法人税の中間申告


今回は、法人税の中間申告を確認してみましょう。
基本的な計算の仕組みは変わっていませんが、
グループ通算制度により、内容が変わっています。

内容

中間申告は事業年度が6月を超える場合に義務が生じます。
申告期限は事業年度が始まってから8月以内です。

事業年度が6月を超える場合であっても
次の事業年度は除かれます。

1、設立事業年度
前期の法人税がないからです。
ただし、適格合併の設立事業年度は中間申告があります。

2、公益法人等(収益事業を行つていないものに限る。)が
普通法人に該当することとなつた場合の
その該当することとなつた日の属する事業年度

収益事業がない公益法人等には、
中間申告で使用する前期の法人税がないからです。

3、親法人の下期に子法人がグループに加入した場合
親法人の下期(事業年度がスタートした後の6月経過後)に、
子法人がグループに加入した場合は、子法人の中間申告義務がありません。
親法人の事業年度を中心に考えているからだと思います。

中間申告が不要となる場合

一定の方法で計算した金額が10万円以下の場合、
中間申告が不要となります。

基本的には、前期の法人税が20万円以下の場合、
20万円以下÷12月(前事業年度の月数)×6月(中間期間の月数)=
10万円以下となり、中間申告が不要となります。

グループに加入した場合

わかりづらいので日付を入れて考えてみます。
参考書籍、グループ通算制度の税務、Q&A245、ページ108から110

グループに加入した日が上期か下期かで取扱いが変わります。
事例で確認します。

10月1日(下期)に加入した場合

親法人が3月決算で、子法人が10月1日に加入した場合

・4月1日から9月30日までの事業年度(6か月)
・10月1日から3月31日までの事業年度(6か月)

に分かれます。

4月1日から9月30日までの事業年度は、
6月を超えないため中間申告義務はありません。

10月1日から3月31日までの事業年度は、
6月を経過した日(10月1日)以後に効力が生じるため、
対象となる事業年度から除かれます。
そのため、中間申告義務はありません。

12月1日(下期)に加入した場合

親法人が3月決算で、子法人が12月1日に加入した場合

・4月1日から11月30日までの事業年度(8か月)
・12月1日から3月31日までの事業年度(4か月)

に分かれます。

4月1日から11月30日までの事業年度は、
6月を超えるため中間申告義務があります。

(効力が生じる前の事業年度は除かれません。)

12月1日から3月31日までの事業年度は、
6月を経過した日(10月1日)以後に効力が生じるため、
対象となる事業年度から除かれます。
そのため、中間申告義務はありません。

9月1日(上期)に加入した場合

親法人が3月決算で、子法人が9月1日に加入した場合

・4月1日から8月31日までの事業年度(5か月)
・9月1日から3月31日までの事業年度(7か月)

に分かれます。

4月1日から8月31日までの事業年度は、
6月を超えないため中間申告義務はありません。

9月1日から3月31日までの事業年度は、
6月を経過した日(10月1日)以後に効力が生じないため、
対象となる事業年度から除外されません。

グループ通算制度の子法人については、
6月超要件が次の要件に変わります。

・親法人の事業年度が6月を超えていること
・6月経過日(10月1日)に通算完全支配関係があること

今回のケースでは、親法人の事業年度が6月を超えており、
10月1日に通算完全支配関係があるため中間申告義務が生じます。

この場合、9月1日から8か月以内ではなく、
親法人の事業年度を基準に中間申告の規定を使います。
申告期限は4月1日の6月経過日(10/1)から
2月以内(11/30まで)となります。

上期に加入した場合の計算例

中間申告の計算については、
6月経過日の前日までに確定したもの÷当該前事業年度の月数=A
A×中間期間(※1)となります。

※1
当該事業年度開始の日から当該前日までの期間の月数

6月経過日の前日(9/30)までに確定したものが1,000万円の場合

1,000万円÷5月(前事業年度の月数)=200万円×1月(※2)
=200万円が子法人の中間申告額となります。

※1、※2
その事業年度開始の日(9/1)
 開始日は親法人の事業年度開始の日ではありません。
から当該前日(9/30)までの期間
 当該前日は親法人の事業年度開始の日から起算します。

