信託
  7. 寄附金の定義
  8. 低額取引
  9. 確定申告等の手続き
  10. やむを得ない場合
  11. 告示
  12. その他政令
法人による完全支配関係がある場合

内国法人が、完全支配関係(法人による完全支配関係に限る)がある法人に支払った寄附金については、全額損金不算入となります。

完全支配関係がある場合は複数の法人を1つのグループと見て、
寄附金をグループ間の資金移動と捉えます。
寄附金を受け取った法人については、全額益金不算入となります。

例えば、A法人が、B法人とC法人の発行済株式を全て有する場合、
AとB、AとC、BとCの関係は、完全支配関係となります。

上記のA法人、B法人、C法人は1つのグループですので、このグループ内でお金を動かしたとしても、税金計算上、損金や益金にはなりません。

別表の記載方法

寄附をした法人の処理です。

寄附した金額を
5欄(完全支配関係がある法人に対する寄附金額)に記載して、
23欄(損金不算入額)に転記します。

参考、法人税別表14(2)、寄附金の損金算入に関する明細書
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/shinkoku/itiran2022/pdf/14(02).pdf

仕訳(考え方)

内容借方貸方
会計上寄附金 20,000円現金 20,000円
税務上寄附金 20,000円
(加算社外)
現金 20,000円
寄附金の取扱い
参考規定など

法人税の寄附金の考え方(参考リンク)
寄附金の損金不算入

法人による完全支配関係がある寄附金の取扱い

 内国法人が各事業年度において当該内国法人との間に完全支配関係(法人による完全支配関係に限る。)がある他の内国法人に対して支出した寄附金の額(第二十五条の二(受贈益)の規定の適用がないものとした場合に当該他の内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上益金の額に算入される同条第二項に規定する受贈益の額に対応するものに限る。)は、当該内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない

法人税法37条

受贈益の定義

 前項に規定する受贈益の額は、寄附金、拠出金、見舞金その他いずれの名義をもつてされるかを問わず、内国法人が金銭その他の資産又は経済的な利益の贈与又は無償の供与(広告宣伝及び見本品の費用その他これらに類する費用並びに交際費、接待費及び福利厚生費とされるべきものを除く。次項において同じ。)を受けた場合における当該金銭の額若しくは金銭以外の資産のその贈与の時における価額又は当該経済的な利益のその供与の時における価額によるものとする。

法人税法25条の2

完全支配関係の定義

十二の七の六 完全支配関係 一の者が法人の発行済株式等の全部を直接若しくは間接に保有する関係として政令で定める関係(以下この号において「当事者間の完全支配の関係」という。)又は一の者との間に当事者間の完全支配の関係がある法人相互の関係をいう。

法人税法2条
PAGE TOP