参考規定

法人税の中間申告

(中間申告)
第七十一条 内国法人である普通法人(清算中のものにあつては、通算子法人に限る。次条及び第七十二条第一項(仮決算をした場合の中間申告書の記載事項等)において同じ。)は、その事業年度(新たに設立された内国法人である普通法人のうち適格合併(被合併法人の全てが収益事業を行つていない公益法人等であるものを除く。次項及び第三項において同じ。)により設立されたもの以外のものの設立後最初の事業年度、公益法人等(収益事業を行つていないものに限る。)が普通法人に該当することとなつた場合のその該当することとなつた日の属する事業年度及び当該普通法人が通算子法人である場合において第六十四条の九第一項(通算承認)の規定による承認の効力が生じた日が同日の属する当該普通法人に係る通算親法人の事業年度(以下この項において「通算親法人事業年度」という。)開始の日以後六月を経過した日以後であるときのその効力が生じた日の属する事業年度を除く。第七十二条第一項において同じ。)が六月を超える場合(当該普通法人が通算子法人である場合には、当該事業年度開始の日の属する通算親法人事業年度が六月を超え、かつ、当該通算親法人事業年度開始の日以後六月を経過した日において当該通算親法人との間に通算完全支配関係がある場合には、当該事業年度(当該普通法人が通算子法人である場合には、当該事業年度開始の日の属する通算親法人事業年度)開始の日以後六月を経過した日(以下この条において「六月経過日」という。)から二月以内に、税務署長に対し、次に掲げる事項を記載した申告書を提出しなければならない。ただし、第一号に掲げる金額が十万円以下である場合若しくは当該金額がない場合又は当該普通法人と通算親法人である協同組合等との間に通算完全支配関係がある場合は、当該申告書を提出することを要しない。

 当該事業年度の前事業年度の法人税額(確定申告書に記載すべき第七十四条第一項第二号(確定申告)に掲げる金額(第六十九条第十九項(外国税額の控除)の規定により加算された金額がある場合には、当該金額を控除した金額)をいう。次項第一号及び第五項において同じ。)で六月経過日の前日までに確定したものを当該前事業年度の月数で除し、これに当該事業年度開始の日から当該前日までの期間(次項第一号及び第三項において「中間期間」という。)の月数を乗じて計算した金額

 前号に掲げる金額の計算の基礎その他財務省令で定める事項

法人税法

規定をまとめたもの

内国法人である普通法人(注1)は、
その事業年度(注2)が六月を超える場合(注3)には、
当該事業年度(注4)開始の日以後六月を経過した日(注5)から二月以内に、
税務署長に対し、次に掲げる事項を記載した申告書を提出しなければならない。

注1、清算中のものにあつては、通算子法人に限る。次条及び第七十二条第一項(仮決算をした場合の中間申告書の記載事項等)において同じ。

注2、新たに設立された内国法人である普通法人のうち適格合併(注2-1)により設立されたもの以外のものの設立後最初の事業年度、公共法人又は収益事業を行つていない公益法人等が普通法人に該当することとなつた場合のその該当することとなつた日の属する事業年度及び当該普通法人が通算子法人である場合において第六十四条の九第一項(通算承認)の規定による承認の効力が生じた日が同日の属する当該普通法人に係る通算親法人の事業年度(注2-2)開始の日以後六月を経過した日以後であるときのその効力が生じた日の属する事業年度を除く。第七十二条第一項において同じ。

注2-1、被合併法人の全てが収益事業を行つていない公益法人等であるものを除く。次項及び第三項において同じ。

注2-2、以下この項において「通算親法人事業年度」という。

注3、当該普通法人が通算子法人である場合には、当該事業年度開始の日の属する通算親法人事業年度が六月を超え、かつ、当該通算親法人事業年度開始の日以後六月を経過した日において当該通算親法人との間に通算完全支配関係がある場合

注4、当該普通法人が通算子法人である場合には、当該事業年度開始の日の属する通算親法人事業年度

注5、以下この条において「六月経過日」という。

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